よくがんばったね、かーちゃん

娘の歯を仕上げ磨きしながらふと思った。

そういえば…

この子に出逢う前は私はいつも静かで寂しい夜を過ごしていたことを。

夫と結婚してから毎晩帰りが遅い夫を忠犬ハチ公のように待っていた私。

夫の帰宅時間に合わせて温かい出来たての料理をふるまいたかった。

一緒に夕食を食べながら今日あったことを話したかった。

一緒にお笑いやバラエティ番組を観ながら笑いたかった。

それだけ。

ただそれだけなんだけど

夫はいつも22時を過ぎて23時を過ぎるまで帰ってこない。

人事異動で別の場所に異動しても帰宅時間はさほど変わらなかった。

新婚の頃は寂しいと素直に言えた。

でも3年、5年、7年、過ぎても私の寂しさは変わることなく、そんな事は言ってはいけないような気持ちになりその言葉は呑み込むようになった。

兄弟や友人達は後から結婚して1年もすれば赤ちゃんが生まれて夫婦2人から3人、4人と家族が増えて賑やかになり…

2人分の食事しか作らない私。

1人でTV相手に食べる私。

1人分の食器をカチャカチャと洗って

ゆっくり風呂に浸かって

レンタルしてきた映画を見終わっても夫は帰ってこない。

TVを消すとしーんと静まり返る部屋。

夫は仕事人間。

それは娘が生まれた後も変わらない。

私は結婚してから
 
結婚てこんなに寂しいものなのか?と悩んで泣いた事もあった。

友人に話すと「何でそんなに毎晩遅いの?」とか「夕食せかされないから楽で良いね」とか言われた。

2人で夕食を食べたい!という私の願いは週末だけは叶っていた。

でも…

平日の夜は長く感じた。

1日誰とも話さない日もしょっちゅうだった。

そんな私が今は

「うわ!もう8時やん!はよ、歯磨きしー!絵本読む時間ないよー!パジャマ着替えてートイレ行ってー!」
と毎晩叫んでいる。

娘に
「あなたが来てくれて寂しくなくなった。あなたが来てくれる前はずっとひとりぼっちだった。夜が長くて嫌いだった。」と話したら

「かーちゃん、ちょっとしゃがんで」と言われた。

ん?内緒話でもするのかと膝を曲げたら

娘が私の頭を撫でてくれた。
そして
「よくがんばったね、かーちゃん」と言った。

私が来たからにはもう大丈夫!と言わんばかりの上から目線に思わず吹き出しそうになったけど

寂しく長い妊活時代が全て報われたようで目頭が熱くなった。

そう、報われた。

何もかも。

毎日慌ただしくてオニババになる
かーちゃんだけどあなたに感謝しない日はない。

とーちゃん今日も遅い?
早く土曜日にならないかな?
とあなたが言うと私はごめんね…という気持ちになる。

寂しいね…のかわりに
「とーちゃんは◯ちゃんとかーちゃんの為に頑張ってるんだよ」と言える今がある事を幸せに思うよ。

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