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第4章 iPhoneとChatGPTで日記習慣の提案「感情ダイアリー」


「感情ダイアリー」とは何か?

最近、メンタルヘルスのケアとして注目されているのが「日記」です。精神科医の最上悠氏の2018年の著作「日記を書くと血圧が下がる〜 体と心が健康になる「感情日記」のつけ方」では、日記をつけることは心と体の両方に良い効果があるとエビデンス付きで紹介されています。 

中でも思っていることを書き出して頭の中を整理し、ストレスを減らし、気持ちを安定させる新しいセルフケアの概念を「感情日記」として提唱しています。

例えば、高血圧の人にストレスとなる出来事や感情について日記を書き続けてもらう実験を行ったところ、血圧の低下や慢性痛を持つ患者が怒りの感情を中心に日記を書くと、痛みが軽減し、抑うつ気分が改善するという結果が紹介されています。

この「感情日記」を、iPhoneとChatGPTでより便利に、より効果的な活用フォーマットにしたのが「感情ダイアリー」です。

まずは「感情日記」をベースとして効能と書き方を解説した上で、ChatGPTを使った応用法である「感情ダイアリー」に繋げていきます。

「感情日記」がもたらす5つの効果

「常識」や「照れ」にとらわれずに本心を書き出すことがポイントです。

1. カタルシス効果

カタルシス効果とは、心理学で「浄化」を意味し、ネガティブな感情を発散することで苦痛が和らぎ、安心感を得られる現象です。感情を抑えがちな人が感情日記に自分の気持ちを書き出すと、気持ちが軽くなることがあります。

 2. 自分の思考のクセを知る

頭の中にあるものを書き出すことで、自分の思考パターンやそれに伴う感情や行動が見えやすくなります。これにより、新しい考え方や行動を選ぶことができるようになります。

3. 幸せを感じやすくなる

海外の研究では、「感情日記」にポジティブな内容を書く習慣を持つと、睡眠の質が向上し、運動習慣が身につき、身体的不調が減り、主観的幸福感(ウェルビーイング)が高まることが示されています。(*2)

4. 心の安定につながる

ワーキングメモリは作業や判断に必要な情報を一時的に記憶し処理する能力です。これが一杯になると集中力が続かなくなり、感情の切り替えが難しくなりますが、「感情日記」を書くことで、ワーキングメモリの容量を適宜開けておくことができます。

5.ネガティブな内容でも効果あり!

「感情日記」に書く内容はポジティブである必要はありません。実は、ネガティブな内容を書くことも多くの研究で効果があるとされています。

ネガティブな出来事を書き出すと、最初はその感情が強まることがありますが、しばらくすると感情が鎮静化します。(*4)これにより、ストレスが減り、心が安定します。さらに、感情日記を書くことで医療機関への受診回数が減り、免疫機能の向上にも役立つ(*5・6)と報告されています。 

「感情日記」の書き方

1. 自分のために書く

感情ダイアリーは誰かに見せるものではないので、他人の気持ちや都合を気にせず、自分の思うままに書きましょう。誤字脱字や文章の完成度を気にする必要はありません。ノートに書く必要もなく、スマホやPCに入力しても良いので、自分に合った方法で気軽に続けましょう。

 

2. 出来事よりも感情を書く

日々の出来事をたくさん書く必要はありません。その日のうちで心が動いた出来事を一つ選び、その時にどんなことを考えたのか、どんな感情が浮かんだのかを書きましょう。

 

3. 感情のレパートリーを覚える

感情ダイアリーのポイントは、自分の感じた気持ちを具体的に書き出し、それに名前をつけて理解することです。いきなり「感情は?」と聞かれると難しいので、いくつかの感情の言葉を覚えておくと良いでしょう。例えば、以下のような感情があります:

《感情を表す言葉》

安心、不安、期待、恐怖、興奮、苦しみ、焦り、冷静、満足、不満、悲しみ、嫌悪、親近感、虚しさ、困惑、緊張、リラックス、恥、軽蔑、嫉妬、罪悪感、期待、感動、不思議 など

毎日書かなくても大丈夫

日記を始めるとき、「毎日書くぞ!」と意気込むことが多いですが、大切なのは、細く長く続けることです。毎日書く必要はなく、週に1回程度でも十分です。書けないときは無理せず休み、気持ちが乗ったときに再開するくらいの気軽さで取り組んでみましょう。

安心できる場所で書く

感情日記を書く際には、邪魔されずにリラックスできる環境を整えることが大切です。時間や場所を決めるのはもちろん、「○○の後に書く」といったルーティンを作るのも良い方法です。

考えや感情を掘り下げる

これは応用編ですが、違和感や抵抗がなければ、書いた日記を読み返してみましょう。「なぜこう考えたのだろう?」「この感情はどこから来たのだろう?」と掘り下げて考えることで、新たな気づきや視点が生まれるかもしれません。 

ChatGPTを使った「感情ダイアリー」とは

前頁では精神科医である最上氏が提唱する「感情日記」の効果効能がご理解いただけたと思います。

私がこの本を読んで最初に思ったことが「iPhoneとChatGPTを活用すればもっと便利に高い効果を見込める!」という感想でした。

そして、ChatGPTの機能とプロプトを合わせてフォーマット化したのがこの「感情ダイアリー」です。

iPhone + ChatGPTで行う5大メリット

その① いつでもどこでも出来る

日記の定番である「三日坊主」を脱するためにも、いつでも、どこでも、気軽に取り組むことが重要です。スマホならちょっとした隙間時間に喋るだけで日記をつけることができます。

その② しゃべるだけという手軽さ

ChatGPTとの音声会話は全てテキストとして履歴に残ります。このまま残してもいいですし、コピーして日記ログに移すのもいいでしょう。

 その③ 言語化することによる一次感情の解消

ChatGPTと会話する際、自身の感情を客観的に言語化して声にする必要があります。この時、「一次感情」と言われる心の奥底に触れることでストレスが緩和される効果があると言われています。映画やドラマでよくある誰もいないところで「バカヤロー!」って大きく叫ぶシーンがそのことに該当します。

その④ 言語化することによる思考の整理

会話するためには、自分自身の気持ちを一旦言葉にする必要があります。この時、適切な言葉を探したり、順序を考えたりという思考の整理を行う必要があり、このことが鍛錬につながりワーキングメモリの能力向上につながります。

その⑤ 相手がいることによるリズムと安心感

ChatGPTは投げかけた会話に必ず反応してくれます。「あいづち」や「評価」や「感想」や「励まし」を言ってくれます。この双方向性こそが従来の日記とは大きく違い、楽しく、飽きずに日記をつけて健康効果を引き出す秘訣にあります。

「感情ダイアリー」プロンプト

「感情ダイアリー」はChatGPTのカスタマイズ機能を活用します。使い方は第1章の「❷カスタム設定」を参照してください。

この中の機能の一つの「トリガー」という機能を活用します。「トリガー」とは、設定したキーワードを指示すると、その後の行動をChatGPTが行なってくれるという機能です。

ここでは「ダイアリー」というトリガーフレーズを指示することにより、規定の質問をChatGPTから投げかけてもらい、それに回答するだけで「日々の会話ルーティンを行う=日記をつける」という動作を実践する仕組みです。 

カスタム画面

設定スペースAに記載する内容:

→「私のことを常に○○○○と呼んでください。」

 設定スペースBに記載する内容:

→ダイアリーをお願いします。と言ったら以下の質問を順番に一つずつ投げてください。質問する時は常に私の名前を呼んでください。

質問⑴: 今日はどうでしたか?

質問⑵:そうですか。では詳細をおしえてください。特になければ「なし」と答えてくださいね

質問⑶:では今日の感情点数をつけてください

最後に感情点数を私が答えたら、私のことを褒めてください。そして「また明日お会いしましょう。」と言って終わりにしてください

===以上、設定方法の解説====

<ChatGPTからの応答が悪い場合の対処>

ケース1:質問がまとめて来てしまって、一門ずつの質問にならない。

対処1→ ChatGPTのバージョンが3.5だと出来ないので4oで再度行ってください。

対処2→ 「一問ずつ質問をしてください」と再度指示を行ってください。

対処3→ あたらしいチャプター(会話)で初めから行ってください。

<ご注意>

*2024年7月15日時点でのChatGPTの対応事例です。AIは日々進化していることから、あくまでも参考回答の1つであり、同じ回答が出るとは限りませんのでご留意ください。

《参考文献》

※1 最上悠『日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる「感情日記」のつけ方』 CCCメディアハウス(2018)

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