見出し画像

vol.18:みんな、わけがある

障害者家族エッセイストの川島田ユミヲです。

近頃また新型コロナウイルスのオミクロン株による感染者数の急増で、皆さん思い思いにざわざわしていますよね。
情報の伝わり方や多さに戸惑う事もあると思いますが、とにかくみんな免疫力を落とさないようにしましょうね。疲れたら休む。いつもの調子じゃないな、と思ったら、休む。誰かの言葉に心がささくれそうになったら、離れる。少しでもリラックスできる環境に身を置く。環境を整える。
もしかしたら、そんなに容易にはいかない状況の人もいると思います。なにか、大変な事を忘れられるような、写真でも絵でも、映画でもドラマでも、お笑いの番組でも観ながら。はたまた音楽を聴くでも、無音でもなんでもいい。なにも考えずに、ぼーっとできる時間があれば。
こんなご時世でも、ほんの少し皆さまの生活に、安らぎと笑顔がある事を願います。

最近の我が家の笑いで言えば、

「寒い!半纏着てても寒い!!」と思ってガタガタ震えてたら、
半纏を裏返しで着てた姉こと私と、背後で中居くんが前髪フッてするときの口で見守る弟きよはる
歯科治療を動かずに受けられないキヨは
「虫歯や歯石の除去などを全身麻酔で行わなければならない」
という旨を通所施設の連絡帳に書こうとして、うっかり "酔“ を "酢“ と書いてしまった。
こういう書きまつがい、ままあります。笑

私と私の弟との、他愛もない暮らしの一部が、もし皆さんを少しでも「フフッ」と笑顔にできるのであれば、私も「うへへ」と笑顔になれます。とにかく笑顔と、腸内環境を整えて免疫力アゲぽよで参りましょうね。ああ、ギャル語って便利。ギャル語を生み出すあなたたちギャルは、言葉遊びの天才よ。EXITも尊敬。

すみま千利休茶柱スタンダップ、なんて万人が思いつくもんじゃない。かねちー最&高。Big Up。

私の「ぼーっとできる時間」は、アプリでパズルゲームとか、数字をどんどん繋いで大きくしていくゲームをやる。前は「ツムツム」とか「ぷよぷよクエスト」とか消去系パズルもやってたけど、デイリーミッションクリアしなければ…!と鼻息荒くしてやり込んでいると、首肩バッキバキに凝っちゃうのでやめました。笑

あと、この前気付いたんだけど、コレ。

きよはるが1日2回、朝と夕食後に飲む、抗てんかん薬です。3ヶ月分、約90日ぶん×2=180包ある。錠剤をうまく飲めないので、元々錠剤なものを粉薬にしてもらってます。3種の錠剤を180包ぶん…お世話になっている薬剤師の方々には、頭が上がりやせん…。

それらを薬局でもらって、一包ずつ、飲ませる日にちをナンバリングしています。飲ませ忘れを防止するために。

「そういうのって薬局にお願いすれば印字してくれないの?」
「そんな面倒な事に時間割いてるの?」

と、聞かれた事があります。そうなんです、私この七面倒なナンバリング作業を、敢えて薬剤師さんにお願いせずに、自分でサインペンで書いています。基本何でも自分でやりたがる性分というのもありますが、何故か。

シンプルに、この単純作業、めちゃ落ち着くんですよねえ。

こっからここまでがひと月分、と自分の手で書いては、翌月分から切り取り線をぺりぺりっと切り離し、書けたものは輪ゴムでまとめておく。これをやり遂げるだけでもタスク完了した達成感を得られて、自己肯定感アゲぽよなわけです。

あれだ、写仏に似てるのかもしれない。やったことないんだけど。寺院巡りが好きな友人がやってたのを思い出した。なんか心が落ち着くんだよね。ただ決められた数字の線を書く。禅の心だなこれは。

----------------

閑話休題。

↑去年の11月にも書いたのですが、諸般の事情があって外出時にマスクの着用が困難な人のための、意思表示マーク “わけがありますく”。

去年の時点では、電車に乗るときなどに着用すればいっか、と思っていたのですが、昨今の情勢と、1月頭に量販店に車で買い物に行った時にうっかり帽子を被せずに入店したら、店員さんに

「あの…マスクをして頂けますでしょうか…?」

と声をかけられた。
この声掛けに関しては「ああ~~ですよね~~」と思うのみだし、こちらも
「すみません…!マスクできなくて…」
とお伝えするしかできず、そそくさと買いたいものをかごに入れて会計を済ませ、店を後にしました。私のうっかりで店員さんにそんな声掛けをさせてしまって、申し訳ないやら恐縮やらです。

そもそも “わけがありますく” のHPにも記載がある通り、

「お互いが気持ちよく、思いやりを持って過ごせるように」

これに尽きる。

もし店員さんみたいな丁寧な声掛けじゃなくて、通りすがりの人に

「おい!マスクしろよゴルァ!!!!!」

とか強めに来られたら、なんもできん。逃げるしかない。「そんな言い方しなくても…」って悔しさしか残らない。そうならないためにも。
1月頭なんて徐々に感染者数があがってきてたしね。それ以来 “わけがありますく” 付きの帽子ありきのお出かけを心がけています。それに、

↑ちょっとこういう事態も起きているみたいなので、むしろ我々のような当事者がもっと積極的に意思表示マークの存在を広げていかなければいけないな、と思いました。

もっとも、一番望ましいのは「コロナ “禍” の収束」なんですけど。

コロナ“禍”の収束、ね。コロナウイルス “そのもの” の収束(終息)なんて正直いつ終わんのよ、という感じだし。誰もわからない。私たちが生まれる前から “無菌状態” なんて存在しないわけで。

コロナ“禍”が収束すれば、マスクができないという意思表示マークをつけ続けなくても大丈夫になる。どうしても必要な時に、必要な場面でだけつければいいわけだから。
でも、“わけがありますく” を知れたおかげで、今我々は外出ができるという現状がある事、もちろん感謝しています。プロジェクトの皆さまに敬意を表します。

大切なのは、こんなウイルスだらけの世の中、自分の命がいま宿されてるこのハコ(身体)で、自分なりにどうしたらハコの免疫力を落とさずにいられるか、だと思う。それは皆それぞれに違う。障害がある人、基礎疾患がある人、アレルギー症状。それらを抱えながら、自分なりに折り合いをつけながら、いかに健やかに穏やかに過ごせるか。

政治的な事は、正直わからない。わからないし、調べたら調べるほどに自分の心身の健康に影響を及ぼしそうなので、目を向けていない。自分本位とか自己中心的なのかもしれないが、いま目の前の自分の暮らしを大事にしたい。そのためには、現状維持というか、自分の感情のフライトレベルを落とすわけにはいかない。自分のためにも、そして私の感情をキャッチしてくれる、二人三脚の弟のためにもね。

----------------

という、実はあまりSNSでもリアルでも話題にしたくない新型コロナウイルスの事を “書こう” と思ったきっかけは、先述したキヨの粉薬のナンバリング作業なわけだけど、てんかんの薬って「基本、飲み忘れちゃダメよ」の類で。
私、キヨと暮らし始めた12年前とか、ちょこちょこ飲ませ忘れてた。
キヨは幼少期にてんかん発作が出るようになって、小児脳神経外科で抗てんかん薬を処方してもらい始めたんだけど、小学校高学年ぐらい?からそれこそ10年ぐらい前まで、まったくてんかん発作が出なくなっていた。
でも私があまりにも夜型な生活で、深夜にパソコンガタガタいわしてるのが気になってしまったみたいで。睡眠のバランスが著しく崩れてしまった。

そこから、てんかん発作や笑い発作が頻発するようになった。

むちゃくちゃ責任を感じている。
私のせいだから。私が彼の生活のリズムを崩してしまった。

てんかん発作のメカニズムみたいなものは、脳波測定をすることでわかるらしいんだけど、うちのきよはるさんは医療機器が大嫌い…。睡眠導入剤で眠らせてから、いざ!おでこに吸盤貼りましょか!ってひとつおでこにつけたらガバッ!!と起き上がってベットから降りるほど。薬の効果を上回る強い気持ち…どんだけよ…。

なので、とにかく「飲ませ忘れだけはダメ、ゼッタイ。」と自戒の念も込めて、自分の手でちゃんとナンバリングすると言う作業をやっています。
その作業が落ち着く、というか「向こう3ヶ月も健やかに過ごすぞ」と、褌を締めなおすような気持ちになります。

----------------

そう、みんな自分の感情や行動に、理由がほしいのだ。
コロナのせいでうまくいかない現状にも、人間関係がうまくいかないのも、好きも嫌いも、180包もの薬に日にちをナンバリングするのも、それぞれにはそれぞれの “ 理由(わけ) ” がある。

私はどちらかと言うと、自分の考えをその場ですぐに言葉にできなかったりする。どう言い表していいものやら…となると

「こう~~~…その、何というか~~…」

と、身振り手振りが大きくなる。あとひょっとしたら顔に出ているかもしれない。その場から離れて

「あの時のあれはもっとこう言えたんじゃないか…」
「自分の気持ちとしてはこうなんだけど、もっとわかりやすく説明するにはどうしたらよかったのか…」

とか、終わってからもずっと考えてしまう。だからこうして

「そうだ、note書こう。(♪テ~レレ~~テ~レレ~~テ~レ~レ~レ~~~)」

とJRのCMの音楽が脳内を流れたときは、自分の中で自分なりの理由がほしい時だったりする。書き連ねることで考えをまとめられ、その感情に理由をつけることができる。

だから私は、このnoteに、自分の感情の理由(わけ)を、これからも自分なりの言葉で書いていこうと思う。自分のためにも、そして誰かのためになるなら。

<完>

----------------

最後までお読み頂きありがとうございました!
下のサポートの説明文を更新してみました。よろしければSNSでシェアや、感想もお待ちしております。

ハードルがあるのは障害者だけじゃない。「私たちは健常者だから」と言うそこのあなただって、職場や家族間での対人関係だったり病気したり大変な事(ハードル)が沢山あるでしょ?という意味で、エッセイのタイトルは「世の中全員、障害者。」と言います。おススメ&サポートして頂けたら嬉しいです。