2011年北大日本史論述答案例

大問1
問2:壬申の乱で近江朝廷側についた有力豪族が敗北し、没落したこと。(30字)

問9:律令を重視し、国史編纂に代表される国家事業は後退し、年中行事を先例に則り、滞りなく実施することが重視されるようになった。(60字)

 変化前:律令を重視、国史編纂=国家事業(山川『詳説日本史』)
 変化後:年中行事を先例に則り、滞りなく実施することを重視(山川『新日本史』)

大問2
問2…山川『詳説日本史』ベース
 鎌倉幕府以来の法秩序を重視する足利直義を支持する勢力と、武力による所領拡大を願う高師直を支持する新興勢力との権力闘争。(59字)

→ 山川『新日本史』は高師直方に足利尊氏を入れているが、山川『詳説日本史』ベースにそれをしなかった。

問4
答案例①
 明が貿易を朝貢国の国王だけに制限したため、将軍が明の皇帝から冊封を受ける必要があり、明に対し、臣従の形式をとった点。(58字)

答案例②
 明が貿易を朝貢国の国王だけに制限したため、将軍が明の皇帝から冊封を受ける必要があり、明の皇帝と将軍が対等ではない点。(58字)

答案例③
 明が貿易を朝貢国の国王だけに制限したため、将軍が日本国王を名乗る必要があり、将軍が天皇を差し置いて日本国王を名乗る点。(59字)

答案例③は学説に依拠した座興。答案例①・②と答案例③の両方をミックスしたのがベスト。

問6
答案例①
 惣無事の呼びかけを無視した九州の島津義久を討伐するため。(28字)


答案例②…山川『詳説日本史』ベース
 秀吉の停戦命令に違反した九州の島津義久を討伐するため。(27字)

山川『新日本史』は惣無事令とはっきり。山川『詳説日本史』は惣無事令ということもあるとある。

大問3
問1:検地帳に登録された田畑や屋敷地の石高に賦課される本途物成。(29字)

問5
答案例①…山川『新日本史』→本当は物価引き下げとしたいが、字数が足りない。
 商品生産・流通の掌握と物価統制(15字)

答案例②…山川『詳説日本史』
 商業資本の活用による財政再建。(15字)

問7:江戸の商品流通量が減り、物価は高騰した。(20字)

問8:アイヌとの交易を独占する権限。(15字)

問9:レザノフの通商要求を拒否されたロシアが樺太や択捉島を砲撃し、日露間の緊張が高まった。幕府は北方の防備強化の必要性から全蝦夷地を直轄化した。(69字)

大問4
問5…山川『詳説日本史』→「直接関与していない」
 平民社で日露非戦論や社会主義運動をともに展開した幸徳秋水が、直接関与していない大逆事件において、無実の罪で処刑された。(59字)

問12:岸信介内閣が締結した新安保条約に対し、米の世界戦略に組み込まれると反対する革新勢力が60年安保闘争を展開した。その中、岸内閣が条約批准の採決を強行すると、運動は民主主義擁護・岸内閣倒閣を掲げ、激化した。(100字)

「革新勢力の安保反対→強行採決→民主主義用語・倒閣を主張」の経過と反対理由を書けばよい。
岸内閣倒閣は実教・清水書院『日本史B』にある(山川は両方ない)。

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