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特許証・登録証を送るのをやめました

特許出願が特許となり特許証が送られてくると、ただの事務のわたしでもちょっと感慨深かったりします。
が、IPTechでは、特許証や登録証(以下、特許証で統一します)の原本を顧客へ送付するサービスを2022年4月から廃止しました。
原本の郵送を希望されるお客様へは個別に対応していますが、特許証を受領したらデータベースソフトに情報を入力後、特許証PDFをメールやSlackで納品しておしまいです。

このオペレーションを実際に開始するまでは
「特許証、登録証を尊ぶお客様も多いもんなぁ」
「原本送付をひきつづき希望されるケースがほとんどじゃないかなぁ」
そんなふうに危惧していましたが、あっけないほどお客様からの反応は薄かったです。

意外に薄い反応。IPTの顧客層ならではかも?

正直、ここまでお客様からのリアクションがないのは意外でした。商標の登録証を額に入れて飾っているとか、特許証は大切にファイリングしているとか、そんな顧客がわたしがこれまで働いてきた特許事務所のお客様には多かったからです。
IPTechのお客様はIT系ベンチャー企業が多いので、デジタルデータや合理性に対する抵抗が少ないのかもしれません。ありがたいことです。

特許証送付廃止の段取り

いきなり「特許証送るのやめました」と宣言するのでは、お客様もさすがに面食らってしまいますので、アナウンスから実施までの間に2カ月以上の余裕を設けました。ざっくりした流れは①予告アナウンス ②顧客からのリアクション待ち期間 ③実施 という感じです。

まずはいつから廃止するのかゴールを決め、逆算式にいつまでになにをするかを決めてゆきます。
IPTの場合は4月1日登録の案件から郵送廃止としましたので、2カ月前からアナウンスをスタートしました。

2月には
・HPに案内文を掲載
・HPのトップページの下部に表示される「おしらせ」にも記載する
と、対外的なアナウンスを始めると同時に、所内でもSlack、朝礼、定例MTGなどで情報を共有しました。
技術担当者から顧客に対して口頭もしくは文章でお知らせをさしあげたり、ご要望を伺ったりもしました。
固定の技術担当者のない顧客は、①登録査定時のレター ②設定納付完了報告レター ③特許証電子データ送付時のレター でお知らせしました(顧客はレターをそれほど注意深くは読まないという前提で、くどいほど何回もお知らせしてみました)。

結果、特に混乱もなく特許証郵送サービスを終了できました。体感としては7割の特許証は送らずに済むことになり、レターパックを買ったり送付したりの手間は減りました。

原本はどうするのか問題

顧客へ送付しないということは、原本が事務所に残るということです。
原本は、特許庁から送られてきた際に入っていた封筒に戻し入れたうえで、封筒に案件を特定するための情報を記載したシールを貼付し、所定の場所で保管しています。権利者からの要望があればいつでも郵送できる状態にしてあります。

原本の保管期間は3年間を想定していますが、実際に運用してみてこの期間を延長するか否かを決める予定です。

やってみてわかったこと

今回の特許証郵送廃止をきっかけに、お客様から「PDFを出力したものでも実物と遜色がないか」とか「額に入れて会社のホールに掲示している」などのリアクションをいただいて「おお…そんな風にされているのか」と興味深かったです。それ以外にも、お客様も保管場所に困っているらしい様子がうかがえたのもよかったです。特許証保管サービスのニーズがありそうです。どなたか、ぜひ。

なお、特許証は特許庁に有償で再発行を依頼できますが、最初に発行されたものと全く同じ内容となるため、たとえ登録名義人の表示変更を済ませていても旧住所、旧社名が表示されます。お客様が再発行を希望された場合にはそのことをお伝えしないと「えっ?最新情報載ってないの?」ということになりかねませんのでお気をつけて!

フルリモート、ペーパーレス化を進める事務所はどういうことをやっているのか、もうちょっと聞いてみたいなという方は6月17日(金)夜に開催の交流会にいらしてください。
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posted by Rika