2024上半期の自選十句鑑賞
ぽっぽ水須ゆきこさん
早春の御句の実感がとても好きです。海岸歩くとあちこち湿りますよね。 公魚釣ったことないけど「なるほど~」と納得。 バナナ、ほのかに山頭火味ありません?wなんか好き。 灯台の中は螺旋、これって言えそうで言えない、ぽっぽさんらしい気づきの一句と思いました。
銀紙 ぎんがみさん
銀紙さんの御句は、最初クスっと笑っちゃうのに、真意を考えるとちょっとゾワっとしちゃいますね。流行とか、世間とか、時間とか、さまざまな物事が我々をいためつけそうになっていても、銀紙さんだけはふわわ~って飛び越えていっちゃいそう。 陽炎に虚無僧を合わせてくるセンス、脱帽です。
イサク 飯田イサクさん
『天』の「夕まじ」御句が記憶に新しいのですが、取り合わせの距離感がどの御句も絶妙ですね!上人坂のゆったりとした雰囲気を思わせる囀、とても好きです。
桃園ユキチさん
ユキチさんの御句は取り合わせの距離感にいつも唸ってしまいます。河豚の御句はオノマトペの独創性にも驚かされました。あらゆる物事から真実をぐいとつかみ出してこられる力量が凄い!「たけとりものかたり」あえて濁点を省く表記の工夫が素晴らしいです。
常幸龍BCADさん
ビシさんの御句は、どれも平明で、私の理想を完全実現してくださってます。「さりさり」「どぷん」などのオノマトペは、さりげないけどバッチリはまってるところとか、ホント凄いとしか。まじの御句の描写が特に好きです。奥行の有る表現だなぁと感じます。あ~字数足りないわ。後半もご健吟を!
クラウド坂の上さん
いうれいの御句はいったいどこから発想されたのだろうかとビックリしました。こういうのが本当の諧謔味なのでしょうね。雲の峰のしみじみと実感される寂しさ、草の花のアンニュイ、クラウド先生の御句ににじみでる優しさがなんとも味わい深いです。
あなぐまはるさん
やっぱライラックがとてもとても好きです。はるさんの一歩引いたところから物事を見る感じも素敵だし、ことばの奥にある微かな諧謔味がはるさんならではの御句かなぁ、と。 下半期、引き続きとうおん句会でも、よろしくお願いします。
Cramboneさん
余寒の花束は供花でしょうか?ひりひりが背後にある感情を表現しているかに思えます。 獣交むでは「個」ではなく大きな山という象徴に語らせて逆に現実感を醸し出しておられますね。 あぢさゐは山紫陽花の姿を想像しました。華やかに見える装飾花の奥にあるものに言及する手法。水の島という比喩(ハート)
佐藤直哉さん
「太陽は平凡な星」など、どの御句も言葉の選択が素晴らしいですね。中でも風鈴の御句に一番惹かれました。風に生き物のような親しみを感じます。優しい視線だなぁ、と。冬日向の把握は、あえて夏の季語「泉」にたとえてみせるあたり非凡。これからも直哉さんの御句を楽しみにしています。
三浦海栗さん
「玄の睡り」という詩語が素敵ですね。 印象が強く残っているのは、やはり菜の花の底と、苺ジャムでしょうか。海栗さんならではの事象の捉え方が取り合わせの中に生きているように感じます。 清水も気持ちよい景ですねぇ。この季語でなければ、この味わいは出せません。ピッタリ!
鈴白菜実さん
桜餅の食感にまさか塩漬けの葉の葉脈が出てくるとはっ!繊細な感覚、凄すぎる描写ですね。石鹸玉の御句の五五七は挑戦的かつ斬新なリズム。内容にとてもよく合ってると思います。清水の御句の把握にも、菜実さんの詩魂、句心を感じました。
木村弩凡(どぼん)さん
タイカレーが泣きたいほど美味しそうです。余寒をスパイスで吹き飛ばしたい感じ。 アフリカの地図って華やかに見える要素が?形ですか?小さい国がいっぱいだから?これちょっと解説してください。 遠蛙の御句、実感ありますねぇ。実際はすごく短い時間でも、何十倍も長く感じてそう。
押見げばげばさん
げばさん最初から上手かったけど、最近ますます凄みみたいなオーラが発せられてますよね。宇宙史と自分と木守柿、こういう把握ができるって凄い。ちょっと普通では考えつかないなぁ・・・。なんというか、全体通して生きることの悲哀みたいな感覚が通底している気がします。山眠るが一番好き句。
嶋村らぴさん
キタキター!待ってました。どれもこれもらぴさんらしいというか、本当に「詩」の純度が高くて素晴らしいです。「さへづり」をこういう風に詠める、実感がものすごい。「おほなゐ」の「かな」効いてますね。対象をそぉっと包み込むような、ふわり掬い取るような、らぴさんの詠みぶり素敵。
鑑賞文は順不同です。この後も、自選十句を読ませていただいて鑑賞リプしたら、追加していくつもりです。※作者の俳号に2024上半期自選十句へのリンクを貼りました。
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