2020年北大日本史論述答案例

大問1
問2
方向性…リード文の最後を中心に組み立てる。木簡に糸を売るとあるから、調・庸に具体的に言及したい。
答案例
 地方から中央に納められた調庸の品物を役所が必要とする物品と交換する場として市は設置され、国家財政維持に必要な物価統制を行うため市を監督した。(70字)

問3…字数指定なし
 従八位という大宝令で整えられた三十階の位階が確認できるから。

問6⑵:盗賊や乱闘の多発や疫病の流行、地方における混乱、戦乱・災害の増加などを背景に社会不安が高まっていた。(50字)

問7⑵…字数指定なし
答案例①
 往生する人を阿弥陀仏が迎えに来ること。

答案例②…山川『新日本史』P77
 臨終時に往生を助けるため、阿弥陀仏が迎えに来ること。

大問2
問3…設問要求は在京御家人の役職と任務である。任務は明確だが、役職は書くのが難しい。厳密に設問要求をとれば、「回答不能」となる
答案例①…山川『新日本史』P92に在京御家人を北面・西面の武士に編成した旨、記述がある。
 北面や西面の武士に編成された在京の御家人は朝廷を警備する京都大番役を任務とした。(40字)

答案例②…受験生が書ける答案
 在京の御家人たちは天皇や院の御所を警備する京都大番役を任務とした。(33字)

答案例③…京都守護職は複数任命されたとする研究(※)に基づく
 京都守護に任命された在京の御家人は、天皇や院を警備する京都大番役を任務とした。(39字)

※熊谷隆之「六波羅探題任命考 -『六波羅守護次第』の紹介とあわせて-」(『史林』86-6(2003年))、須藤聡「鎌倉期里見一族の動向と平賀一族」 (初出:『群馬歴史民俗』31号(2010年)所収: 田中大喜 編著『シリーズ・中世関東武士の研究 第三巻 上野新田氏』(戒光祥出版、2011年)

問7
答案例①
 正長の土一揆で私徳政が展開し、嘉吉の土一揆以降、徳政令が相次ぎ発令され、打撃を受けた土倉・酒屋からの徴税が困難になった。(60字)
⇒嘉吉の土一揆「以降」としてしまうと設問要求の「将軍になる前の出来事に注目」という条件から外れる気はするが…

答案例②
 嘉吉の徳政一揆以降、幕府が相次いで徳政令を発令したため、打撃を受けた土倉や酒屋から土倉役・酒屋役の徴収が困難になった。(59字)


問8⑵
答案例
 日本の史料とは異なる独自の視点で社会を描写する一方、偏見や言語の壁から誤記述が含まれる場合がある。(49字)

大学発表
 日本人には常識的なことが奇異に映れば記録されやすくなる一方、誤解や偏見で実態が歪められる場合がある。(50字)

大問3
問2⑴…50字以上60字以内
答案例①
 慶長金銀を改鋳し金銀の含有率を下げ、質の劣る元禄金銀を発行して、利益を上げる一方、物価が高騰して、庶民の生活を圧迫した。(60字)

答案例②
 財政再建を目的に金銀の含有率を下げ、質の劣る元禄金銀への改鋳を実施した。その結果、物価が高騰して、庶民の生活を圧迫した。(60字)

問2⑵…山川『新日本史』
 貨幣価値の下がった元禄金銀を慶長金銀の質に戻す正徳金銀を鋳造して物価を下げたが、貨幣流通量が減少し、経済の混乱を招いた。(60字)

問4⑵…山川『詳説日本史』
 年貢増徴だけに財政再建を頼らず、株仲間の積極公認など民間の経済活動を活発にし、生じた富の一部を財源に組み込もうとした。(59字)

問10
答案例①…山川『新日本史』
 挙国一致を目的に朝廷に来航を報告し、諸大名に対応策を求めた。結果、朝廷の権威を高め、大名が幕政へ発言する機会を与えた。(59字)

答案例②…ちょっと無理やり公議まで
 朝廷に来航を報告し、諸大名に対応策を求めたことで、大名の幕政への発言のきっかけとなり、公議の機運と朝廷の権威が高まった。(60字)

大問4
問2
答案例①
 ドイツの租借地である膠州湾を攻撃し、ドイツの中国における根拠地の青島を占領した。(40字)

答案例②
 ドイツの租借地である山東半島の中心都市青島を占領し、鉄道などの権益を接収した。(39字)

問6
答案例…山川『詳説日本史』
 朝鮮戦争に出撃した米軍から武器・弾薬の製造、自動車や機械の修理などが舞い込んだ。(40字)

答案例…山川『新日本史』
 朝鮮戦争に在日米軍が出撃したことで生じた軍事関連の特別需要のこと。(33字)

問8
答案例①…受験生向けの答案例
 明治期に義務教育が整備され、1910年代末の大学令発令により、高等教育が拡充された。(39字)
 明治期に義務教育が整備され、大正期に大学令が発令されて、高等教育が拡充された。(39字)

答案例②…山川『詳説日本史』P335に忠実に
 明治期に義務教育が整備された後、高等学校令や大学令により、高等教育が拡充された。(40字)

問9
答案例
 日本がポツダム宣言を黙殺後、アメリカは広島・長崎に相次いで原爆を投下し、ソ連はその間に宣戦布告して、満州などに侵攻した。(60字)

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