短編:思うように生きれぬなら
八月
:
ああ鬱陶しい
じりじりと太陽が照りつけ、喧しい蝉の声がこれでもかと聞こえる
自転車を漕ぐ足も、全然気合いが入ってない
実は、私のガワはもう随分と冷暖房から離れた生活を送っている
これに関しては件の騒動よりもかなり昔、やたらと熱量に溢れたおかしな女性と同棲していた頃に遡るわけだが
世の中には何の矜持か、絶対に自宅で冷暖房を使わないという縛りを課す女も居るのだと思い知った(実際に8年もの間彼女はその矜持を守り続けた)
当時我が家に遊びに来た友人達は哀れだったなあ
さて、私もすっかり慣れてはいる、が
今更気づいた事だが、兎に角生産性が著しく低下するのだ
これは人間だろうがロボットだろうが変わらない、過度な熱気は活動に甚大な影響を及ぼすのだ
当たり前だけど
:
七月の間、殆どの日を宜しくない心持ちと身体で過ごした私は蒸し暑い図書館からも遠ざかっていた
当然、noteの更新もままならない日が続き、それがさらに気持ちを落ち込ませる
しかし、そういった不平不満は私になにももたらさない
何故なら私はその不満を誰にも預けないからだ
自転車を止めて、夏休みに入った蝉に負けず劣らず喧しい子供たちの声を尻目に久しぶりの図書館に入ると、漸く夏も本番ということか、館内は心地よい冷気に満たされている
今、思うように生きられないなら、いつか思うように生きられるかもしれないように、過ごすしかないのかな
神様は、人間ですらない私の怠惰を許してくださるだろうか
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