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映画『洲崎パラダイス 赤信号』

Amazonprime、日活映画の旧作が豊富な印象があって、これもそのひとつ。
ひと言でいえば腐れ縁の男女のぐずぐずした関係をとらえた映画、だけどとても面白い。新珠三千代が手前から画面の斜め奥へ走っていく場面が何度もあり、着物が日常着だった時代とはいえ、快足が小気味よい。この小気味よさが映画の中にずっと流れていて腐れ縁映画なのに湿っぽくないのです。
道連れの男は甲斐性も覇気もないくせにいっぱしに嫉妬したりする面倒くさいヤツ、女は女で流れついた食堂に半ば強引に居座って働き、客に色目をつかうはすっぱなヤツ。その二人がすったもんだしたあげく映画の最終盤でまた冒頭と同じように橋に立つ姿を見、既視感のあるその相変わらずぐずぐずの二人が、堂々巡りにくすぶり続けるだけの円環をすり抜けて映画が終わることにあっ!となる。不思議とさわやかな後味の映画でした。

#映画感想文 #川島雄三

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