2021年東京都立大日本史答案例
1
問1.①は粘土や木で原型を作り、その上に麻布をはり、漆で塗り固めて、あとで原型を抜き取る乾漆像の技法、②は木の芯の上に粘土を塗り固める塑像の技法でそれぞれ作成された。(80字)
問2.橘諸兄の下で吉備真備や玄昉の重用に不満を持つ藤原広嗣が反乱を起こすなど、政治情勢が混迷する中、仏教のもつ鎮護国家思想により、国家の安定をはかろうとした聖武天皇は、国分寺建立の詔と大仏造立の詔を出し、国分寺や国分尼寺の建設、大仏造立を進めた。(120字)
2
問1.荘園公領制下で、領主は年貢収取の権限を保持していたが、承久の乱後、地頭が年貢未納など荘園・公領の支配権拡大の動きを見せた。領主は幕府に訴え、地頭に管理を委ねる代わりに一定の年貢納入を請け負わせる地頭請や土地を分割して相互の支配権を認めあう下地中分を取り決めた。(130字)
問2.太閤検地では田畑・屋敷地の面積を実測し、田畑の等級を定めることで、村の年貢負担の基準額である村高を確定した。村ごとに作成された検地帳に登録された農民は、自分の田畑・屋敷地の所有権を法的に認められる一方、自分の持ち分の石高に応じた年貢などの負担を義務付けられた。(130字)
3
問1.イギリスはオランダが敵対するフランスに征服されたことを受け、その拠点制圧を考えていた。その後も外国船の接近が相次いだため、幕府は外国船に食料・薪水を与えて退去させる対応を改め、異国船打払令を発令した。(100字)
問2.井上馨外相は内地雑居を認める代わりに領事裁判権の撤廃で諸外国と合意した。しかし、条件とされた外国人判事の任用、編纂した法典の事前通告や井上が進めた欧化政策が国内の批判を招き、ノルマントン号事件発生による批判の強まりもあり、交渉は中止された。(120字)
4 解答
問1.浜口雄幸内閣が海軍軍令部の反対を押し切り、補助艦の保有量制限を規定したロンドン海軍軍縮条約を締結したことに対し、海軍や立憲政友会が統帥権の干犯であると攻撃した。(80字)
問2.陸軍の二個師団増設要求を第2次西園寺公望内閣が拒否すると、上原勇作陸相は辞任し、後任陸相が得られなかった西園寺内閣は総辞職した。その後、内大臣兼侍従長の桂太郎が後継首相になると、宮中・府中の別を乱すとの批判から、桂内閣倒閣を企図する第1次護憲運動が立憲国民党などの野党勢力やジャーナリスト・都市民衆らにより、展開された。(160字)
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