認知症を引き起こす最大の原因疾患 「アルツハイマー病」
インターリハ開発部です。
今日も私たちの記事を読んでくださいまして、ありがとうございます。
これまで「認知症」に関する記事をお届けしてきました。
今回は「アルツハイマー病」についてお話をします。
<アルツハイマー病とは>
アルツハイマー病は、認知症を引き起こす最大の原因疾患です。
認知症全体の半分以上が、アルツハイマー病が関与していると考えられています。
アルツハイマー病には遺伝的な問題によって、
若いときに発症する若年性アルツハイマー病もありますが、
ほとんどが高齢期に発症し、加齢とともに有病率は上昇します。
この病気は、現在のところ完全に治癒することはできません。
徐々に症状が進行して最終的には死に至ります。
80歳以下で発症した場合には死に至るまで10年くらいの期間がありますので、その間に介護が必要となります。
<アミロイドβという成分>
アミロイドβ(ベータ)は、
アルツハイマー病患者の脳内に蓄積しているアミロイド斑の主成分です。
凝集することで神経毒性を持つようになり、
アルツハイマー病の原因物質であるとされています。
脳内アミロイドβの蓄積は認知症発症の20年くらい前から始まっていることが明らかとなり、アルツハイマー病の予防のためには早期からの対処が必要であると考えられます。
正常な認知機能の方でも65歳くらいでは20%程度の方にアミロイドβの蓄積があり、80歳では40%程度の方に蓄積が認められますので、認知症予防の潜在的な対象者はかなり多いと考えられます。
<アルツハイマー病の薬物治療>
アルツハイマー病を完全に予防したり治癒できる治療法はありません。
現在の治療は、
神経の伝達を助ける対症療法としての薬が処方されています。
100を超える新薬の治験が進んでいますので、
効果の高い薬の開発が期待されます。
また、周辺症状(焦燥、暴力など)を穏やかにするための漢方薬が利用できます。症状が強い場合には向精神薬(睡眠薬や抗不安薬)が利用されることもあります。
<遺伝子の異常>
若年性アルツハイマー病の方に多く認められる遺伝子の異常が、
プレセニリン1とプレセニリン2、
そしてアミロイド前駆体たんぱく質の設計図となる3種類の遺伝子です。
これらの異常によって、アミロイドβの産生が増加してしまいます。
また、高齢期のアルツハイマー病発症に強く影響するのがアポE4です。
これは神経の変性や炎症を引き起こす遺伝子の異常です。
この異常がある場合には、ない人に比べて数倍から10倍以上アルツハイマー病になりやすいことが分かっています。
<血管性認知症>
脳梗塞や脳出血といった脳の血管が詰まったり切れたりすることによって、脳がダメージを受けて認知症が生じます。
大きな病変ではなく小さな病変でも、その数が多くなれば認知症になります。
また、脳の動脈硬化によって大脳白質病変という変化が生じます。
これも一定以上ひどくなると認知症を生じる原因となります。
血管病変の最大の原因は、高血圧です。
適正に血圧をコントロールしておくことが重要です。
また、糖尿病や脂質異常症の方もそのコントロールが必要となります。
<その他の認知症>
アルツハイマー病や血管性認知症が認知症の大部分を締めますが、
その他にもレビー小体型認知症(脳にレビー小体というタンパクが蓄積)、前頭側頭型認知症(若年で発症することが多い)が代表的です。
また、原因となる病気の治療によって症状が改善するのは、
正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症などたくさんあります。
最近急に記憶力が悪くなるなどの症状に気づいたら、
一度主治医に相談してみましょう。
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