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高速誘導員及び警備職を辞めます 〜O田のブー太郎との出会い〜

2021年1月15日、金曜日。
入社して11ヶ月目。流石にもう我慢の限界。
休日何やってても全然何にも楽しくない。
本来ならこういう事は書くべきではないけれど、
あまりにも頭にキてるので、許して下さい。
尚、文書を書くのが大の苦手なので、
おかしな部分は見逃して下さい。


現在21歳の元フリーター。
去年の2月5日、警備会社に入社。
某有名広告アプリで「高速誘導員」という職種が出てきて、
週休二日で給料も良い感じだったので応募してみる事に。
そして1月6日、面接の日。意外にもアッサリ受かった。
当時はまさかこんなにもアッサリ受かるとは思ってなかった。


まぁ所詮、前科持ちやヤグザじゃなければ中卒だろうが誰でも受かるけどね。


その位マジで人手が足りてない。辞める人も多いし。

まぁ何やかんや有りながら3日間の研修を終え、翌週の10日の月曜、警備員として初めて現場に行く日。
いきなり高速道路へGO!…なんて訳にもいかないので、
電気工事会社の工事車両の誘導員として派遣。
しばらくはここで修行がてらにお仕事へ。
行ってみるとそこに居る殆どは年配のオッチャン。
せいぜい若くても40代半ば。
大体は前の職場を定年退職した人達。
「今日からこの人達の一員となるのか、変な失敗とかしなきゃいいんだけどな…」なんて思ってた。

現場出勤初日、特に目立つ様な事は何も無かった。
移動も兼ねて1箇所1時間かかる電線工事を見ながら付近の交通車両の誘導。その繰り返し。
初日はそんなに車が通る場所じゃなかったので、
空いた時間に、「へー、こんな感じで電線の取り付けってするんだなー」って不思議そーに見てた。
書類にサインを貰い、その日の勤務はこれで終了。

現場出勤2日目。マラソン会場の駐車場警備。
しかもその場所、話にならんレベルで交通マナー悪すぎ。
平気で誘導を無視して通り過ぎる車、
誘導ガン無視で出入りする車、
車が満杯で通行止めの看板を立てようが、
そこをすり抜けて入って来る暴走車両。


警備員立ってる意味って何ぞや?

挙句の果てには通行止めの中、開催時間10分前ギリギリで来て「娘が出るから見たい。会場の時間に間に合わないからどーしても通させてくれ」と言いながら入口付近で駄々をこね出す女性。
あのねぇ…気持ちは分かるけどさぁ…だとしたらもっと早く来いっての。
それぞれ事情が有るのは承知だけど、
そんな事コッチからしたら知ったこっちゃ無いのよ。
一個人の理由で勝手に通す訳にもいかないし、
寧ろそんな事してたらキリが無いし。
…で、周りの通行の車の迷惑になりかねないから、
どっか行かせてもまたブーメランの如く戻って来る。
説得させようとしてもそのスキを見て他の暴走車両は入って来る。
現場はもう修羅場。もう滅茶滅茶ですわ。
…それから大会は終了。お昼休憩終了と同時にその日の勤務はフィニッシュ。
それから何やかんや有りながら、
3ヶ月経った5月のGW明け。


その5月連休が終わりを告げた後、
思いもしない暗闇が待ち受けてた。

原因不明の大スランプ時期の突入。
毎日毎日、真面目にやっても全然上手くいかず、
仕事の出来栄えは最悪、怒鳴るに怒鳴られる毎日。
酷い時だとあまり怒らない人までカンカンにさせてしまう程に。こんな状態が1ヶ月も続いた。
仕事しに行ってる…というよりは「お前は仕事が出来ないダメ人間だ」って言われに行ってる様な感覚。
仕事に行けば行く程、自分自身が否定されてく。
その時、よく現場が一緒になってたタヌキオヤジに毎回言われた。

「もう3ヶ月目でしょ?研修中じゃないでしょ?いい加減覚えてくれよ。」

分かっとるわ。言われなくても分かってんだよ。
普通の人より仕事が出来てない事なんか身をもって分かってんだよ。

「臨機応変に仕事出来ないの?」

皆が皆器用に出来ると思うな。
朝が辛い。仕事に出たくない。
もう辞めようかどうか本気で悩んだ。
「いつ退職届出しに行こうかな」って心の中で何度思ったことか。


だがその頃日本はコロナ禍の真っ只中。緊急事態宣言も出され、内定取り消しで行先を失う人も多発。自分の同級生でもコロナで内定を失った人が何人か。そんな中で転職なんか以ての外。
しかも当時の自分は浪費癖がシャレにならないレベル。
要するに金の管理が全く出来てなくて、貯金も全然無かった。
こんな悪条件が重なり、見切り発車にしては厳し過ぎる状況下。退職は断念。

明かり一つすら見えやしない暗闇の中、
黙って続けるしか選択肢が無かった。

気が付けば6月に突入。スランプ具合は相変わらず。心はもうボロボロだ。
思うように行かない自分が嫌になり、休日は殆ど家から出なかった。外に出るのが嫌。鬱だ。

そして6月の半ば。自分にとってショックなニュースが仕事中に飛び込んで来る。


デビュー当時から好きだったフェアリーズというグループの突然の解散発表。もう何を楽しみに生きたらいいんだ。
泣きっ面に蜂だろ。本当に2020年は狂い過ぎてる。いい加減にしてくれ。
あまりのショックで、もうスランプどころじゃ無くなった。仕事が出来ない…こんな事を気にしてる余裕も無くなった。
スランプから抜け出せたのはこの辺りかな。結局何でこうなったのかも分からんけど。

あっ…。すみません、話逸れました。

その後は特に何の異常も無く過ごせた。
7月後半に入り、高速勤務も解禁。最初は不慣れな環境に戸惑う事もあったけど、段々馴染んでいった。


だが、味わう地獄はスランプだけで終わりじゃなかった。


9月に一緒の現場を共にする事になったO田という男。見た目は星のカービィみたく丸く太ってる。
顔付きにせよ体型にせよ言葉遣いにせよ…ありとあらゆる所で性格の悪さが滲み出てる。


コイツがとんでもない大大大問題児であった。

聞いた話によると、色んな現場を出禁になってるらしい。
「え?派遣社員なのに出禁って何ぞや?笑」
って思うかもしれないけど、はい。ホントなんです。
出禁になる理由としては、現場で何もしないで文句ばかり言うかららしい。もう高速勤務の時とまんま。
いや、派遣先で仕事しないって…派遣社員でも誘導員でも何でもないじゃん。ただ現場見に来てるだけじゃん。何しに行ってんの?
…で、色んな現場を出禁になり過ぎて、他に行く先の無いO田は、高速道路に転がり込んで来たってワケ。
入社当初から「こんなヤツが居るから気を付けてね」って話は聞いちゃいたけど、予想以上だった。いや、予想異常だ。



基本的に高速誘導の段取りとしては・・・

Aチーム(夜勤組)が出動

とまるくん(車両停止装置)や矢印板、
看板、電光掲示板、コーン等を設置

設置終了後、ダンプやトレーラーを呼んで工事開始
(1人30分休憩を6人で回す)

Bチーム(朝勤組) が現場到着
Aチームと交代(上記同様、30分休憩を6人で回す)

工事終了
トレーラーを呼んで工事車両撤収
コーン、車両停止装置等の片付け開始

看板、電光掲示板の片付け開始

SA内で看板・標識の向きや固定等の再確認

高速を降りて集合場所の平地に戻る

勤務終了

って感じ。
しかも集合の2時間前に上番メールが届くので、
3時半集合だとしたらせいぜい1時には必ず起きてなきゃ駄目。
早朝どころか真夜中起床。かなりハード。
仮に寝坊なんてしたらもう終い。

しかも段取りが結構ギチギチだから、たった1人のミスや手抜きが皆の足を引っ張る。電線工事の現場と責任感が全く比にならない。
そんな中で何もせずに文句を言うだけ。とんだ大迷惑野郎。
しかもその頃は猛暑日。皆汗ダラダラかいてやってる中で、ただ1人冷房ガンッガンに効いた車内でくつろいでやがる。こんな人間にあーだこーだ言われる筋合いなんか1ミリも無い。

標識の片付けの時も、しょーもない不必要な事でいちいち俺を呼び出しては作業妨害。百歩譲って仕事出来ない人間は迷惑かもしれないけど、仕事しない人間は論外だわ。
しかも随分開き直ってる。アホなのか不貞腐れてんのか何だか…
とにかく、お殿様気取り感が半端ない。
で、俺らと同じ班のリーダーのおっちゃんが痺れ切らして課長に事情を話した。
それで返って来た答えというのが、

「どうしてもダメなら、全員で本人に言ってくれ」と。





は?

いやいや、ちょっとどころかマジで何言ってるか分かんない。


本人に言ってダメだからアンタに言ってんだろ。
寧ろ本人に言って済むなら最初から皆そうしてるわ。
で、そんな対応は結局毒にも薬にもならず、
相変わらずお殿様気取りのまま。
そんな環境に嫌気がさした。
それで何度も俺を高速勤務を下ろさせてくれと上層部に頼んだ。だけど返って来た答えはノーだった。
じゃあ分かった。会社ごと辞めてやるわ。
真面目にやってんのが馬鹿馬鹿しい。やってられっかよ。

そして10月、会社に退職の申し出をした。
O田の事を全部洗いざらい話した。不満も全部吐き出した。
「もう我慢出来ない。この崩壊した現場をどうにかしてくれ。」と。
スランプの事も話した。
自分がこの職種に向いてないのも精神が限界なのも全部話した。
「俺を高速勤務から外すか、O田をどうにかするか。両方無理ならこの会社を辞める」
そう伝えた。しかし、そんな想いは届かなかった。

「辞めさせるつもりも無いし、高速から外すつもりも無い。」


コレが返って来た答えだ。

こんなの「死ね」って言われてんのと一緒じゃん。


因みに肝心のO田は、厳重注意だけで終わった。
こういう所マジでクソだわ。

その後、O田の性格は相変わらず。
仕事はちょっとはする様にはなったけど、まだ全然。

そして2020年11月6日。こんな最悪な日、一生忘れない。


本来なら休みを取りたかった。
ちょっとしたイベントと言いますか…要するに好きなバンドのツアーライブなんです。
ただ、コロナもあり仕事もありで…今年は断念。
まぁしゃーない。いずれこういう日は来ると思ってたから。覚悟は出来てた。
その分、仕事を頑張ろう。それしか無かった。


だがそこで問題が起きた。


サービスエリア内で標識の整理を行った後、
他の隊員が誘導ミスにより、作業車が後ろに停まってたダンプに衝突。
なのに、O田は俺1人のせいにして喚き散らす。意味が分からない。
その後も煽るように喚き散らして来たので、思わず此方もキレ返した。
こっちは楽しみ潰して仕事してんのに、
自分一人だけ甘い蜜啜って良い気になりやがって。
調子に乗るのもいい加減にしやがれ。
こんなに頭に来たの、久しぶりだ。

そしてその日の夕方、隊員全員が会社に呼ばれた。
課長に怒鳴られたりとかは別に無かったけど、
課長を待つ間、O田が他の社員と話してて、
そこで明らかになった事が2つあった。


1つ目は、警備員を続けて20年目という事。
2つ目は、課長とは高校時代の柔道部の先輩後輩だという事。

うん…そりゃクビにならん訳だ。
だってコネなんだから。どれだけ問題起こそうが何しようがクビにならん訳だ。
あと、20年やっててその程度かよ。
20年目のいい歳した大人が恥ずかしくないのか。
話を傍で聞いてて呆れるだけだった。


そして11月19日、高速道路工事は一旦終了。
この日以降高速勤務に行く事は無かった。
だけど、終わった頃には、
仕事に対するやる気もモチベーションも磨り減って無くなっていた。


完全にやり甲斐が分からなくなった。

もう二度と高速勤務なんてやらない。
もう二度と警備員なんてやらない。
これ以上こんな仕事続ける位なら、人殺って刑務所行くわ。
真面目に頑張るって何なんや。アホくせ。

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