2022年青山学院大学文学部史学科日本史論述答案例

大問4【1】…350字
要求…旧石器時代・縄文時代の人々の食糧獲得手段や生業について説明する
条件…旧石器時代から縄文時代にかけて起こった気候や動物・植物相の変化
  …実際に出土している遺物をあげる。
  …指定語句(落とし穴、間氷期、石錘、三内丸山遺跡、オオツノジカ)
 
田中の答案例(2022年2月20日作成)
氷期と間氷期が交互に訪れ、気候が寒冷な旧石器時代には、打製石器を使ってマンモスやオオツノジカなど大型動物を捕らえる狩猟が主な生業であり、人々は動物を求め、移住生活を基本とした。気候が温暖化して海面が上昇し、魚介類の生息に適した入り江が多数、成立し、植生は針葉樹中心から木の実が多い広葉樹中心に変化し、動物は大型動物が絶滅し、シカなど中小動物が中心となった。こうした自然環境の変化を受け、縄文時代には狩猟・採取・漁労を主な生業であり、狩猟では弓矢や落とし穴などを使用し、中小動物を捕らえた。前の時代に比べ、本格化した採取では石皿やすり石などを用いた。漁労では骨角器や石錘を用いた網・丸木舟などを使用した。食生活の向上に伴い、定住生活が本格化し、青森県の三内丸山遺跡などの大規模な集落跡も発見されている。(350字)

大問4【2】…350字
設問要求①…史料A・Bの政策の内容と目的を説明する
設問要求②…史料A・Bの幕政改革を推進した中心人物、改革の背景、影響を説明する

田中の答案例(2022年2月20日作成)
史料Aの株仲間解散令は、江戸の株仲間が上方からの商品流通を独占していることが、江戸の物価高騰の原因であるという判断に基づき、物価引き下げのため、江戸の株仲間に解散を命じたものである。史料Bの人返しの法は、天保の飢饉で荒廃した農村の復興を目的に、江戸に流入する貧民の帰村を強制したものである。これらの政策を主導した老中水野忠邦は、天保の改革を推進した。改革推進の背景には、天保の飢饉による農村の荒廃、百姓一揆・打ちこわしの多発などの国内問題、アヘン戦争における清の敗勢が伝わるなど国外問題に対応する必要性があったことが背景にある。しかし、株仲間解散令により江戸の商品流通量が減少して物価は高騰し、人返しの法で江戸を離れた貧民は関東に滞留し、治安の悪化を招くなど、改革は成果がなく、幕府の権威は失墜した。(350字)

大問4【3】…300字
設問要求…1950年代の朝鮮戦争が日本に与えた影響を説明する
条件…300字程度

田中の答案例(2022年2月20日作成)
政治面では、在日米軍が朝鮮半島に動員されたことに伴う軍事的空白を埋める目的で、GHQの指示により、警察予備隊が設置されたほか、共産主義者の公職追放であるレッド・パージが本格化した。外交面では、アメリカの意向で対日講和交渉が促進され、サンフランシスコ平和条約を調印した日本は独立するとともに、西側陣営に組み込まれた。同時に日米安全保障条約を調印し、独立後も米軍が駐留することになり、日米行政協定の締結で、駐留軍に基地を提供し、駐留費用の一部を負担することになった。経済面では、武器の製造、自動車や機械の修理など米軍による特需の発生によって、ドッジ=ラインによる安定恐慌から脱出し、戦前の経済水準を回復した。(300字)

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