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日常の記
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10年使ったRicoh CX3と「意識の揺らぎ」

・はじめにところが写真を見るとき、私たちは決してあともどりできない時間の宿命、それがもたらす意識の揺らぎに、はたときづかされるときがある。[・・・][・・・]撮るのは一瞬だが、見ることには何度でももどれるから、そのたびに変化する自分を見いだすはずだ。 『彼らが写真を手にした切実さを』 大竹昭子 ・本題このCX3はVanNuysのケースに収まり、いつも私のそばで出番を待っている。 サブカメラとして、メモ帳と鉛筆代わりに日常生活の記録用に使ってきた。サブだからといってぞんざい

少女の横顔と猫の横顔、そして孤独

孤独と書いたが、次の写真が孤独と決めつけているわけではない。 少女は、おとなしい人かもしれないし、逆に活発で明るく孤独とは無縁な人かもしれない。 猫は寝ようか食べようか、今日を生きるために思案しているのかもしれない。 ただ、少しだけ孤独のたたずまいというか雰囲気があるような気がする。 撮っている自分が孤独について考えていたからだろうか・・・。 人間であれ動物であれ、その内面が孤独であるかは誰にもわからない。 いうまでもなく、孤独に入り込むなんてできるわけないのだか

私の物語はどこにあるのだろう・・・

なんとなく感じるけど、noteの底流に次のようなことが含まれているのだろうか・・・ 私はこう考えた、最も平凡な出来事がひとつの冒険となるには、それを〈語り〉はじめることが必要であり、それだけで充分である、と。これは人が騙されている事実である。人間はつねに物語の語り手であり、自分の物語と他人の物語に囲まれて生活している。彼は日常のすべての経験を、これらの物語を通して見る。そして、自分の生活を、他人に語っているみたいに生きようと努めるのだ。 『嘔吐』 J-P・サルトル  白井浩

初対面の猫との距離感:心のズームレンズ

散歩にはDfを持って行くが、かさばるズームレンズは使わない。知り合いの猫さんは気をゆるしてくれるから寄って撮れる。日によっては初対面の猫さんに遭遇することがある。仲良くなって近くで撮るには時間がかかるので少し離れた位置からシャッターを切るしかない。ズームでもうちょっと大きくしたいと思うときもあるが、小さく写った猫さんたちを見ているといろんなことが想像できる。これはこれで面白いではないかと思うようになった。 1枚目:Voigtlander NOKTON 58mm F1.4 S

頻脈とゴッホの絵

ソファで本を読んでいると、いつものようにApple Watchの「呼吸」アプリが起動した。計測すると脈拍が100近くになっていた。通常は70〜80台なので、念のためもう一度計ったが結果は同じだった。この時は、気になることがあって、どうしても胸のざわつきを押さえることができなかった。おそらくそれが原因だったのだろう。 私は過去に頻脈を経験しているので少しいやな感じがした。頻脈の場合、平静になろうとするとかえって不安が増して落ち着かなくなる。頻脈はコントロールが難しいというより

iPhone受難とHSP

iPhone12が登場したというのに、いまだにiPhone7を使っています。私には実用上7で十分なのです。車はフランス車を10年乗り続けていますし、PCはiMac (27-inch, Late 2009)を改造しながら使い続けています。単に物持ちがよいだけなのかもしれません。 iPhone受難のひとつめは、経年劣化に加え寒い季節になってバッテリー性能が著しく低下したことです。バッテリー交換をアップルに任せるとしばらく使えなくなるので現実的な解決策にはなりません。自分で交換す

白猫から派生するもの

この白猫さんとの付き合いは3年ほどになります。いつも会っているわけではありませんが、3年という年月の積み重ねで猫の心にも変化があったのでしょうか。先日カメラを向けると、正面からカメラ目線で撮らせてくれました。逃げることなく、こちらに視線を向け、ポーズをとってくれました。外猫さんは用心深いので、まだ体を撫でるところまでいきません。しかし、これまでより、お互いの距離が少し近くなり嬉しくなりました。 撮る時、猫の表情を見ながら近づきますが、逃げられることもあります。そこで、もう一

音楽の捧げもの

バッハではありません。 日々頭を絞っているクリエーターの皆様、ご苦労さまです。気分転換用の音楽を探してみました。 マイルス・デイビス(Miles Davis)の『ビッチェズ・ブリュー』(Bitches Brew)は早足ウォーキング向き、ティル・ブレナー(Till Brönner)は貴腐ワインのように甘っぽいので却下。 ということで、アヴィシャイ・コーエン・ビッグ・ヴィシャス(Avishai Cohen Big Vicious)はいかがでしょうか。

至高の笑い vs 笑いのドリップ

昨年コロナが本格的に拡大し始めた頃、知り合いの医師からメールがきた。手洗い、うがい、食事、運動等のアドバイスの最後に、「笑いを忘れないように」と付け加えてあった。 ハッとした。メンタル管理は心掛けていてもすぐに忘れてしまう。笑う余裕を持つことは簡単ではない。 笑いに関して、開高健さんのエッセイに次のように書いてある。 無償で、自然で、人をくつろがせ、血をわきたたせながら聡明の高さへとび、一晩や二晩では消えることがないという笑いがないものだろうか。 『開高健ベスト・エッ

Lee Ritenour - WES BOUND でリフレッシュ

別の見方をすると、noteは先入観の坩堝みたいなもので、知らないうちに柔軟な発想や思考が萎えてしまうようだ。 いろんな記事を読むのは面白いが、先入観の残像にとらわれてしまう。そんな時は、好きな曲を聴きながら、一度頭を空っぽにするのが一番だ。 ウェスバウンドは、リー・リトナーが敬愛するギターの神様ウェス・モンゴメリーに捧げるトリビュートアルバムです。 フュージョン風ですが、ギター好きに限らず、ジャズファンに聴いていただきたい曲です。 リー・リトナーが一緒にプレイしているジ

Sweet Rain

数日前のこと、朝5時前に目が覚めた。まだ静かな時間の中で雨の匂いと秘やかな雨音を感じた。まだ梅雨なのだ。 窓を開けしばらくベッドに横になっていた。雨で冷やされ、湿り気で程よい質量を得た早朝の風が体を包む。ぼんやりした頭にいろいろなことが浮かんでくる。 高村薫さんの『土の記』を思い出した。物語の冒頭で描写される湿度感は印象的だった。雨と湿気が私の体に自然に浸透してくるようだった。読むうちに、小説の細部を丁寧に描くことがどれほど大事なことであるかを痛感した。 映画『地獄の黙

蝉時雨からchantへ

毎朝5時半頃目が覚める。というより、家人が朝食の準備をする音で意識が戻る。腰痛持ちなので起き上がる前にストレッチをする。早起きの猫が何をしているんだという表情で私を見ている。君も毎日よくやっているでしょうと目で返す。 朝食のメニューは野菜スープ、パン、果物、コーヒー。野菜スープは前夜に私が作っておく。レシピは省略するが、スープはニンニク、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ、カボチャ、シメジ、ブロッコリー、煮豆、固形ブイヨンなどで作る。トマトを入れて変化をつけることもある。煮る時