『無料』と『有料』、逆転現象の感覚
『タダほど恐ろしいものはない』
という言葉を聞いたことがあると思います。
無料で無償で何かをもらうときは、何か、裏に恐ろしさを潜んでいるのでは?と勘ぐってしまいます。
何でもかんでも、価値やサービスを『お金』というものに変換して計り、交換するという社会です。
当然、お金が高いものほど、価値が高く、お金が低いものほど、ありふれているものということになります。
先日、「消費されない楽しさ」を見出していこうというお話があり、うん!面白い!!って思いました。
基本的には無料で、地域活動のなかで、楽しさをつくっていこうっていう話でした。
でも、その反面、逆転現象が起きることがあります。
以前、たしか「スーパープレゼンテーション」の番組で見たような覚えがあります。
『有料』となったときの価値観についてです。
例として挙げられていました。
保育園のお迎えで、18時までに行かないといけません。
でも、遅刻する人がしょっちゅういます。
遅刻しても良いやっていう雰囲気もあるのかもしれません。
保育をする方としては、人員体制、管理体制、大変です。
そこで、『罰金』を設けました。
ちょっとでも遅刻した人は、200円の罰金を払ってください。
つまり、たった数分でも、保育を利用する人へ、有料にしたのです。
これで利用者が減ると思いきや、
『200円で利用できる』という価値観になってしまい、以前にも増して、遅刻する人が多くなったそうです。
なるほど・・・!!
逆に、こんな例もあります。
なぜか、地域活動や市民活動、生涯学習の分野においては、『基本的に無料』みたいな風潮が強いです。
有料だとお客さんが来ない、参加者が増えない、という意識があります。
特に、市民センターなどで行うイベントは行政との紐づきもあるから、無料でやらねばならぬという、しきたりがあるようです。
ぼくは主催側で企画・運営することが多いのですが、
ある保護者さんたちと話していた時に、痛感しました。
無料で、「お菓子もらえるよ」「楽しいことがあるよ」っていうのは、何か怖い。何かさせられるんじゃないかとか、裏があるんじゃないかとか、思ってしまう。
とのことでした。
なるほど~!と思いました。
これぞ、タダほど怖いものは無いという感性です。
そう考えると、ショッピングモールなどの一角で、ケータイ会社さんなんかが無料で大盤振る舞いのキャンペーンなどをされていますね。ちょっとした入口から営業へと繋がっていきます。
まさにあんな感じでしょうか。
(営業スタイルを批判しているわけではありません。無料・有料の価値の対比として)
実は、『ちょっとした参加料』があったうえで、その先に楽しみが待っている方が面白そうと思えるのかもしれません。
例えば、地域の誰かがご馳走してくれるとして、お料理や飲み物など、たくさん用意してくださっています。こうした場面で、あまりお付き合いのない人でも繋がろうという作戦だとします。
みんなに振る舞いたいから、無料で参加してほしいと思います。
でも、参加する方にとっては、無料で行って、飲み食いを自由にして良いって、何だか気が引けるしなぁって思うかもしれません。
そこで例えば、「材料費の一部として200円だけお支払いをお願いします。あとは飲み食い自由です。」ぐらいの感覚だったら、ちょっとお邪魔してみようかってなるかもしれません。
(500円でも1,000円でも良いのですが)
ぼくたちのNPOは、子ども向けの『遊び』を出展する場面が多いです。
もちろん、どの活動でも無料で実施していて、楽しそうに遊んでくれています。
これをもし、『有料』にしたらどうなるだろう?ってふと思いました。
こんな例を聞いたことがあります。
地域のお祭りのようなところで、子ども達に楽しんでほしいからって縁日のような感じで、昔ながらの素朴なゲームや遊びなどがたくさん出されています。輪投げや手作りの釣りとかの材料費などもあまりかからない簡単に準備できるようなやつです。
現代っ子からしたら、しょうもないような遊びなのかもしれませんが、それが、どれも、1回50円で統一されていて、50円を払って遊びます。そして、参加景品として、どの出店でもお菓子をひとつくれるそうです。
『たった50円で、ちょっと遊ばせてもらって、お菓子をもらえる!』
子ども達は、とっても喜んで遊ぶそうです。
これがもし、無料だったらどうでしょう?
まぁ、楽しんでくれる人はいるとは思いますけど、お菓子は準備できないかもですね。経費を誰が出すのかということもありますね。
こういう例もあります。
生涯学習講座で、無料で講座を開きます。
なかなか参加者も集まらないし、来たとしても真剣さが無いから、あまり聞いてもらえない。
一方で、受講料100円。
たった100円で、こんな内容が学べるの!?という感性で、逆に参加者が多く集まり、さらには、100円払っているから、みんな主体的に学ぼうとする姿勢があったそうです。
今度、実験してみたいなと思うのは、
いつも、ぼくたちが実施しているような出展ブースを、1回10円!みたいに打ち出してみるとどうかなと思います。
無料と10円の違いは、運営上や支払う方にとってはさほど違いは無いように思いますが、気持ちの上で全然違うかもしれませんね。
10円でこんなに楽しい!
しょぼいけど、10円なら仕方ないか。
そん価値もあるかもしれませんね。
仮称:『10円ランド』
これは楽しいかもしれません。
昨日の夕方、ニュースで、軽症での救急車の利用について有料にするという自治体がついに始まるという報道があっていました。
救急車は出動がひっ迫していて、本当に緊急的に利用が必要な人に届かないということも発生しています。
また、ニーズが増す一方で、税収は減り、継続運営が難しくなっています。
そこで、入院しないような、軽症事案については有料にすることを、ついに決めたそうです。具体的には7,700円とのことでした。
以前に担当をしていたぼくとしては、ついにやってくれた地域が出てきた!と思いました。今後の展開を注視したいと思います。
これにより、利用を控える人も一定数いると思います。
でも、はたまた、救急車を呼びたいけど、もし、大したこと無かったらお金を払わないといけないし・・・そう考えているうちに、即座に119番できないかもしれません。これはあってはなりません。
一方で、『7,700円払えば救急車を呼んで良い』という制度になりかねません。
これが逆転現象ですね。
とは言え、この議論はもう十年以上していますし、値段設定もちょうど良い感じだと思います。
保育園の例にしろ、救急車の例にしろ、
社会の中でのモラルをもって、
誰かがその負担をしてくれている、ということを思わないといけないですよね。
この、無料か、有料か、という価値観と逆転現象。
勉強・研究していきたいと思います。
今日もご覧いただきありがとうございます。
冒頭のイラストは、新町まつり | たのしい自由研究・創作note|noteさんの作品を使用させていただいています。ありがとうございます。
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おぉ!今日の記事とタイムリーな話です!
ぜひ、ご覧ください。
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