EPIC配布ゲーム / DAEMON X MACHINA プレイした感想

TL;DR

ステージクリア型のTPSロボゲー。対人・装備収集要素もあるがゲーム体験は薄味でフルプライスに見合わない。

ストーリ/キャラクター

メインコンテンツはストーリードリブンではあるが、語られる内容が細切れすぎて面白いとか面白くないとかそういう段階ではなく、ストーリーに感情移入は出来ない。キャラ数も多い割にそれぞれのバックグラウンドはロクな深堀りはされず、銘々が思わせぶりな発言を適当にばらまくだけ。実は○○でした、過去に☓☓がありました、本当は△△でした、のように唐突に自分語りを始める登場人物が多すぎる。俺とお前の間にそんな関係性あったっけ?としらける。ストーリーのラストも大体そんな感じなので流石にげんなりした。

特にしらける要素としては主人公がゲーム全編を通して一切喋らないので、キャラクターがわちゃわちゃと掛け合いしているのを見た後、最後にとってつけたように気安いキャラが「なぁ、ルーキー(主人公)お前もそう思うだろ?」と言われたり、重鎮キャラに「ここはルーキーに行ってもらう、頼んだぞ」みたいに言われたりしても全く何の盛り上がりも感じられない。いやだからお前らと俺との関係性そんな感じだったっけ?と頭の中が「???」でいっぱいになってしまった。

サイドストーリーとしては家族、兄弟、仲間やライバルの絆をアピールして片方殺しておけば感動するでしょ?と言わんばかりのワンパターンな展開が中盤から終盤までずっと続いてキツい。ところどころ開発陣の「(ロボット)オタクはこういうの好きだよね」という押し付けがましく寒々しいパロディも全く乗れない上にくどすぎる。

オーダー(他ゲームで言う所のミッションやステージに該当するもの)開始時に決まって挟まれる「フェムト粒子の濃度が濃くて長距離通信に影響がある」だとか「濃度がほぼゼロなので通信に影響が無い」だとかもストーリーにもゲーム展開にもまるで無関係で、この定型句にはすぐに「だから何だよ」という感想しか抱かなくなる。

ゲーム全編を通して「話を丁寧に描く」という事を半ば放棄したような印象が強い。こんな半端な内容ならば、もっとザックリ削ぎ落としたフレーバーテキストだけで十分であったように思える。

もう一つ付け加えるならばプレイヤーの分身たる主人公が最初から最後まで「ルーキー」呼ばわりされ続けるのにもいささかうんざりさせられた。

ゲーム展開/難易度

ゲーム進行自体はスムーズ。難しさで言えばややヌル目。TPSに不慣れな人であれば苦労しつつもクリアできる程度の物で、決して難しくない。ジャンルに慣れた人であればおそらく一度もつまづくことなくクリアできるであろうレベル。

敵は大きく分ければ3種類。動く的でしかない敵性AI、素早い動きのアーセナル、大型イモータル。この中で進行の妨げになる可能性があるものは、一部のアーセナルと後半に出てくる大型イモータルだけだろう。前者は小さく素早いため単純に攻撃しにくく、削り負ける可能性がある。後者はきちんと弱点を狙わないと硬すぎて弾切れを起こす可能性がある。どちらも失敗から学ぶことができれば自ずと解決策がわかるように出来ているので、そういったバランスはとても良いと思う。

そう言えば、フィーチャーとして撃破した敵アーセナルから装備を奪ってその場で装備して戦える、というようなものがあった気がするが結局一度もやらなかった。全て倉庫送りした。

エンドゲーム/リプレイアビリティ

エンドゲームの内容は装備収集と対人戦。対人戦は興味が無いため未プレイ。

このゲームは同じ武器でもいくつか種類があり、それぞれ若干パラメーターが異なる。また、装備にはアタッチメントというステータス増強アイテムを装着するためのスロットがあり、その個数も0~3個でランダムである。アタッチメント自体にも同じ種類でもパラメーターの増加量に差がある高レベルのものが存在する。

つまり、とりあえずのゴールは「好みのパラメーターの3スロット装備に、高レベルのアタッチメントを埋める」ことである。

それを達成するために何をするかと言えば、極めて単調なダンジョン攻略をする探査ミッションをひたすら繰り返すことになる。

他のハクスラゲーと異なり、装備のパラメーターの変化も小さく「敵へのダメージが増えて嬉しい」といった感想も抱きにくい。ビルドの幅も小さく工夫の度合いも同様に小さいため「おもしろビルド」や「ヘンテコビルド」のようなものも基本的には成立しない。ただひたすら遠くに見えているゴールに向かって作業するような感覚でプレイすることになる。

総評

偽りなく正直な感想を述べれば「この程度の内容にフルプライスは支払いたくない」という所。貴重なロボゲーだから、声優が豪華だから、アーマード・コアのスタッフが関わっているから……と擁護する理由は探せばあるものの、そういったゲームの面白さや体験の素晴らしさと本質的に無関係な部分に価値を見出しても仕方がないだろうと思う。

決してクソゲーではないが、定価に見合う価値があるかは相当疑問である。

今回EPICのプアマン向けサービスにこちらのタイトルが来ていたのでプレイしてみたが、結論としては上記の次第。

総プレイ時間20時間

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