心理学のおすすめ入門書5選【これから学ぶ人向け】
こんにちは、Ryotaです。
専門は心理学・教育学で、国立心理系大学院修了者です。
今回はこれからアカデミックな心理学を本格的に学んでいきたいと考えている方に向けて、心理学のおすすめ入門書を5冊紹介したいと思います。
なお、今回は「初学者が心理学という学問に興味を持てるような書籍」という基準で選んでみました。
結論からいうと以下の5冊がおすすめです。
①夜と霧
②自分でできる対人関係療法
③オプティミストはなぜ成功するか?
④現実は厳しい でも幸せにはなれる
⑤個人心理学講義
①夜と霧
『夜と霧』はユダヤ人精神科医であるV. フランクルのアウシュビッツ収容所での体験を書き綴った世界的ベストセラー書です。
フランクルはロゴセラピーという心理療法を提唱したことで有名な学者で、この心理療法の1つである逆説志向は不眠症に対するエビデンスが示されています。
本書籍の中での「希望を失った人から死んでいった」と言うフランクルの記述は印象的で、ありありと過酷な体験が目に浮かびます。
絶望の中で未来への希望、人生の意味を持つことがどれだけ心の支えになるかがよくわかる良書です。
本書籍の注意点として、旧版はアウシュビッツ収容所で殺害された人たちの写真が生々しく掲載されていますので、苦手な方は巻末写真がない新版の購入をおすすめします。
②自分でできる対人関係療法
心理学を学ぶ動機として心理療法に対する興味がある人も多いことでしょう。
対人関係療法はうつ病に対する強いエビデンスが示されている心理療法の1つです。
心理学を学んでいる人ならば「うつ病=認知行動療法」というイメージかもしれませんが、中程度まではともかく重度のうつ病になってくると認知行動療法のワークが足枷となり、効果が落ちてくることがわかっています。
対人関係療法はワークがないため(厳密にはあるのですが今回は割愛)、重度うつ病に対しても効果を示すという点で非常に優れた心理療法です。
そんなエビデンスがあり実用的な対人関係療法をセルフケアに使えるように構成されているのが本書です。
心理療法がいかに役立つものなのか?この本を読み実践すれば体感することができるでしょう。
また、人間関係の悩みは誰しも持っているものですから、単純にリアルタイムで人間関係で悩んでいるという人にもおすすめの一冊です。
③オプティミストはなぜ成功するか?
2000年以降、注目が集まっているポジティブ心理学(変な名前ですがれっきとした学問の1つ)の先駆け的な内容の本書は、認知行動療法(エリスモデル中心)に加え、ポジティブ心理学の知見を生かしたワークがふんだんに散りばめられています。
著者は学習性無力感(教育心理学で頻出)を発見したマーティン・セリグマン博士です。うつ病研究の第一人者として世界的に知られています。
オプティミストとは楽観主義者のことですが、楽観主義者は悲観主義者よりも心理的健康という観点からメリットが多いことが研究で明らかにされています。
本書も根底にはこの研究が置かれています。
そのため、本書はネガティブな自分を科学的に改善していきたい人にとっては得るものが多いものになることでしょう。
余裕がある人はセリグマンの2冊目の著書『ポジティブ心理学への挑戦』と合わせて読まれるとさらにポジティブ心理学についての理解が深まると思います。
④現実は厳しい でも幸せにはなれる
ベック.Aと並び、認知行動療法の創始者とされるエリス. Aの著書。論理療法の解説書です。
エリスの特徴はABC理論と呼ばれるもので、A(出来事)→B(信念・考え方)→C(結果)という流れで人間は物事を捉えていると考えます。
本書でも特に重要なのはBの信念、つまり捉え方であることが強調されています。
同じ出来事に遭遇しても捉え方により打ちのめされるか、なんともないかが決まります。
この本に限らずエリス本の特徴としてセルフヘルプが挙げられます。困っている人が本を読み、自分で実践できるように書かれているのが他の類似本と一線を画しています。
多少強引な記述も目立ちますが、読み終わる頃には「自分を変えられるかも!」と思わせてくれる良書です。
⑤個人心理学講義
アドラーの心理学である個人心理学を体系的にまとめた良書。
アドラーは教育領域では非常に人気な学者ですが、「その思想は?」と尋ねられると心理学の専門家でもイマイチ答えられません。
特に晩年論争を巻き起こした共同体感覚についてはよくわからないという人も多いことでしょう。
この本を読めばそんなアドラーの思想の全体像がよくわかります。なぜ「個人心理学」という名前にしたのかという謎も解けます。
自分が悩んでいるという人もアドラーからたくさんのヒントを得られると思います。
とにかくアドラーの思想の全体像を押さえておきたいという人は一度手に取ってみてください。
というわけで、今回は以上です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?