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展覧会レポ:ゴッホ・アライブ展を体験「無理やり侵入してくる」

 ゴッホの絵って、普段の生活で見かけることありませんか? 百均にもありますし、ほかにも「星月夜」柄のペンケースやら、「ひまわり」柄のメガネケースもあるらしいです。つい目がいくんですよね。
 ゴッホの人柄も気になり、つい耳を触ってしまうんですよね。そんなゴッホの世界を体感できる展覧会に行ってきました。


娘を連れてゴッホ展へ

 「ゴッホ・アライブ展」兵庫県立美術館で開催された没入型展覧会(2023.6.4まで)。
 「五感で体験する展覧会」らしくて、カッコいいチラシをみた小学校4年生の娘が連れていってくれ、と。会場に入ってみたら、即、後悔でした。娘にとって、美術館そのものが初体験なのに、父親として初回をあのゴッホにするんじゃなかった?!

人生初のゴッホに没入体験

 没入型の展覧会で、デジタル化されたゴッホの絵画が、会場の壁という壁全面を動き回って、上品なクラシックの名曲とともに、燃えるような色彩、ぬたくったような表現、そのタッチが息づかいとして伝わってくるんです。
 混雑はしていましたが、ディスタンスにそこまで気を遣わなくてよいらしく、床に座って観るスタイル。ゴッホの絵の中に入れるという驚き。美術館はもはや疑似体験の装置と言っても過言ではないでしょう。
 ふと気づいたんですが、ゴッホの絵というより、ゴッホがぼくの頭の中に入ってくる感覚があるんです。
 そろそろ帰ろか、と娘にお声をかけしても返事をいただけない。
 娘は床に座り、手を伸ばしているんです。おいおいっ、純粋無垢な娘よ。そんなことして大丈夫か、と。

手にゴッホが映し出されている
「ゴッホ・アライブ展」で手をかざす娘

 もしもの話ですよ。ぼくがゴッホの知り合いで、彼が生きているとして、娘を会わせられる立場なら、どうしたか。耳をちょん切った後のゴッホだとして、会わせます? 絵に熱中しすぎて絵の具を食べたらしいですよ。熱中しすぎて食べたことあります? サッカーが好きすぎてサッカーボール食べます? 

壁に映し出された絵にはゴッホの言葉

 ゴッホ「僕は心も魂も作品の中に込め、そのために正気を失ってしまった」
 ってことは、せめて絵の具をかじらないと、帰れないってことですよ!? めくるめくゴッホの絵が入ってきよるんです。とんでもない疑似体験。なんて、ドラマチックなんだ!

 「ゴッホなら、本物みたことあるけどさ」ってマウント取ってくる人もおります。「名画ってのはさ、入り込んでしまうものなんだよねー」とかなんとか。そうかもしれんけど、絵の具を食べる覚悟はしてないやろ。疑似体験には覚悟がいるのよ。ゴッホ体験をなめないでいただきたい。

お土産コーナー

 やっとのことで会場を出ると、お土産コーナーで同じくらい時間をかけて見て回る未来の巨匠ちゃん。洒落た塗り絵が欲しいらしい。
 彼女は人物としてのゴッホより、アートの中に入ることを楽しんだようだ。普段感じることのできない、新しいツボを刺激してもらったような体験。これこそアートを楽しむってことの真髄かも。
 さらにお土産を物色する小学4年生。そういえば、賢い後輩に趣味を聞くと「塗り絵です」と。なるほど、子どもには、まず塗り絵からだったか。いや、塗り絵に凝ってクレヨンでも使おうものなら、クレヨン食べてしまうかもしれん。

 なあ、はよ帰ろ。


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