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天龍寺で初めての座禅体験!警策の痛みは?マインドフルネスとの違いは?

 座禅体験に初めて参加したのだが、かなり戸惑った。

 子育てや仕事、イライラする日常におさらばすべく、スマホのアプリで「マインドフルネス」を始めた。スッキリする。
 となれば、次は座禅でピシッと叩いてもらいたい。予備知識もなく、とりあえずお寺へ行くことに。


叩かれると痛いですか

 京都人ではあるのだが、休日はお寺に行かずイオンモールへいく。お寺のしきたりが全然わからない。
 天龍寺(臨済宗)。百畳はあろうか、特殊な座布団が並んでいる。清潔そうなお庭にどこかお線香の香り。横に座った経験者らしい御婦人。

 「叩かれると痛いですか」なんてマヌケな質問をすると、
 「ほぐれていいのよ」
 とおっしゃる。

 御婦人はヨガをするような格好だ。次第に混み合う会場。観光地のはずだが、外国の方も、ディープなオーラがでてらっしゃる。マジな人たちばかりだ。

 これは違ったかもしれん、私には早すぎた。

 緊張して待つと、登場したのは、小太りで柔和な「ザ・和尚さん」って感じのタレ目のおっちゃん。

 「はい、こんちくわ」

こんちくわ

 私にはそう聞こえた。
 いや、ホントに。

 横の御婦人はホホホと微笑まれたし、会場には笑いが生まれていた。間違いなく「こんちくわ」がうけたのだ。
 いや、文章で「こんちくわ」なんて面白くないかもしれんが、今から座禅するぞ、しーん、空気がピリッ、そこへ和尚が現れ「こんちくわ」は、どうにも可笑しい。

 和尚さんから、座禅のレクチャーを受け、私語やスマホ、写真撮影禁止など一般的な注意事項があり、肩を叩く棒の説明があった。
 名前を、警策(けいさく)というらしい。

イメージです

 警策を受ける場合は、正しい姿勢と礼儀がある。和尚さんが、なんだかんだ仰っていたが、まあ、なんとなくわかるんだろ、なんて長い話だったので、完全に気を抜いてしまっていた(すいません)。

 「では、今回警策してくれるのは、この人です」

 和尚の紹介で奥から出てきたのは、痩せ型で眼鏡をかけた、真面目そうな若い男性。「ルパン三世」にでてくる石川五ェ門がメガネをかけたみたいなお方。

 え? この人っすか? 目がキリッとしてるんですけど?
 和尚がやってくれないの? 和尚も一緒に座っちゃう感じ?

 チーン

 澄み切った音と、鳥の鳴き声。
 ついに始まった座禅体験。

 五エ門が棒を肩にかつぎ、ゆらりゆらりと歩き出す。独特のリズムを持った動き。ちらりと見やると、目が怖い。

 いっぽいっぽと迫ってくる、棒を肩にかついで。

 もしかして、もぐらたたき的に、集中してない奴が叩かれるの?

やべっ

 横の御婦人が頭を深く下げられた。
 五エ門の足がとまり、深くお辞儀。そして、

 ピシィー、ピシッ! ピシィー、ピシッ!

 「頭を下げる」
 と左右の肩を叩かれる仕組みらしい。

 子どもに「早くしなさい」と声掛けしたり、「早くした方が勝ちだよ」なんて煽ってしまう毎日。人生は勝負じゃないのに。
 自分の呼吸を整え、心身を改めねばならん。

「勝つ」というバーチャルな価値だけにこだわると、終りのない「競争」に突入します。完全な勝利(つまり安らぎ)は、どこにもありません。しかも、ほとんどの人は「負け」を味わうことになります。

(*:163頁)参考資料の詳しい引用元は文末にあります

 ピシィー、ピシッ!

 ここまで来たら、叩いてもらおうじゃないか。怖いけど。

 家族のためだ、こいっ!

 頭を下げる。

 五エ門の足が止まる。
 腕を胸の前で交差して、頭を下げたままにするように促される。

 夏も冬も裸足なのだろうか、ゴツゴツした岩場のようなお足だこと。

 目を閉じる。

目を閉じるのは、反応しないため。目を開くのは、妄想から目を醒ますため。シンプルですが、これが競争という名の妄想から抜け出すための第一歩です。

(*:170頁)

ピシィー、ピシッ!

 不思議なことに、たしかにほぐれた気がした。痛みはほぼない(肩こりである私の場合)。

マインドフルネスとの違い

 「マインドフルネス瞑想」と「座禅」をやってみて、座禅はやはり、仏教の修行の一つなんだな、と再認識した。
 姿勢を正して座り、呼吸を整える。座禅をしていると、心が整ってくる(気がする)。般若心経の世界とでもいうのだろうか。
 明確に違うのは、座禅は目を少し開けておく点だ。風景が見えるからだろうか、一瞬ではあるが何もない。音はするんだけど、平面的な感覚。心が和らぐのがわかる。

 マインドフルネス瞑想は、私の勝手な理解では自分の内面の動きを客観的に見つめるイメージだ。
 座禅はある種、宗教的であり、不思議な感覚の体験だった。


引用資料
*;草薙龍瞬 (著)『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』KADOKAWA(2015/7/31)


今回、座禅体験をさせて頂いたのは

会場:天龍寺の友雲庵(京都市の嵐山にある大きなお寺)
日程:毎月第2日曜日の9時〜10時(※2・7・8月は休み)
参加費:無料(一般)事前予約不要
備考:座れない方のために椅子がある(要確認)
  :飲み物があると便利


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