海と陸の境界
近所の伊勢山皇大神宮は、昔は初詣の人もまばらで、紅白を見終わって、船の汽笛が鳴りだしてからパジャマの上にコートとマフラーをぐるぐる巻きにして家を出ても、十分お参りができた。
※横浜港に停泊している船が一斉に汽笛を鳴らすので、除夜の鐘は聞こえないのです。
でも、今では7日過ぎまで長蛇の列で、駐車場待ちの車がずらっとならんでいる。もう、地元の人の神社ではなくなってしまったみたいで、ちょっと寂しい。
昔々、縄文海進のころは横浜駅から桜木町駅、関内駅、石川町駅までは海の底だった。
その頃の想像の地形図に神社の場所を黄色い★印でつけると、伊勢山皇大神宮は岬の突端だ。
目の前は海。眼下には姥島という大きな岩があった。
この時の神社からの眺めを想像すると、とても気持ちがいい。
今も鳥居は細長い石に、注連縄を渡したもので、
それはもやい綱のようにも見える。
きっと鳥居越しに海が見えていたのだろうな。と思っていたら、本当にそうだった。写真があった。
伊勢山という名も、天照さんを祀ってるのも、明治以降の話で、きっと元々は名前も無い漁村の小さな産土神、船の安全を祈願する神さまだったのだろう。
それが開港してしまい、歌川広重の絵にも描かれてしまい、「横濱総鎮守」とうたって、今では初詣に地元の人が行けないくらいの行列になってしまった。
神さまはこうして作られてゆくのだな。
伊勢山皇大神宮に参拝されるなら、本殿の横に並ぶ、大神神社の磐座、かつての姥島にあった安産と子育ての女神さまが移られた杵築宮(子之大神)も是非。
不思議なことに、いつでも、いちばん力が感じられるのは、大神神社の磐座だ。
本殿(天照さん)は品がいい。
そして、杵築宮は優しい。
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