フルッタフルッタ(2586)
時価総額35.5億円、PER-倍、PBR3.33倍、利回り-%
事業概要
リテール事業部門
アサイーやアマゾンフルーツを使用したフルッタフルッタ・ブランド製品を量販店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア向けに販売。
業務用事業部門
外食チェーンや飲食店、食品メーカーに対して業務用製品や原料を販売。
通販事業部門
オンラインストアでアサイードリンクをはじめとしたさまざまな商品の販売。
アグロフォレストリー
「アグロフォレストリー」は1970年代中期につくられた造語で、 「農業」のアグリカルチャーと「林業」のフォレストリーが合成されています。 日本語では、農林複合経営、混農林業、森林農業ともいわれ、複数の農産物や樹木を混植することにより、 単一栽培に比べて生態系が多様な農場が構成されます。 世界では東南アジア、中南米、アフリカなどで様々な事例がありますが、 中でも近年特にブラジル・トメアスのCAMTAが実践するアグロフォレストリー(SAF※1)は 持続可能な農業として世界から注目されています。
農業と林業の造語
トメアス式アグロフォレストリー(SAFTA※2)は、アマゾンの荒廃地に多様な果樹や材木の苗や作物を植えていきます。1年目から継続的に収穫を得られることが特長で、従来の単一栽培ではできなかった持続的な生産が可能となります。農業をしながら森を再生する、まさに“森をつくる農業”です。
※2:ポルトガル語での呼称Sistema Agroflorestal de Tomé-Açu の略
トメアス式アグロフォレストリーのメリットは大きく「経済」「環境」「社会」の3つに分けられます。 持続的な収入によって経済的な安定が得られ、不法伐採の抑制や生物多様性の回復、二酸化炭素の吸収といった環境的なメリットのほか、 雇用が創出されることによる地域の生活・教育水準の向上や治安改善などの社会的なメリットが得られます。 トメアス式アグロフォレストリーは、雇用を生み、地域の発展にも寄与するなど、社会・経済・環境の側面からもサステナブルな農業として 期待されています。
業績
当社が事業を展開する日本国内におけるアサイーの需要は、引き続き盛り上がりを見せており、当第1四半期でもその傾向が顕著に表れている。Z世代に人気のインフルエンサーが美味しいアサイーボウルの店を紹介したり、自宅で作って食べる様子をSNSで発信したりすることで、アサイーは流行を続けている。さらに、アサイーは美味しいだけでなく、美容効果やダイエット効果があるという噂も広がり、特にZ世代の若年女性層を中心に本格的なブームが始まっていると認識している。
これらの追い風もあり、円安による為替差損が発生したものの、前年同期比で売上高は増収し、営業利益、経常利益、四半期純利益は増益し、黒字転換を達成した。また、2024年6月14日付で開示した「資金使途の変更に関するお知らせ」に記載のとおり、国内市場の本格的な拡大を業績拡大のチャンスと捉え、販売強化と商品ラインアップの拡充を進めている。
これに伴い、今後の原料調達の安定化が不可欠であるため、新株予約権による資金調達だけでなく、保有していた投資有価証券の売却や貸株施策も実施し、原料調達資金の確保に着手している。国内市場の拡大を確実に捉え、安定した供給体制を整えた上で、中長期的な成長に向けた取り組みを再開し、第2四半期以降においても収益基盤を確立し、利益体質への変革を進めていく。
売上高は前第1四半期累計期間より201,651千円増加し、472,336千円(前年同期比174.4%)となった。売上総利益は74,036千円増加し、162,601千円(前年同期比183.6%)となった。営業利益は前第1四半期累計期間より107,503千円増加し、14,573千円となり、当第1四半期累計期間において黒字化を達成した。
当社事業の中心であるアサイー関連商品の好調は、前第3四半期から続いており、当第1四半期においてもその勢いはさらに強まり、売上高は前年同期比174.4%と大幅に伸長した。これまで当社の売上高を牽引してきたリテール事業部門に加え、国内外食店舗でのアサイー需要増加や、内食・中食での需要拡大により、業務用事業部門の売上高比率が増加したことが主な要因である。
今回のブームを牽引しているZ世代の「自分でつくる」や「カスタムする」といった、製品やプロセスを楽しむ傾向が、当社商品の特徴と合致したことも成長の要因と考える。特に、無糖のアサイーパルプに各種フルーツがミックスされ、家で手軽にアサイーボウルが作れる「お家でアサイーボウル」は、前年同期と比べ500倍以上の売上を達成し、業績を大きく牽引した。また、フルッタアサイーシリーズ(ドリンクタイプ)も前年同期比196%と好調に推移しており、ヨーグルトと組み合わせた使用法の提案や、収益性の高い商品に集中する戦略が成功し、様々な商品の露出をさらに増やすことができた。
さらに、顧客の需要に応じた新製品や販促キャンペーンを展開することで、第2四半期以降のさらなる成長を促進する取り組みを続けている。国内需要の盛り上がりを確実に捉え、主力商品であるアサイーの拡販を進めるとともに、事業の根幹であるアグロフォレストリーのプラットフォーム化を推進し、CO2削減量マークの取り組みと連動させてコアビジネスの強化・拡大を図る。
売上原価については、一時160円に達した円安による為替影響を受けたものの、高収益商品の集中販売により、売上総利益率は前年同期比で1.7%改善した。円安基調が続く中でも、アサイーボウルやスムージーなどの付加価値の高い商品の提案を強化することで、為替影響を最小限に抑え、適正な売上総利益の確保に努めていく。
販売費および一般管理費については、物流コスト(倉庫料、荷造運賃発送費)を10,278千円の増加に抑えた。物流・運送業界の2024年問題やエネルギー価格高騰によるコスト上昇が続く中、在庫回転率の改善により倉庫料を圧縮し、一定の範囲内に抑えることができた。
その結果、営業利益は14,573千円(前年同期は営業損失92,930千円)、経常利益は円安の影響による外貨建債務の評価損を中心に為替差損10,423千円を計上したことにより3,402千円(前年同期は経常損失99,848千円)、四半期純利益は3,164千円(前年同期は四半期純損失100,086千円)となった。
リテール事業部門
スーパーマーケットを中心とした小売店では、フルッタアサイーシリーズや冷凍ピューレ、お家でアサイーボウルなど、アサイー関連商材が全体的に好調に推移し、売上高および売上総利益に大きく貢献した。従来の主力であるチルド製品に加え、コロナ後も活況を呈している冷凍食品市場に着目し、アサイー濃度の最高基準であるグロッソ品質の冷凍ピューレやお家でアサイーボウルの新規販路開拓および拡販に向けた各種販促戦略が奏功し、飛躍的な売上高の増加を達成した。
特に、お家でアサイーボウルは、そのわかりやすいネーミングが消費者に親しまれ、シリーズ最初の商品ながら前年同期比で500倍を超える売上高を記録する大ヒット商品となった。冷凍アサイーピューレも、独自にカスタマイズしたアサイーボウルを作る需要により前年同期比350%増、ヨーグルトや料理に手軽に取り入れられるフリーズドライパウダーも前年同期比314%増と、いずれも好調に推移している。
さらに、2024年6月に新商品発表会を開催し、同月下旬より発売を開始した「お家でアサイーボウルプレミアム」は、冷凍庫から出してすぐに食べられるカップ入りアサイーボウルであり、大手冷凍食品専門店を中心に発売直後から多くの反響を呼び、好調な売れ行きを見せている。カフェやレストランで人気のアサイーボウルが、ミキサーや盛り付けの手間をかけずに家庭で手軽に楽しめるという点が、内食および中食ニーズに合致した結果であると考えている。
また、大手会員制倉庫型店では、台湾のドリンクスタンドで人気のメニューをボトル入りにした新商品「グァバレモングリーンティー」を発売し、アサイー以外の商品も順調に販売が推移している。
この結果、リテール事業部門全体の売上高は前年同期と比較して65,460千円増加し、208,835千円(前年同期比145.6%)となった。
業務用事業部門
外食向け原料販売では、販売店舗の増加およびアサイーメニューの拡充により、業務用通販サイトBIZWEBでの冷凍アサイーピューレを中心としたアサイーボウルやスムージーのベース商品がさらに広がりを見せ、新規登録顧客の増加が続いたことで、売上高および利益に大きく貢献した。当該事業部門における主力商品であるアサイーグロッソアイスは、前第1四半期から5四半期連続で売上高が増加しており、前第4四半期比では127.8%増となり、当第1四半期においても引き続き好調に推移している。
また、前第4四半期にSNS上で話題となり、売り切れ店舗が出るほどの盛り上がりを見せた「ヨーグルト&アサイー」を販売するタリーズコーヒージャパン株式会社では、2024年5月より「フローズンカップ アサイーヨーグルトテイスト」が発売された。当社では、店舗でのオペレーション効率と品質・味の安定を考慮したアサイーボウルベースを開発し、2024年6月より販売を開始した。今後も、より使いやすい商品を開発し、業務用の新たな軸を確立していく考えである。
さらに、アサイーの代替肉をはじめとした植物性タンパク質を訴求する食品において、血液代替原料としての価値を訴求した結果、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社のプライベートブランド『GREEN ROWERS Meal(グリーングロワーズミール)』で第3弾となる「麻婆豆腐の素」が発売され、売上に貢献した。これに伴い、CO2削減量を一製品あたりの削減量として換算した「CO2削減量マーク」が他社製品に使用され、ブランドコンセプトとの親和性の高さから、引き続き採用された。
メーカー向け原料販売についても、アサイー需要の高まりに連動して、アサイー5倍濃縮エキスやフリーズドライパウダーの需要が好調に推移している。サステナブル原料に関する問い合わせは日々増加しており、前述の「CO2削減量マーク」の他社製品への拡大展開に向けた導入マニュアルの整備や、当社のサステナビリティに関する取り組みをまとめた「サステナビリティレポート2023」の公開など、「責任ある調達(サステナブル調達)」に対応した付加価値型原料のさらなる拡大を目指している。
その結果、業務用事業部門の売上高は前年同期と比較して116,841千円増加し、203,366千円(前年同期比235.0%)となった。
DM事業部門
ECチャネルにおいては、アサイーのブームを牽引したZ世代の購入チャネルとして、自社ECを中心に当第1四半期も好調に推移した。現在も一部商品においては出荷制限を設けながら販売しているが、供給体制の早期安定を図り、より多くのお客様へ商品を届けられるよう努めている。2024年4月には自社ECサイトをリニューアルオープンし、気分や栄養素に応じた商品提案ができる仕掛けや、CO₂削減量の可視化など環境課題への取り組みを強化した。自社ECでは、自社ならではのチャネル特性を活かした戦略で、EC市場全体での拡販・収益確保に取り組んでいく。
また、アサイーに続く形でアマゾンフルーツピューレなどのアサイー以外の商品も注目を集めており、好調なお家でアサイーボウルとの同時提案により、「お家でピタヤボウル」も前年同期比1,082%と飛躍的な伸びを見せている。
その結果、DM事業部門全体の売上高は前年同期と比較して20,860千円増加し、60,134千円(前年同期比153.1%)となった。
海外事業部門
海外事業部門に関しては、今シーズン、全世界的なカカオ豆の原料不足やカカオ先物価格が過去最高を更新するなど、高騰する状況が続いている。しかし、当社のカカオビジネスはCO₂削減量の観点からも重要な役割を担っており、現地生産者と直接繋がっているという当社の強みを活かし、引き続きCAMTAと協力しながら安定供給に向けて取り組んでいく。
また、次世代型食料供給産業への注目が高まる中、アグロフォレストリーが国際機関の目指す「温暖化ガス削減」や「ネイチャーポジティブ」の成功事例となり得ると考え、アグロフォレストリーを中心としたサステナブルマッチングプラットフォーム化に向けた取り組みを進めている。2025年10月に開催されるCOP30に向けて、要件定義の策定を進めており、当社独自のソリューションを提供することで、売上拡大を図っていく。
なお、前第1四半期では期ずれによる一部売上高が発生したが、当第1四半期では期ずれの発生がなかったため、売上高は発生しなかった。この結果、海外事業部門の売上高は前年同期と比較して1,511千円減少した。
アサイーブームの到来
アサイーの世界市場規模は2023年時点で約10億米ドルと評価されており、年平均成長率12.5%で成長し、2036年までに約40億米ドルに達すると予測されている。特にアジア太平洋地域におけるアサイーの市場は大幅な成長が見込まれており、2036年末までに最大10億米ドルの市場規模に達すると予想されている。成長を牽引する主な要因は、政府の支援政策に支えられたヘルスケアおよび製薬分野の急速な拡大である。
また、日本市場においても、近年のコロナ禍を経てアサイーの健康価値が再び注目され、アサイー市場の再活性の兆しが見えている。当社は、日本におけるアサイー事業の先駆者として、日本国内でのさらなる市場拡大を図るとともに、今後はアジアを中心に世界へ向けてアサイーをはじめとするアマゾンフルーツの健康価値を啓蒙し、原料や製品の販売を強化することで、アジアにおけるメインプレイヤーとなることを目指す。
総括
円安による原材料高のコスト増などがあるなか黒字化達成。アサイーブームの到来により今後さらに業績が改善していく可能性も。
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