FM 5-0 序文

序文

 FM 5-0(作戦プロセス:The Operation Process)は、6つの章と10の付記により構成され、陸軍組織における計画、準備、実行および評価について記述している。FM 6-0(任務指揮:Mission Command / Command and Control of Army forces)とあわせ、ここでは陸軍における共通の言語及び思想としての作戦遂行における指揮および統制について述べている。

 このFM 5-0 における解釈は、従来のマニュアルにおいて、計画や命令に関するすべての諸活動について厳密に明記されてきた内容を、さらに拡充するものである。ここでは、作戦プロセスを担うスタッフに支えられた指揮官が、理解、見通しを立てる、説明、指揮、指導、評価におけるアート(Art)とサイエンス(Science)から成り立つ戦闘指揮において、どのようにして作戦を完遂するのかを述べる。この改訂では、作戦プロセスにおける指揮官、スタッフ、下級指揮官、その他の軍人もしくは民間協力者の相互のダイナミックな協力関係についてより深く述べることを意図しており、それは決して絵に描いた餅であってはならない。デザイン(Design)は、重要かつ創造的な思考方法であり、指揮官が複雑な問題を理解、見通しを立てる、説明することによって管理、解決するために、思考をさらに展開する際に助けとなるものである。

 FM 5-0 に包含されているドクトリンを理解するために、読者はFM 3-0 に記載されているフルスペクトラムオペレーションズについての原理原則をまず理解する必要がある。さらに読者は、FM 3-90(戦術:Tactics)、FM 3-07(安定化作戦:Stability Operations)、JP 3-28(民間人の協力:Civil Support)の内容について精通するべきである。読者はまた、いかに戦い、守り、安定化するか、あるいは作戦に際し民間人による補完的な助力を得られるかを理解しなければならない。さらにまた読者はFM 6-0 に記載されている指揮及び統制の原則と、FM 6-22(陸軍のリーダーシップ:Army Leadership)に記載されているリーダーシップの原則を理解しなければならない。

 このマニュアルはすべての陸軍部隊に適用される。本マニュアルの対象は陸軍指揮官もしくは部隊スタッフ(士官、下士官、兵士)である。陸海空統合軍のタスクフォースもしくは多国籍軍の設置する陸軍司令部に属する指揮官及び幕僚もまた、指揮及び統制の行使については統合軍もしくは多国籍軍としての適切なドクトリンに従うべきである。陸軍の教官及び教導組織はこのマニュアルを使用するものとする。

 陸海空統合軍もしくは陸軍における用語の定義は用語解説もしくは教本により定義される。用語参照について:FM 5-0 において使用される用語の多くは、陸海空統合軍もしくは陸軍における用語解説に含まれる。教本参照について:FM 5-0 における定義に関しては太字で記載している。これらの用語及び定義については、FM 1-02(作戦における用語及び図説)の改訂版に反映されるであろう。教本中に登場する用語のうち、他の教本において定義された用語についてはイタリック体で表記し、教本ナンバーを記した。

 特別の事情の無い限り、FM 5-0 は、米陸軍現役および予備役部隊、州兵陸軍現役および予備役部隊に適用される。

 米陸軍訓練教義コマンド司令部が、この教本を作成した。また、準備段階においてはアメリカ陸軍職種協力センターもこの教本の作成に関わった。

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