見出し画像

初風呂や流るるほどの福も無き

2023/1/11(水)NHK文化センター 俳句講座に投句した四句の中の一句。岸本先生の入選、講座参加者2名の方より選いただきました。当季雑詠、季語は「初風呂」です。
【学びポイント】
日常的な景を軽やかに詠む
【解説】
岸本先生から「初風呂は福を授かるとか、福を招くなどと言われるめでたいもの。ほどほどの福であることがわかるし、軽やかなおかしみがあって良い。」と評をいただきました。
作者としては小林一茶の「目出度さもちう位也おらが春」のような感じを意識して詠みました。選んでくださった方々に、その感覚は伝わっていたようで良かったです。
私の生家では、正月の習わしとして「元日は何処へも出かけず、家にて身を慎むべし。」「元日は火を使った調理をするべからず。」「元日は風呂に入るべからず。せっかく歳神様が運んでくださった『福』を流してしまうことになる。初風呂は二日の朝に入るべし。」などがありました。
正月の家事を極力減らすためのお節料理や二日の朝風呂、だったかもしれませんが・・・とはいえ、現代においては毎日の入浴はほぼ欠かせぬもの。我が家も元日から入浴します。そのような場合に「流れるほどの『福』もなかろう。」というのが私の言い訳なのです。
岸本先生の講座を受講するようになって、平明を心がけるようになりました。日常的な景を軽やかに詠むのにやたらと凝った措辞など不要。季語の本意を深く理解して詠むことはもちろん大切ですし、ひとつひとつの言葉に心を深く用いて一句をなすことも重要だと思います。これまでの学びを否定するのではなく、その上に確かな一歩を確実に積み上げたい。2023年は、「自分の感じたことをさらりと日常的な言葉で詠めるようになる」を第一目標として精進したいものです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?