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坂本龍一先生を哀悼しながら

 坂本龍一先生が亡くなった。先生が作った"merry christmas mister lawrence"をはじめて聞いた時、心の底から溢れ出す強い感動を覚えた。ニューヨークを拠点として活動していたが、韓国の映画作品“남한산성(日:天命の城)”に音楽監督として参加したり、“The Last Emperor(中:末代皇帝)”では音楽制作及び俳優も務めたり、したことはよく知られている。日中韓の間のつながりを強めて行くには、多種多様なアプローチが必要ではあるが、それはかなり長い道のりである理性的な手法で、その長い道のりを乗り切るにはやはりソフトでありながら強いインパクトを持つ芸術が不可欠である気がする。新冷戦時代に入っていると言われる現在、このような方がいないというのはかなり残念である。先生は日本人でありながら、時には日本、時には漢字圏の東アジアを代表していた。東洋と西洋との異なる文化(宗教、道徳など)を基盤とした組織構造とその営みなどの衝突と煌めきをその天才的な感性と語性で作品を作って世の中に送り出し、多くの人々に感動を与えた。その作品の数々は残るが、人が亡くなった喪失感はやはり大きい。
 同様に、私から見ると、BTSは坂本龍一先生と同じく韓国のアーティストでもありながら、東アジアを代表すると思える。その背後には経済的な成長の支えが大きいだろう。2000年代に花咲かせた中華系の俳優や監督たちも同じであろう。

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