お店づくりプロセスpart3「素材」

たこ焼き屋さん「たこ焼こはく」の設計プロセスpart3です。

インテリアの素材について考えてみます。

「上品であること。」「直接的では無いにしてもたこ焼き屋さんを想起させること。」
この2つが大きなイメージとしてありました。

「上品であること。」については、
インテリアの素材の種類を絞ることと、色味はナチュラルな色味にすることで、上品な印象を作り出します。
(反対にたくさんの色味や素材を使うとどちらかというと大衆的、日常的なイメージになります。また、ビビッドな色をつかうとポップな印象になります。)


「たこ焼き屋さんを想起させること。」については、
色味のほかに、「素材感」と、「たこ焼きの作られ方」の2つで実現しました。
少し凹凸のある焼きあがったたこ焼きの生地は、建築素材でいうなら「リシン吹き付け」の素材感に似ています。
また、リシン吹き付けは建築素材としてはかなりリーズナブルでもありコスト削減にもなりますが、使い方によっては決して安っぽくなること無く、凹凸のある素材感によって、空間に奥行きを生むこともできます。

また、たこ焼きは、タコを生地でまるっと包み込むように作られます。
リシン吹き付けは、様々な下地に細かな骨材入りの塗料を少し厚みをもたせて吹き付け、下地をまるっと包み込みます。
この作られ方が、たこ焼きの作られ方ととてもよく似ていると思います。

今回は開店までのスケジュールがとてもタイトだったため、
床、壁、天井を現場で作っている間に、カウンター、吊り戸棚などの家具を工場で同時進行で作っておき、現場で取り付け工期を短縮しました。

仕上げも、壁、天井、家具などほとんどをリシン吹き付けで包み込むため、下地づくりが完了してから、仕上げまでが一気に進みます。

細かなディテールを作り込むのではなく、まるっとリシン吹き付けで包み込むことは、たこ焼きの作られ方を表現すると同時に、工期の短縮まで実現できました。

細かなことですが、とても大切なことで、天井のエアコンや勝手口の扉、照明器具の枠まで全て同色で塗装し、余計なものが目立たないようにしました。


お店のインテリアは、お店の特徴を表現できるものでもあります。
どんなお店にしていきたいか、どういった商品や食事を提供するのか、それに合ったインテリアを同時に設計していくことで、お店のブランディングづくりにもなります。

「インテリア」と「お店の特徴」とが一体的にまとまりのあるお店づくりがとても大切だと感じています。