名大日本史2022年答案例

大問Ⅰ…11行
問1…2行
答案例…山川『新日本史』
 稲作を行わない北海道や東北地方北部では、続縄文文化と呼ばれる採取・漁猟を特徴とする食料採取文化が続き、9世紀以降、擦文土器の使用を特徴とする擦文文化が展開した。(80字)


問2…2行、できなくてよい
 夜光貝などの殻の光る部分を利用して、種々の文様に切り整え、器物の面にはめ込んだうえで、漆などを塗り重ねて道具を装飾する技法のこと。(65字)


問3…2行
 津軽半島の日本海沿岸にある十三湊は畿内と蝦夷ヶ島南部とを結ぶ日本海交易のルート上にあり、主要交易品に蝦夷ヶ島産のサケ・コンブの海産物と米・鉄製品があった。(77字)


問4…2行
 九州地方南部の人々を支配下に組み込み、国司・郡司などを置いて、戸籍・計帳を作成し、班田収授の実施を目指したが、班田収授は実現できなかった。(69字)

問5…1行
 関東地方などから農民を柵戸として城柵の周囲に移住させ、開拓労働力とした。(36字)

問6…2行
 反乱を起こした伊治呰麻呂は郡司の長官で、律令国家は帰順した蝦夷である俘囚のうち、有力者を郡司などに起用して、蝦夷を支配した。(62字)


大問Ⅱ…10行
問1…2行
 平清盛は後白河天皇方と崇徳上皇方が戦った保元の乱で前者に味方して勝利し、その後、院近臣間の抗争から生じた平治の乱で源義朝を討ち、中央政界で台頭する基礎を築いた。(80字)

問2(1)…1行
答案例①
 北条氏の影響下で、鎌倉時代前期・中期の出来事を編年体で記した鎌倉幕府の史書。(38字)

答案例②
 北条氏の下、以仁王挙兵から13世紀中頃までの出来事を編年体で記した鎌倉幕府の史書。(40字)

問2(2)…2行
 地頭の中で、御家人であるかどうかは自らで決めることができ、御家人である場合、守護の大番催促に従い、上洛して、朝廷の警備を行う京都大番役を勤めることが期待された。(80字)


問3…2行
答案例①
 神人らの強訴に対し、貴族が領主をしていた荘園の上層農民に、守護に味方するよう記されているが、貴族は神人らとの対立を回避するため、拒絶した。(68字)

答案例②
 神人の強訴に対し、貴族が領主をしていた荘園の上層農民に、守護に味方するよう記されているが、貴族はそれを契機に上層農民が守護を家臣化するのを避けるため、拒絶した。(80字)


問4(1)…1行
 画面右に倭寇が描かれ、画面左には倭寇を鎮圧しようとする明の軍隊が描かれている。(39字)

問4(2)…2行
 明は倭寇の海賊行為を受けて私貿易を禁止し、室町幕府に倭寇禁圧を求め、幕府は倭寇禁圧に応じる引き換えに、明に朝貢して国交を開き、それに付随して公貿易を展開した。(79字)

大問Ⅲ…9行
問1:切支丹禁制(問6(2)から分かる。「キリスト教の信仰を禁止したこと」が述べられていればよい)

問2…2行
 制札の内容が伝わるためには民衆に識字能力が備わり、制札を読めることが条件となる。商業的農業の進展などを背景に、民衆が読み書きを学ぶ手習所が各地に設置された。(78字)

問3…2行
 村や町の治安を維持する必要があるため、イを採用する。ロは武芸を奨励しており、奨励対象は武士であり、民衆への要求としては外れるため、採用しない。(71字)

問4(1)…1行
 隣の宿場町との間の馬を利用した荷物の輸送が中心で、莫大な費用がかかった。(36字)

問4(2)…1行
答案例…実教『日本史B』
 陸上交通に不向きな遠隔地間の物資の大量輸送を、船を利用して安価に行っていた。(33字)

 宿場町間の輸送が「継送り」つまり、近接しているので、遠隔地と記す必要がある。


問5…2行
 民衆は伊勢神宮などへの寺社参詣、聖地・霊場への巡礼、名所への物見遊山の旅を行った。寺社参詣・巡礼は講を結び、資金を蓄えて交代や集団で参拝した。(71字)

問6(1):五榜の掲示
問6(2)…1行 
 西洋諸国で一般に信仰されていたキリスト教を維新政府が禁止した。(31字)


大問Ⅳ…12行
問1:寺内正毅
論述
 富山県で生じた米の安売りを求める暴動が新聞報道により、全国に広がった。(35字)

問2…2行
 原首相は社会主義の活性化を警戒したため、普通選挙制度の導入には消極的で、納税資格を3円以上に引き下げ、大政党に有利な小選挙区制を導入した。(69字)

問3…3行
答案例①
 大戦景気による輸出の増加で船成金など資本家が潤う一方、工業の発展に伴い増加した労働者は大戦景気に伴う物価高騰により困窮が深刻化するなど、日本社会における富の偏在を河上は問題視した。(90字)

答案例②
 大戦景気による輸出の増加で資本家が潤う一方、工業の発展に伴い増加した労働者は物価高騰により、困窮が深刻化したほか、都市と農村の格差が拡大した。河上は資本家と労働者の格差や都市と農村間の格差を問題視した。(101字)

問4…2行
答案例…実教『日本史B』
 第1次石油危機の発生や列島改造政策の影響で、物価が高騰したことによる景気悪化の中、労働組合が大幅な賃上げを求め、争議行為を伴う労働争議が頻発した。(66字)

問5
甲:核兵器
論述…2行
 沖縄は沖縄戦後、米軍の直接軍政下にあり、日本の独立後も、アメリカの施政権下に置かれた。多くの米軍基地が建設され、基地の島であった。(65字)

問6…2行
 岸信介内閣が調印した新安保条約の批准に反対し、新安保条約が強行採決後は岸内閣打倒を要求した。岸内閣倒閣を実現したものの、安保改定の阻止には失敗した。(74字)

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