2012年北大日本史論述答案例

大問１
問４⑴：官人は与えられた位階に対応した官職に任命された。（24字）

問４⑵
答案例①
　有力貴族の官位が固定化され、地位や財力が世襲された。（26字）

答案例②…山川『新日本史』
　有力貴族は地位や財力を世襲し、五位は一種の身分標識となった。（30字）

⇒　身分標識という言葉は受験生は使えないだろうが…

問５⑴：母方の親戚のこと。
問５⑵
答案例①…山川『詳説日本史』
　この養育は母方の手で行われるなど、母方の縁が重視されていた。（30字）

答案例②…山川『詳説日本史』
　当時の貴族社会において、子の養育は母方の家で行われていた。（29字）

答案例…山川『新日本史』
　天皇の妻は妻の実家が面倒を見たため、外戚の役割が大きかった。（30字）

⇒　答案例①・②でいきたい。

問８：浮浪・逃亡・偽籍が増加し、戸籍に基づく人民支配や班田収授が困難となり、税の未納や質の悪化が相次いだ。（50字）
⇒　最後の部分は「徴税が困難となっていた」で問題ない

大問２
問３…設問の意図がとりにくく、受験生は苦戦するかもしれない。結果、何も考えずに強訴の答案を作成した受験生が得点をもらえるという意味で、少し残念な問題。
答案例①
　領有する荘園をめぐり、朝廷と対立し、僧兵を組織し、強訴した。（30字）
⇒「どのような衝突が見られたか」に対する答案例。強訴について、言及すればよい。

答案例②
　寺社は領有する荘園の支配をめぐり、朝廷・受領と対立した。（28字）

答案例③
　領有荘園の境目紛争やその裁定をめぐり朝廷・受領と対立した。（29字）
⇒　どのような対立が見られたのかに対する答案例が②・③。境目紛争の記述は教科書になく、塚原哲也『日本史実力強化書』にある。

問４⑴…字数指定なし
　答案例①：天皇家の家長が自らの企図する皇位継承を実現する目的で作り出した。
　答案例②：自らの直系に皇位を継承する目的で作り出された。

問４⑵：荘園公領制の成立（8字）

問５…字数指定なし
　答案例：南朝の立場から皇位継承の道理を説き、南朝の正当性を主張した。
　　⇒　南朝の正当性を説いたことが書かれていれば、問題ない。

問６：太閤検地が土地の実測を伴ったのに対し、指出は土地の実測はせず、家臣や農民による自己申告の形をとった。（50字）

問８
答案例①…山川『詳説日本史』そのまま
　一段ごとの生産力（8字）

答案例②…一段ごとの土地の等級（10字）

⇒本文の記述に沿えば、等級とした方がよい。

問９
　方向性…村についてのメリットを書きたい。史料には「少しでも石盛の設定や年貢納入に問題があれば、この文書により、ただしあきらかにするために文書を残した」とある点を活かしたい。

答案例①
　村の自治の担保となる村の年貢額を明確にし、搾取を防ぐため。（29字）

答案例②
　村請で納入する年貢額を明確にし、為政者による搾取を防ぐため。（30字）

答案例③
　村の自治の担保として村請で納入する年貢の額を明確にするため。（30字）

⇒　答案例②が現実的か。答案例③でも受験生の答案としては合格点ではないか。

大問３
問１⑶：最上徳内らを蝦夷地に派遣して、蝦夷地開発やロシア人との交易の可能性を調査させた。（40字）
問２
答案例①…山川『詳説日本史』ｐ205
　〆粕に加工され、綿作など商品作物生産に金肥として使用された。（30字）

答案例②…山川『詳説日本史』ｐ205
　作物などの商品作物栽培に必要な肥料に加工され、出荷された。（29字）

⇒答案例②が現実的か。

問４：銅や俵物の輸出を奨励し、金銀の輸入をはかった。（23字）
問８
答案例①…山川『詳説日本史』
　伝統美術の再評価が進む中で、高村光雲は競合する西洋彫刻の要素を加えた木彫の作風を確立した。（45字）

答案例②…山川『詳説日本史』
　伝統美術と西洋美術の共栄がはかられる中で、西洋彫刻の要素を加えた木彫の作品を生み出した。（44字）

⇒前半部分はどこを切り取るかで書き方が異なる。

答案例③
　西洋の目にかなう伝統美術が復興する中で、高村光雲は西洋の要素を加えた木彫の作風を確立した。

⇒　高村光雲は木彫り彫刻という伝統美術において、西洋彫刻の写実主義を取り入れることで、西洋の目にかなう木彫り彫刻の復興を目指した。

大問４
問２⑴…字数なし
答案例：条約改正の予備交渉　　⇒「本来の」とあるので、これ以外は×

問３：学制や徴兵令の発令、地租改正事業への着手（20字）

問４⑶：女性の政治演説会への参加が可能となった。（20字以内）

問６…山川『詳説日本史』
　南北に分断しており、内戦が続いていた。（19字）

問７…山川『詳説日本史』ｐ383
　日本企業が生産物や建設工事などのサービスを無償で提供した。（29字）