【論評】 教育的意義があっても部活動は廃止すべきである

 部活動には教育的意義がある、と言われる。それが本当かどうか、ここでは問わない。ひとまず、部活動には教育的意義があるとしよう。では、そうだとして、それが部活動を廃止してはならない理由、何としても存続すべき理由になるのだろうか。それは否である。

 教育的意義というときの「教育」とは、学校教育と同義のものだろうか、それとも、教員個人が私的に行っている事実上の行為を指すのだろうか。

 前者の場合、たしかに、部活を存続すべき理由として一定の合理性を認めなければならない。問題は、教員の労働問題との絡みである。学校教育は、学習指導要領をはじめとする各種法令に基づき組織的・計画的に行われるものであり、施設や人員等の面での裏付けがなされている。だが部活動に関しては、教育課程外の活動とされている上、運営方針は各顧問に任され、免許状も必要とされず、指導した時間は教員の自主的・自発的なものとされ労働時間とは認定されない。つまり、部活動は学校教育たりうる条件を満たしていないのである。したがって、いかに部活動に学校教育上の意義があろうとも、教員の労働問題上の問題が解決されていないことから、このことをもって部活動を廃止してはならない理由、何としても存続すべき理由とすることには無理がある。

 後者の場合、当然、部活動を存続すべき理由とはなりえない。教員が私的に行っている活動にどれほど意義があろうとも、それを制度として学校全体で行うべきということにはならない。

 部活動の教育的意義をもって部活動を存続すべき理由とするためには、教員の労働問題を解決し、適法に部活動を運営することができる体制を整えることが前提である。それができるのであれば、IRISとしては部活動の存続に必ずしも反対しない。しかし現状でそのようなことは望むべくもない。よって、結論としては、部活動にいかに教育的意義があろうとも、部活動は基本的に廃止すべきである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?