見出し画像

アイルランド語

アイルランドの公用語は、英語とアイルランド語(ゲール語)です。
表紙の言葉はスロンチャと発音する私の唯一知っているゲール語で、乾杯という意味です。

ゲール語が昔からアイルランドで使われていた言語ですが、17世紀頃にアイルランドが英国植民地となった頃から、徐々に英語に取って代わられており、今ではゲール語を日常的に話す人々は、アイルランド西部の限られた地域に住むのみです。

英国が英語を強制したこともありますが、ビジネス上の有用性からも英語が重宝され、現在では全人口の2-3%の人々しか話していない言語です。

それにもかかわらず、ゲール語は今も小学生から高校までのカリキュラムに必修科目として組み込まれており、アイルランド人達は日常で使わないゲール語を学習します。

アイルランドでは、子供達にゲール語を学習させるべきか否かという論争が長く存在し、学習させるべきとの意見の根拠としては、ゲール語及びゲール語文化を守ろうとされています。
言葉は思考や文化の礎ですからね。

私はこの議論では反対派を支持しており、ゲール語の義務教育は廃止されるべきと考えています。
子供達に使わない言語を、義務で10年超学ばせることは有意義な時間の使い方と思えません。

ゲール語は美しいし、ゲール文化も尊重されるべき重厚な文化です。でも使われない言語って、既に実用的なものから芸術文化的なものへと変遷していると思っています。

古代文字ヒエログリフを、現在実用的に使っている人はもはや誰もいないけれど、この文字の文化的芸術的価値を否定することができる人は誰もいません。ゲール語もそこに近づいていると思います。

無理をして全員にゲール語を強制するのではなく、その学術的価値を信じる人や守りたい人が学ぶべき言語だと思っています。

間接的な知り合いが、ジュネーブ国際機関にてゲール語の翻訳家として働いています。
アイルランドの公用語にゲール語があることから、その人は重要文書を英語からゲール語に翻訳し、保管しているのです。
国際機関勤務で金銭的には良い仕事だけど、付加価値を生んでいると信じられない辛い仕事だとぼやいていたそうです。

ゲール語を公用語とすることで失われているもの、についても考える時が来ていると思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?