2019年北大日本史論述答案例

大問1 
問3⑵:国造は郡司に任命され、国司に従属して、戸籍作成・徴税など地方行政の実務を担った。(40字)

問4⑴…山川『詳説日本史』に依拠した答案(同化の要素は字数的に無理)
 俘囚は朝廷に帰順した蝦夷で、関東以西に移住を強制された人々。(30字)

問5→史料の純粋読み取り&意見封事十二箇条の意義理解を問う論述
 方針…国家資産の喪失で終わらず、財政難につなげること。意見封事十二箇条の最大の関心事は地方支配の荒廃、つまり、財政破綻がある。
答案例
 推古朝以降、寺院建立が流行した。天平期には拍車がかかり、中央や地方の寺院建立に田地の収入や正税が費やされるなどしたため、多くの国家資産が失われ、財政難となった。(80字)

大問2
問2⑵…史料の要点説明→純粋の読み取り
答案例
 人身売買は原則として禁止するが、飢饉の際は飢餓人救済の観点から、例外的に認める。(40字)

問3:国衙が派遣する検田使の荘園への立ち入りを拒否する権利のこと。(30字)

問4⑴:領主は農民をねぎらい、良好な関係を保って、村への定住・年貢の安定確保をはかった。(40字)

問4⑵
方針→リード文最終段落の記述を反映させたい。
答案例…40~50字
 領主との関係を良好に保ち、年貢や公事などの減免に加え、年貢の未納分を処理してもらう意図があった。(48字)

大問3
問2⑵…山川『詳説日本史』P164
 キリシタン大名の大村純忠が所領の長崎をイエズス会に寄進していたこと。(34字)

問2⑶…70~80字
答案例…山川『詳説日本史』P164
 豊臣秀吉は大名のキリスト教入信を許可制にする法令を出し、さらにバテレン追放令の発令によって、外国の侵略と一体化していた宣教師の布教を禁止し、国外追放を命じた。(79字)
→ バテレン追放令と大名の入信許可制が別の法令に見えているかどうか。やや難。

大問4
問3
 日露戦争中、日本政府の推薦する外交・財政顧問採用を認めさせ、戦争後、外交権を奪い、統監府を設置した。反発する韓国皇帝がハーグ密使事件を起こすと、内政権を奪って、韓国軍を解散させ、1910年に韓国を併合した。(100字)

 太字は指定語句

 史料1~4が特定できないようでは厳しい。史料名の明記は必要ない。経過説明であるから、時期をある程度、示しながら、史料1~4の内容を説明していけばよい。
→ 韓国併合が伊藤博文の暗殺によるものかどうかは議論のあるところなので、あえて書く必要はない。

問8
答案例①…山川『新日本史』
 1948年に中国大陸における国民党と中国共産党との内戦で、共産党の優勢が明らかとなり、1949年には共産党が勝利して、中華人民共和国が建国され、国民党は台湾に逃れた。(77字)

答案例②…山川『詳説日本史』
 1948年に朝鮮半島において、大韓民国と朝鮮民主主義共和国が成立して、南北分断状態が固定化し、1949年には国共内戦で中国共産党が勝利して、中華人民共和国が建国された。(78字)

⇒ 学術的には山川『新日本史』の方がよい。

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