Doomed Forgotten Realms の解説

 DungeonMastersGuildで発売されている同人サプリ『Doomed Forgotten Realms Sword Coast Gazetteer』の解説です。

 まずDungeonMastersGuild (https://www.dmsguild.com/)について解説しましょう。
 このサイトはDungeon&Dragonsのデータを販売しています。
 過去版の公式シナリオに加えて、5e用のファンメイドデータ(シナリオやモンスターデータ、キャラクター・オプション)など幅広いデータが取り扱われています。

 そんなサイトで最近発売され、瞬く間に人気トップに躍り出たのが『Doomed Forgotten Realms Sword Coast Gazetteer』です。
(https://www.dmsguild.com/product/398215/Doomed-Forgotten-Realms-Sword-Coast-Gazetteer)

 ファンメイドのワールド・セッティングで、フォーゴトン・レルムを舞台とした5e用の各公式アドベンチャーで悪が勝利し、英雄が敗れた最悪のソードコーストを舞台としています。
 クオリティが高く魅力的なので、日本でも人気が出ることを祈って概要を紹介します。
 このセッティングは4部構成になってます。
第一部:勢力
第二部:地理誌
第三部:キャンペーン・フック
第四部:キャラクター・オプション

第一部:勢力
 英雄不在のドゥームド・フォーゴトン・レルムでは、6つの大勢力が時に争い、時に手を組んで唯一の支配者になろうと抗争を続けています。
 その6つの勢力とは、ヴェクナ同盟、ゼンタリム、ドラゴン・カルト、旧き元素の目、ザリエル軍団、ブレイガン・デアース。
 このサプリではそれぞれの勢力のメンバー、状態、最終目的がまとめられています。
 どの勢力も個性豊かで面白いですが、その中でも特に興味深いのヴェクナ同盟とブレイガン・デアースについて概要を紹介します。

ヴェクナ同盟
 強大なるリッチにして恐るべき秘密の神であるヴェクナが率いるドゥームド・フォーゴトン・レルム最大の勢力です。
 この世界ではヴェクナは失われた左目と左手を取り戻し、支配者として物質界に顕現しています。
 ヴェクナは公式アドベンチャーで取り上げられた事件の全てに影響を及ぼしており、英雄が破れ悪が勝利するようになったのはヴェクナが裏で糸を引いていたからとされています。このセッティングにおいて最も重要なキャラクターであると言えるでしょう。
 そんなヴェクナに付き従うのは、アサーラックやサーイ、ユアンティなど強大な悪党たちです。

ブレイガン・デアース
 元の世界ではジャーラックスルが率いる男性ドラウの傭兵団でしたが、この世界では性別・種族を問わない海賊団であり、6つの大勢力中で唯一の悪ではない勢力です。
 団長は元の世界と変わらずジャーラックスルです。その野心は失われておらず、危険な存在であることは間違いありませんが、悪の支配を望まぬものにとっての希望の篝火でもあります。
 そんなジャーラックスルの元には、ソードコースト中から人々が集まり、大船団となって船旅を続けています。

第二部:地理誌
 ソードコーストの各所は悪に侵され、我々がよく知るものとはまるで変わっています。
 アンダーダークでは顕現したデーモンロードたちが覇を競い合い、ある都市は九層地獄へ落ち、またある都市はイシリッドに占領され奇怪な建造物が並び立っています。
 このサプリでは、そんな変わり果てた大都市の人口のような基本情報、政府、歴史が詳しく記されています。
 サンプルとしてなじみ深いウォーターディープがどうなっているかを簡単に紹介しましょう。
 かつては壮麗な都と呼ばれ、大いに栄えたウォーターディープ。
 例えフォーゴトンレルムが滅んだとしても、北方の中心地であることに変わりはありません。
 あらゆるドラゴンの侵入を阻むドラゴンウォードはティアマトの邪悪な軍勢が都へ進軍するのを阻み、天を衝くような巨体のウォーキング・スタチュー・オヴ・ウォーターディープが悠然と闊歩して秩序を乱すものを排除します。
 ですがかつて都市を統治していた公開執政官の姿はもはやありません。
 この都市を支配するのは偉大なる神、ヴェクナその人なのです!
 そしてその支配に協力するのは、強力な魔術師マンシューン。どこからか莫大な量のドラゴン金貨を手に入れて彼は、表面ではヴェクナに協力しながらも、更なる力を得るため危険なチェスを指しています。 
 その一方でウォーターディープのかつての大物の多くは姿を消しました。しかし、しぶとく生き残っているものもいます。
 例えばハラスターは依然として大迷宮アンダーマウンテンの支配者であり、ヴェクナとマンシューンに対抗する手段と英雄を探しています。

第三部:キャンペーン・フック
 この世界観で冒険するシナリオを作るため、DM向けにレベル帯ごとのシナリオ・フックが記されています。
 例えば1〜4レベル帯では、地域の英雄として一度はゼンタリムに滅ぼされたハーパーの再建や、ヴェクナに断ち切られた神々との繋がりを蘇らせるなどが用意されています。
 いずれも他のセッティングにはない、世界観を活かした独特かつヒロイックなものになっています。
 オリジナルシナリオ作成に慣れていないDMの方でも、このシナリオ・フックと第二部の地理誌を合わせればそれだけでシナリオを作ることができそうです。

第四部:キャラクター・オプション
 この世界観を活かしたオリジナルのサブクラスとして5つのデータが用意されています。
・ウィザードの秘密の学派:ヴェクナの影響を受けた楽派で、敵対者の秘密を暴き、弱点を突いて有利に戦います。
・ドルイドの九層地獄の円環:九層地獄を自然な死の一部として受け入れたドルイドの円環です。地獄の力により、その体にフィーンドの特徴を顕現させます。
・バードの元素の楽派:旧き元素の目のような元素の力に仕えるバードの楽派です。四大元素の能力を引き出し、状況に応じて柔軟に戦います。
・ファイターのゼンタリムの精鋭の類型:ゼンタリムの精鋭として訓練を受けたファイターの戦士の類型です。敵に恐怖をもたらし、その恐怖を利用します。
・ローグのスペル・スレイヤーの類型:ヴェクナをはじめとした恐るべき呪文使いに対抗するためのローグの類型です。呪文使いの集中を乱し、呪文の力を盗み出し、呪文から身を守ります。

 以上がこの製品の概要となります。
 注意点として、公式アドベンチャーの設定を利用したワールド・セッティングとなりますので、どうしてもネタバレ要素が含まれてしまいます。公式アドベンチャー未プレイでネタバレを気にする方はご注意ください。

 このワールド・セッティングを用いたアドベンチャーとして1~3レベル用の『Academy of Adventure』(https://www.dmsguild.com/product/380521)と3~10レベル用の『Rise of Vecna』(https://www.dmsguild.com/product/385544/)が発売されています。
 通して遊ぶことも、一部だけ切り出して遊ぶこともできるよくできたアドベンチャーなので興味ある方はぜひ遊んでみてください!
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?