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シン・ウルトラマンを見た君は次にウルトラマンエースを見ろ

特撮ファンとしてはありがたいことに、シン・ウルトラマンが一般層の間でも話題になっているようだ。
興行収入としても、もうすぐ30億円だとか、このペースならば40億円だとか、景気のいい話が聞こえてくる。
一時期、新作すら全く出てこなかった頃のウルトラマンを思い返すと、涙が出るレベルで嬉しいことだ。

この、せっかく灯った火を消さずに、ウルトラシリーズへと新規人口を流入させたい・・・!
多くのウルトラファンがそう思い、
「まずはZが見やすい」
「いや、ここはXだ」
「ジードもいい」
「グリージョ」
と、シン・ウルトラマンの次に勧めるべきウルトラ作品を巡って激論を戦わせている。

もちろん俺もその一人だ。
そこで、このnoteで俺は、「ウルトラマンA(エース)」のプレゼンテーションを行いたい。
なぜなら、俺が最も好きなウルトラマンはエースだというのに、上記の激論において、エースの名前は一つとして出てこないからだ。
シン・ウルトラマンの陰に隠れているが、エースだって今年は50周年のメモリアルイヤーなんだぞ!
もうしょうがない、俺がやらねば誰がやる。
龍拳爆発だ。

まずは以下を読んでくれ。
そして、君はどのウルトラシリーズから見るか決めてくれていい。
ただ願わくは、最初じゃなくてもいい、君のウルトラ歴のどこかで、エースを見るタイミングが来ますように。

光線技のエース

ウルトラマンエースは、こんな感じのウルトラの人だ。

身長40メートル、体重4万5千トン。
ちなみに、同じ身長のウルトラマンジャックに比べて1万トンも重い。
それを裏付けるかのように、見た感じももっちり・・・いや、どっしりしている。安定感があって良い。

そんなエースだが、別名「光線技のエース」と呼ばれるとおり、ウルトラ兄弟の中でも随一の技数を誇っている。
腕をL字型に組んで放つ、虹色の必殺技「メタリウム光線」をはじめとして、額から放つ「パンチレーザー」や、カラータイマーから出るカラフルな「タイマーショット」など、当時の特撮技術の粋を集めた必殺光線は美しく、見ているだけで興奮する。目もちかちかしてくる。

また、エースの真骨頂と言えば切断技だ。
「ウルトラギロチン」「バーチカルギロチン」「ホリゾンタルギロチン」「マルチギロチン」「サーキュラーギロチン」「スペースギロチン」・・・ギロチンだけで何個あるんだよ!
他にも実体剣「エースブレード」(長ドス)もあり、エースの殺意の高さを裏付けている。超獣絶対殺すマンだ。

それら必殺技を受ける超獣はひとたまりもない。
血しぶきが上がり、腕がもげ、目玉は飛び出て、内臓は零れ、最終的には爆散する。
今回は一体どんな倒し方をしてくれるかな!というのが、エースを見る楽しみの一つであると言えるだろう。

なお、俺のおすすめは、やっぱり8話である。
真っ二つになるメトロン君や、引き裂かれるムルチ、そしてドラゴリーについてはそこまでやらんでもいいだろ・・・とドン引きするほどのオーバーキルをしているので、ぜひ映像で確認してみてほしい。

ウルトラ兄弟は2度全滅する

ウルトラマンエースは、「ウルトラ兄弟」という設定が確立された時期の作品だけあって、頻繁に兄さんたちが助けにやってくる。
5話に1回くらいのペースで来る。
放映リストを確認してもらえばわかると思うが、特にゾフィーとセブンは来すぎである。そんなに弟が可愛いか。
ただ、いずれにしても複数のヒーローが出てくるのは子供心にも嬉しかった。単純に豪華な感じがしたんだよね。

ところで、そんなウルトラ強打客演回の中でも目を引くのが
第13話の「死刑!ウルトラ5兄弟」
そして第26話の「全滅!ウルトラ5兄弟」
ではないだろうか。
なんで1クールに1回、コンスタントに全滅しとるんじゃ。

1人ずつ客演する時はともかく、全員で客演しようとするとどうしても
「うわ・・・ウルトラ兄弟、弱すぎ・・・!?」
となってしまうので、個人的には悔しい思いでそれらの回を見ている。

特に13話においては、全滅までの流れが(ウルトラ兄弟の妙にのんきな会話も含めて)馬鹿みたいだから、ぜひご視聴をお勧めします。
エースの新必殺技も出るぞ!

信用されない北斗星司

シン・ウルトラマンでは、ウルトラマンが人間を(若干強火ぎみに)信頼してくれるシーンが描かれた。
そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。

しかしウルトラマンエースでは、主人公である北斗星司がとにかく信用されないシーンが事あるごとに挿入される。
それでも人間を好きでいてくれるのか、ウルトラマンエース。

そもそも、

ウルトラマンエースの宿敵「ヤプール」が、常識を超越した作戦を展開する

主人公が異様な体験をする

それを味方(防衛チーム「TAC」)に話すが、全然信じてくれない

といったお話のパターンが多いのである。
大体そういう相手に対するための組織なんだから、
「常識では考えられない」
とか言って却下しようとするんじゃないよ!

中でも、第23話における信用されなさはすさまじい。
主人公の半分錯乱しているような演技、そしてそれによって発生する気まずい雰囲気といったら!
セリフの長回しといい、一見の価値はあるのでぜひ見てほしい。

※ここに、信用されなかったそのセリフを引用しておくので、君は信じてあげてくれ。

北斗星司「しかし、オレは本当に見たんだ!
確かに子供達は消えたんだ!
砂浜でだ!
真っ白い砂浜で・・・。
海は青いかと老人が言うんだ。
子供達は黄色いと答える。
山は緑か、茶色だと答える。花は咲いたか、いや死んでる。みんな一斉に答えるんだ!
それから歌だ!今流行っている歌。お前はお前を信じなさい。ホレ信じなさい。ホレ信じなさい。」

(周囲を見回す)

北斗星司「誰もオレのことを信じていない・・・。」

(息を吸い込む)

北斗星司「それからオレは砂浜に降りた。
急に冷たい風が吹いてきて、辺りが暗くなったんだ。
白いモノが降ってきた。雪だ!
こんな真夏に雪が降るなんて、オレだってそう思いましたよ!
でも確かに雪なんだ!冷たいっ!寒いーっ!」

いや(信じるのは)無理でしょ。
こんな胡乱な状態の隊員がいたらとりあえず休暇を与えるなどの処置をするのは正解だと思いますね。

最後の願い

ウルトラマンエースのネタバレをするが、彼は最終回で、宿敵ヤプールに敗北する。
配下の最強超獣は倒したものの、地球から追放されてしまうためだ。
そんな彼は、最後にこんな言葉を残す。

「優しさを失わないでくれ。
弱い者をいたわり、互いに助け合い、どこの国の人達とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。
例えその気持ちが何百回裏切られようと。
それが私の、最後の願いだ」

この素朴な言葉で綴られる願いは、寛容さがどんどん失われている現代にこそ刺さる。
やれ多様性だなんだと綺麗な言葉を並べたてながら、その実、「正しい」とされる単一の価値観に統一を図ろうとする動きがある。

いや、エースの言う「どこの国の人達とも友達になる」というのは、そういうことじゃないだろう。
むしろ真逆だ。
異なる、互いに相いれない価値観を持つ人同士でも、互いのそれを尊重し、否定せず、それでも必要な時は助け合って生きていこうというのが、俺なりのエースの願いの解釈である。
それは、真なる意味での多様性で、きっと無数の痛みを(裏切りを)乗り越えて維持すべきものであると思う。

俺は、エースの願いに真っ向から応えられる人間でありたいと思う。
そして、この願いが多くの人々の心に届けばいいと思う。
そんな気持ちで、このnoteを書いた。

・・・どうだ、なんかいい話みたいに思えてきただろ?
実際には、エースのカッコよさを語り合える人を増やしたかったり、エースのトンチキぶりを見ていっしょにバカ笑いしたい、というのも多分にあるんだけどね。

さあ、今こそウルトラマンエースをみんなで見よう。

それが俺の、最後の願いだ。

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