Yasutaka Furukawa and Jean Ponce : Accurate, Dense, and Robust Multi-View Stereopsis
IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol.32 , Issue: 8 (Aug. 2010)
住吉信一((株)デンソーアイティーラボラトリ)
※本記事のPDFは情報処理学会電子図書館に掲載されており、情報処理学会会員は無料で閲覧できます。(http://id.nii.ac.jp/1001/00206315/)
身近な三次元計測技術
本会に寄稿する機会をいただいたので,次号の著者と相談の上,三次元計測技術の面白い論文について連載で紹介したいと思う.本稿で紹介するFurukawa らの論文は,多方向の視点から撮影した画像群(多視点画像)を用いて三次元形状の復元を行う際の,マイルストーン的な論文である.詳細に入る前に,身近な三次元計測技術について触れておこう.
三次元計測技術はさまざまに活用されている.たとえば車に搭載されている衝突防止センサは,自車から人や車までの奥行きを計測することで接触の危険性を検知し,自車にブレーキをかけることができる.ほかにもNintendo 3DS や最近のスマートフォンには外側に2 つや3 つのカメラが付いており,これらを用いて奥行き情報を持った3D ムービーの撮影ができる.また,大きな三次元計測システムで人の形状を計測してデータ化し,このデータを3D プリントすることで人のリアルなフィギュアを造形するサービスが登場している.このように三次元計測技術は,対象シーンの空間的な理解や表現,対象物の形状データ取得をする際に広く役立っている.
上記に示した活用事例は,三次元計測センサを用いることで実現できる.三次元計測センサで用いられる計測アルゴリズムはさまざまであるが,三角測量の原理を用いて計測をする場合が多い.三角測量とは,長さが分かっている基準とする線分の両端から,目的の点までの角度を測定して,幾何学を用いて測量する測量方法である(図-1).この原理をカメラに応用したセンサが,ステレオカメラである.一般にステレオカメラは2 台のカメラで構成され,カメラ間の対応点(図-1 のカメラA,B の画像上の青丸)を求めて,この点の奥行きを算出する.前述した衝突防止センサの中には,このステレオカメラを採用した製品があり,現在も広く普及している.また,Nintendo 3DS に内蔵されているカメラもこのタイプのセンサである.
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