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外資就職:株式報酬と税制を確認しよう

外資就職する際には、必ず確認すべき項目に「株式報酬の有無」があります。

どこの国で課税されるにせよ、株式報酬及びその税制(報酬課税と売却益課税)を大枠で確認し、純額利益はどの程度となるか確認しておきましょう。

話はそれますが、日本は長い間、株式報酬に関しては積極的ではない印象がありました。
しかしコーポレートガバナンスコード適用後、特にここ数年で株式報酬を導入する大企業も増えてきましたね。先日も三井住友信託銀行が従業員に株式報酬付与すると発表していました。

全世界的に株式報酬により従業員のモチベーションを高め、企業価値最大化を目指す動きは高まっています。その筆頭はやはりアメリカ企業で、海外進出しているアメリカ上場企業で、株式報酬制度がない企業はほぼないと言っていいくらいではないでしょうか。

アイルランドには非常に多くの外国企業が進出しており、株式報酬制度を採用しています。
自身の子会社従業員に、親会社の株式を付与することで株式報酬としています。

外資ターゲットの就職活動の際は、ぜひこの株式報酬について明らかにしておきましょう!

最もポピュラーな2つの制度(RSU、ESPP)について概要を説明します。
外国に居住地がある親会社株式を報酬として受け取る場合(アメリカ親会社株式を、アイルランド子会社を通じて受け取る場合など)は、基本的に税制非適格となり、その報酬部分は全額課税されます。

・RSU (Restricted Stock Unit 譲渡制限株式ユニット)

親会社株式を勤務年数等一定の条件を満たすことで報酬として受け取ることのできる権利。
最も多いパターンは、入社時ボーナスや定期賞与として、一定株数付与され、一年毎に譲渡制限が解除し権利が確定していくものです。

例えば、入社時に100株付与され(Grant)、
1年勤務する毎に25株ずつその所有が確定する(Vest)などです。
4年在籍すれば100株全て貰えますが、3年在籍して辞めると、75株のみ所有が確定し、残りの25株は入手できません。

アイルランド税制上は、Vest時に給与所得税等が課税されますが、RSUは源泉徴収がなされるので従業員としては株式報酬における税金納付対応は不要です。
例えば税率を52%と仮定すると、25株Vestされても、実際に受け取ることのできるのは税引後株数の12株のみです。つまり25株のうち52%である13株は税金として天引きされるのです。

また毎年一定額のRSUを付与する会社などでは、どのタイミングで退職するかで受け取るRSU金額が変わってきますので、慎重に検討すべきでしょう。

・ESPP (Employee Stock Purchase Plan、従業員株式購入制度)

従業員が毎月給与から天引きされた原資を元に、親会社株式等を割引価格にて購入できる制度。多くの会社で、割引率は15%程度です。
つまり購入してすぐ売却すれば、その15%がそのまま利益となります。
年間最大購入額には上限がありますが(アメリカ法人株は$25,000まで)、最大額まで利用しましょう。

RSUが比較的上位の役職にしか付与されないのに対し、ESPPは基本的に全従業員にオープンです。若い従業員などで制度を利用していない人を見かけますが、本当にもったいないと思います。制度申請は大した手間ではありません。必ず利用しましょう。

ESPPに関する税金は少し注意が必要です。
会社が天引きして従業員のために納付してくれるRSUと異なり、こちらは自分で税金を納付する必要があります。
要は割引額分が従業員としての報酬と扱われるため、その金額に対する課税分をRTSOフォームを用いて、申告納付する必要があります。

以上、ポピュラーな株式報酬のお話でした。
次回はストックオプションもまとめてみます。


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