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vol.6:「家族なんだから大事にしなさい」という名の“呪縛” その②

ちょっと間が空いてしまいましたが、その①からの流れです。↓↓↓

先日、Twitterでこの記事を見つけました。タイトルが目に入って迷わず開きました。

この記事の筆者でもあり当事者の伊是名夏子さんがすごいのは、夫婦というパートナーシップをめちゃくちゃ俯瞰で捉えていること。もちろん記事は全文読んでいただきたい。でも引用するならば

“例えば子どもが熱を出したり、急な予定が入った時。あるいは、夫の仕事の変更の時も、夫と話し合うのではなく、まずはヘルパーさんの調整をやっていました。
夫婦のすれ違いはどんどん大きくなりました。夫がどうしたいのか、どうやったら育児や家事をできるのか、それを話し合うことをしてこなかったのです。“ そしてこの状況は、子どもが一人から二人になったことで、限界を迎えました。
今まで夫に頼ったり、話し合いをしてこなかったのに、「夫はどうしてこの大変さに気づいてくれないんだろう」と私がイライラするようになってしまったのです。”

例えば引用部分の “ヘルパーさん” を別の人物(親とか親戚とか友人など)に置き換えても、これってハッ!とさせられたり、共感する人もいたり、目からウロコがボロッボロ落ちまくる人、いるんじゃないかなあ。

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私は結婚に興味がない、とは先述した通りですが、恋愛ドラマや少女マンガに憧れていた夢見がちな二十代の頃の私は

「好きな人には自分の全てをわかってほしい」

とか

「あなたのことを全部知りたい」

みたいな、独占欲みたいなものがめちゃ強かったんですね。

1回だけ、ハッキリ言われたことがある。2ヶ月だけお付き合いした方に。

「そういうの、重たい」

って。

今となってはそりゃそーーーーーーだわなーーーーー。その①で書いたような母親の話とかキヨの話とか、将来はキヨと一緒に暮らしたい、みたいな事も、じゃあお付き合いしましょう、ってなって比較的すぐに言ったかなー?だから彼にしてみたら

「あっ、予告編観ていいなって思ってDVD買ったけど、再生ボタン押したらむちゃくちゃヘビーな映画だった」

みたいに思ったんでしょうね。まことにかたじけない。今となってはね。はー恋は盲目ってまさにそれ。おかげでこちらは

「いきなり “自分のすべてを知ってほしい” なんて、傲慢だな」

と学習できましたが、あちらにとっては後悔の2ヶ月だったでしょう。ごめんね。多分届かないだろうけど。

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あと恋人だったり家族だったり、一緒に暮らしてても暮らしてなくても

「なんで言わなきゃわからないの?言わなくてもコッチの気持ち酌んでよ!」

みたいなの、あるじゃないですか。

今日は具合が悪い、仕事が大変でイライラしてる、対人関係で悩んでる、とか、そーんなの言わなきゃわからないじゃーーん!

言わなくてもわかったら最早SPECホルダーよ。超能力者。そんなサトリみたいな能力、誰も持ってないんだから(「SPEC」シリーズを観た事がない方はコチラをどうぞ)。

結婚して夫婦(家族)になる、ってもちろん特別なことかもしれませんが、家族になったところでその人の “すべて” がわかるわけではない。血が繋がっている家族が考えてることですら理解できないんだから。夫婦とか家族とかきょうだいとか、恋人とか友達とか、男だとか女だとか、皆それぞれの肩書きを持ってるだろうけど、根本としては「人間」だという事を、決して忘れてはいけないと思う。

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あと記事の中で伊是名さんが「障害者の介護は家族がするもの」という決めつけに関しても記述がありますが、これは本当に「やれる人がやればいい」と思う。

現時点で、キヨのサポートにおいては私が「やれる人」なだけであって、もしこの決めつけのモデルケースみたいになっていたら嫌だなあ、というか、そうじゃないんだよなあ、と思っています。そこには私とキヨの間に、こういうのもおこがましいけど “信頼関係” があるだけの事です。“家族愛” だなんてもっとおこがましくてこそばゆいし、前回書いた通り「家族なんてものは裏を返せば “呪縛” でしかない」と思っているので、家族だからどうこうと言うよりは “バディとしてたまたま成立しただけ” だと思っています。

だから、家族の事で悩んでいる人がいたら、できる人がやればいい、と思います。

手を差し伸べたいと思ったら差し伸べればいいし、関わりたくないと思ったら関わらないようにすればいい。法律上の問題とかも色々あるし、そんな簡単に言うな!とか言われるかもしれないけれど、関わらないように環境を少しづつでも変えていくという選択肢だってあるはず。選択肢は並べればたくさんあって、どれを自分が選ぶか、だと思います。

だから、どうか、家族だから何とか “しなきゃいけない" と思ったら、シンプルに自分が後悔しない人生を歩んでほしい。それを他の誰かからとやかく言われる筋合いはないのだから。

家族だから何とか “したい” と思ったら、思う存分やれることをやればいいと思う。それも、自分が後悔しない選択肢のひとつだから。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

ハードルがあるのは障害者だけじゃない。「私たちは健常者だから」と言うそこのあなただって、職場や家族間での対人関係だったり病気したり大変な事(ハードル)が沢山あるでしょ?という意味で、エッセイのタイトルは「世の中全員、障害者。」と言います。おススメ&サポートして頂けたら嬉しいです。