吹奏楽連盟が意見書修正するも 新たな問題が…

 2022年8月9日に行われた「文化部活動の地域移行に関する検討会議(第7回)」の中で、検討会議の委員でもある一般社団法人全日本吹奏楽連盟理事長の石津谷治法氏から提出された文書が配布された。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/sobunsai/chiiki_ikou/07/pdf/93750901_07.pdf

 上記文書は、「『文化部活動の地域移行に関する検討会議提言(案)』に対する意見書」(5ページ分)と「『【0805 意見書ご意見反映】文化部活動の地域移行に関する検討会議提言案』についての意見」(2ページ分)からなる。

 全日本吹奏楽連盟は、「一部に誤解を招く表現」があったとして、文化庁に意見書を再度提出した。

全日本吹奏楽連盟による「謝罪文」

再提出後の文書
https://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/sobunsai/chiiki_ikou/07/pdf/93767501_01.pdf

 文化庁のウェブサイトを見ると、第7回検討会議の配布資料として、再提出後の文書が掲載されている。当初掲載されていた文書と比較すると、次の2点に差異が見られる。

1 「『文化部活動の地域移行に関する検討会議提言(案)』に対する意見書」で、「6.教員中学校等の教師の採用選考についてお願いしたいこと。」のうちの一部が修正されている(※)。
2 「『【0805 意見書ご意見反映】文化部活動の地域移行に関する検討会議提言案』についての意見」が削除されている。

 1は、修正が行われた経緯を知っている者が見れば箇所を特定することができるが、経緯を知らない者が見ても箇所を特定することができない。また、現在のリンクからは修正前の文書を参照することができないため、修正内容を知ることができない。
 2は、1とは異なり、「表現」の修正にとどまらず文書全体が削除されている。

 文化庁は、第7回検討会議の配布資料として文書をアップロードしている以上、検討会議で実際に委員に配布された文書をアップロードすべきである。修正等を行う場合、行政の意思決定のプロセスを国民に明らかにするために、修正等を行った箇所と修正等の理由を明示すべきである。

 また、全日本吹奏楽連盟は、表現の修正にとどまらず文書全体を削除したことについて、理由を明示すべきである。

※<修正前>部活動指導を希望しない教師や、働き方改革ばかりを声高に叫んで定時でさっさと帰宅するような教師よりも、部活動を指導している教師の方が、教員としての意欲も資質を持ち、大いに学校教育に貢献していると言える。そのような意欲や資質を持った教師は、これから働き方改革や部活動の地域移行を進めてゆくうえでも、必要な人材だと考えられる。
<修正後>部活動を指導している教師が、生徒や保護者との信頼関係のもとでその能力を遺憾なく発揮し、一定の教育目的を達成している現実を否定することは望ましくない。改革の名の下にそのような教師のモティベーションを減殺してしまう結果にならないよう、留意が必要である。

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