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無人販売の有人化

『既存の無人販売は来年以降厳しくなります』と前回書きました。ただ約1年やってみて、現状はかなり順調なんです。大きくは無いけれど売り上げはコンスタントで波がない。これは、計画通り日常使いして貰えている証拠。

広告効果もあり、メインの弁当配達のサブとしては非常に優秀です。前回書いたような無人販売への印象の低下も今の所は無いと思います。

でも、やっぱり『今のところ』なんですよね。業界全体の状況から考えると、今後の流れはかなり不利かな。というのが自分達の答え。

メイン業態があるので撤退でも大きな損失はありません。とはいえ思いの外上手く回っている仕組み。ちょっと改良したら多少寿命を延ばせるかも。

では無人販売の価値は何かと考えると、読んで字の如く『無人』である事です。では、もう少し踏み込んで、ここで言う『人』は誰を指すのか。簡単すぎますね。『接客をする人』です。

オープンした当初、やはりお客さんが困った時の為にと仕切りの奥でスタッフが梱包作業等をするという案がありました。しかし、実際試してみると…。

①お客さんに呼ばれて作業出来ない。
②呼ばれる前にスタッフが声を掛けてしまう。
③無人だと思ったのに人がいてお客さんが驚く。または少しガッカリした空気。

①②に関しては無人販売になって無い。重要なのは③。お客さんは『無人販売』というサービスを目当てに来ている。接客が発生すると商品として別物になってしまう。だからガッカリする。

お客さんは余計な会話をせずにパッと買って帰れる手軽さや、悩んでる間店員さんを待たせているプレッシャーを感じずに済む気楽さを買っている。世の中の店全部がそれでは味気ないけれど選択肢として選んで来てくれています。

ただ、問題は今後最新のシステムを使ったコンビニ等の無人販売が主流になる事やニュースで既存店の窃盗被害が取り上げられている事。既存店の不安要素がクローズアップされている所にハイクオリティな安全性の高い店舗が登場。うちのような簡易的な無人販売を利用する際に不安を感じるお客さんが出て来てもおかしくない。ネットのコメントや周囲の反応から不安の内容を掘り下げてみました。

・窃盗などの犯罪者と出くわすかも
・自分が疑われるかも

という2点が多い様に思います。犯罪を誘発しているという厳しい声もありました。『見られるプレッシャーを無くす』と『見られていないプレッシャーが生まれる』という難題。

確かにコンビニの様に全方位管理して、払わないと出られないシステムがベストですよね。超小規模店にはとても真似出来ないし、まずテイストが違う。個人店の強みは親近感。今の雰囲気を壊さずに少しでもお客さんの不安感を和らげるには。

見られるのは嫌、でも誰も居ないのも不安。スタッフがいると、どうしても接客しちゃう…

スタッフじゃない人が居たらどうだろう?

人の気配の無い夜道を歩くのは不安だけど明かりのついた店がある道は何だか安心。そんなイメージが浮かびました。

というわけで、少し前から実験をスタートしています。空きスペースになっていた店舗奥のキッチンをネット販売メインのケーキ屋さんに使って頂く事にしました。

無人販売売り場
カーテン奥の貸し出したスペース

大事なのはこの店は、ごはん屋いっぽの系列店では無いという事。ただ場所を借りてるだけ。なので、弁当についてお客さんに何か聞かれても分からない。店主さんにも対応しなくて良い、むしろしないで下さいとお願いしてあります。接客は発生させない。

人は居るけど無人販売。

うちは、ケーキ屋さんの『人の気配』だけお借りする形。あくまで実験段階ですが、この方法で反応が良ければ『いっぽの無人販売所付き店舗物件』を他業種に貸すスタイルも面白いなぁ。さてさて結果はいかに。





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