小松一平

奈良を拠点に活動する建築家。 小松一平建築設計事務所主宰 kmta.jp

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奈良を拠点に活動する建築家。 小松一平建築設計事務所主宰 kmta.jp

最近の記事

お店づくりプロセスpart3「素材」

たこ焼き屋さん「たこ焼こはく」の設計プロセスpart3です。 インテリアの素材について考えてみます。 「上品であること。」「直接的では無いにしてもたこ焼き屋さんを想起させること。」 この2つが大きなイメージとしてありました。 「上品であること。」については、 インテリアの素材の種類を絞ることと、色味はナチュラルな色味にすることで、上品な印象を作り出します。 (反対にたくさんの色味や素材を使うとどちらかというと大衆的、日常的なイメージになります。また、ビビッドな色をつかう

    • お店づくりプロセスpart2「色決め」

      たこ焼き屋さん「たこ焼こはく」の設計プロセスpart2です。 間取りの次にインテリアの「色」を考えていきました。 「素材感」「光の当たり方」「隣り合う色との関係」「色の面積効果という錯覚」などによって、見え方が全然変わってくるから本当に難しいです。 「琥珀色のたこ焼きの色」に合うベージュ系をメインカラーにするのがいいのではというのは当初からイメージしていました。 ベージュをメインカラーとしつつ、 床、壁、天井、家具の色のバリエーションを検討します。 壁の上下でベージ

      • お店づくりプロセスpart1「間取り」

        たこ焼き屋さん「たこ焼こはく」を設計しました。 初回打ち合わせから、工事開始まで、どのようなプロセスを経て完成したか書こうと思います。 場所について場所は京都市の交通量の多い歩道と道路に面した場所です。 大きさは5.6坪と小さめです。 ここに、店内飲食とテイクアウトの両方で営業のたこ焼き屋さんの設計を依頼されました。 このお店をつくるにあたり間取りのレイアウトについて考えたことを書きたいと思います。 要望について「大衆的でジャンクなイメージのたこ焼きではなく、どこにも

        • 建築家を志す「大学入学編」

          実技試験もクリアして2002年に大阪芸術大学芸術学部建築学科に入学。 入学時、1学年の生徒数は120人ほど。 学科の入学ガイダンスで、建築を習う先生達に出会う。 初めて建築家という存在に出会った時である。 今思うと当時の建築学科の先生はそうそうたる布陣だった。 まずは 久保清一先生。 後にゼミに入ることになる。一言でいうと恐怖。ピリついた雰囲気の緊張感が漂う。 この緊張感の中で建築ができたことは自分の財産だ。 根岸一之先生。 皮のジャケットに、サングラス。皮のランドセ

        お店づくりプロセスpart3「素材」

          WEBサイトリニューアルで依頼者になって感じたこと

          事務所設立10年が経ち、WEBサイトをリニューアルしました。 WEBサイトをリニューアルするためにデザイナーさんに依頼することにしましたが、普段は依頼される側の自分が、依頼する側になり気づく事が多々ありました。普段は依頼される側の自分が、依頼する側になり気づく事が多々ありました。 その中で感じた事を個人的な話をはさみながら書きたいと思います。 まずデザイナーさんを以下の3つの事柄を前提に決めました。1つめは、自分と同年代ということ。 同年代であれば、自分と感覚やものの見方

          WEBサイトリニューアルで依頼者になって感じたこと

          街を俯瞰的に眺め、お店の特徴を引き出す設計手法

          もともと美容室だった小さな平屋の建物をパン屋さんに改装するための設計をしました。 http://kmta.jp/project/ロードサイドに建つパン工房 1.周辺の環境について場所は交通量の多い国道に面していました。 どこの国道沿いにもあるように、電気屋さん、コンビニ、チェーン店のラーメン屋さんなど、大型店舗が建ち並んでいる風景が広がっていました。 それらの店舗はどれも車から目立つように派手な色で彩られていたり、大きな看板で存在感をアピールしていました。 そんな風景

          街を俯瞰的に眺め、お店の特徴を引き出す設計手法

          家を建てる。建築家視点の土地選び

          「土地選びから家を建てよう」と思われている方はもちろん、 「将来的には考えているけどまだまだ先、、」 という方にもぜひ読んでもらいたいです。 家づくりが始まるとあっという間に時間が過ぎてしまいます。 その前から知識をもっている事で、余裕を持って家づくりができると思います。 1.土地選びから建築家に入ってもらう 「この土地が自分たちに合っているのか分からない。」 「この建ぺい率と容積率でどれぐらいの建物が建てられるのかな。」 土地を持っていない方が家づくりをはじめる

          家を建てる。建築家視点の土地選び

          分かりにくい

          ご無沙汰しています。約一年ぶりの投稿です。少しつらつらと書いてみたいと思う。 設計の仕事は複雑だ。敷地の制限もあれば、法規もクリアしないといけない。クライアントからの要望もあれば予算もある。 様々な条件を総合的に判断して一つの形にする。 一朝一夕に、これが良いとか、これは良くないとか、なかなか言いづらい。 こうするんだったら、こっちがこうなるから、予算も考えてこうした方が、全体的なバランスがとれて良くなる。でもここは少し我慢してね。 みたいに、なともスパッと言い切れ

          分かりにくい

          森ノ宮の珈琲店の話

          大阪森ノ宮に「ばん珈琲店」という喫茶店がある。 お洒落な外観の感じから、珈琲にこだわった若い店主がお店をやられているのかなと想像した。 お店に入ってみると、その想像とは全く違う世界が広がっていた。 薄暗い店内。 ご年配の男性が淡々と珈琲を入れ、 グレーヘアーの女性2人が静かに接客をされていた。 机から椅子、家具まで全て色彩が統一されたアンティーク。 どこからかアンティークを買ってきて置いたのとは違って、この店内でお店の男性と女性と同じ時間を刻みながら、何十年と年を重ね

          森ノ宮の珈琲店の話

          一石二鳥、一石三鳥の設計

          建築の設計はものすごく複雑で、解決しないといけない事柄がたくさんある。 一つの事柄に対して、一つの方法で対応していてはとても間に合わない。 僕は設計で、一つの手数(てかず)で二つ以上の事柄を解決する、又は、より良くできる方向を探る事にしている。 今では常套手段であるが、例えば、 家には廊下がある。 廊下は人が通って各々の部屋にアクセスするための細長いスペースだ。 予算が限られていたり、広くとれない場合は、どうしても廊下をとるのがもったいない。 そこで廊下をなくしてLD

          一石二鳥、一石三鳥の設計

          続く宅地開発

          子供の頃、僕の住む住宅地にも所々森や山が残っていた。 秘密基地を作ったり、遊び場になっていた。 最近、一際大きな森の、木々が切られ、造成され、ポツポツと家が建ち始めた。 サスティナブルが周知され、人口減少の時代にも関わらず、まだ宅地開発を続けている。 その宅地の前を通るたび、 木々が倒されていくなか、上空で飛び回っていた鳥たちを思い出す。 また自分たちの居場所がなくなっていくと。。。 #建築 #不動産 #家づくり #建築家

          続く宅地開発

          建築の見方

          僕は建築を見に行く時はひたすら歩く。 最寄駅から30分や1時間かかっても歩いて行く。 流石にそれ以上になると、バスやクルマを利用するが、 少し手前で降り、歩いて目的の建築までアプローチする。 なんでそんな面倒な事をするのかというと、 建築はまわりの環境と切っても切り離せない関係にあるからだ。 建築は、決められた土地に建てられ、そこから動かす事はできない。 建築家は必然的に、隣に建っている建物や、前の道を観察する。 日照、風、匂いなども感じとる。 少し範囲を広げて周

          建築の見方

          登録、更新、講習、、、

          年始早々、役所から速達で封書が届いた。 至急、建築士事務所登録の更新をしてください。 ??? 2年前は建築士定期講習を忘れて、駆け込みで受講した。 仕事に支障が出なくてよかったとホッとしたのがついこの間の事。 今度は事務所登録の更新。。。 完全に見落としていた。 (期限は過ぎていないのでセーフ。) そういえば一級試験勉強のとき、 5年ごとに登録更新しないといけないって、建築士法に書いてあったのを思い出した。 それにしても、役所に提出したり、講習を受けたり、事務作業

          登録、更新、講習、、、

          一本の線をひく事に価値を生み出す

          僕は一本の線をひく事でお金をもらっている。 たかが一本の線だが、その一本の線をひくのに、膨大な時間を費やした知識の集積があり、経験があり、あらゆる事を考えたのちに一本の線がやっとひける。 そんな最初の一本の線をひいた時に、建築家の頭の中では空間が立ち現れている。 その一本の線が、次の線を生み、また次の線に繋がっていく。 線の集まりが、図面になり、職人さんの手に渡り、建築が立ち現れる。 一本の線は生きているのである。

          一本の線をひく事に価値を生み出す

          建築家を志す「高校編」

          高校1年か2年ぐらいの頃、地元の小さな市立図書館に、住宅特集(新建築社)という建築専門誌が置いてあった。 建築のけの字も知らなかったが、なんだか表紙に載っていたおしゃれな建物に目を奪われ、バックナンバーを読みあさった。 奇抜なデザインの建築たちに心踊らされ、こんな建築が日本のどこかに実際に建っている事が信じられなかった。 未知の世界だった。 住宅特集は毎号10作品ぐらい載っていて、後ろの方に作者の経歴が載っているのだが、 名だたる国立大学出身者が多いなかに、大阪芸術大

          建築家を志す「高校編」

          noteはじめました。

          建築家の人が普段考えている事をもっと知りたい。 建築家って、建築の写真を載せたり、コンセプトを語ったりする機会は多いけど、 日常的に考えてる事を知ってもらう機会は少ない、というより個人的にはほぼ無い。。 noteでそんな日常的に考えている事を書いていきたいと思う。 あとは、いつか家を建てたり、お店を作りたいなとぼんやりでも思っている人たちに建築家目線から参考になるような事も書ければいいなーと思っている。

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