嵐田 亮(弁理士)

弁理士法人シアラシア(http://siarasia.jp/) 代表弁理士/2008年…

嵐田 亮(弁理士)

弁理士法人シアラシア(http://siarasia.jp/) 代表弁理士/2008年 東京大学大学院農学生命科学研究科修了 農学博士/2011年 弁理士登録/2022年4月 株式会社ユーグレナを退職して独立/元日本ボディビル・フィットネス連盟登録選手(~2019年)

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AIで描いた「ウォーキングビーム事件」が出来るまで

1. はじめに 話題の画像生成AI、Midjourneyを使って「ウォーキングビーム事件」のイメージ画を作成したところ、そこそこの反響がありました。  「ウォーキングビーム事件」とは、昭和61(オ)454の最高裁判決「ウォーキングビーム式加熱炉事件」のことです。特許の先使用権が認められる要件を定義した重要判例であり、ウォーキングビーム式加熱炉というものを知らない人にとっては名前のインパクトから勝手なイメージをしてしまうものです。実際のところ、ウォーキングビーム式加熱炉は、長

    • 共同研究前に秘密保持契約書を締結する際の注意点

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      • 商標登録は言葉の独占ではないことを「note」商標を例に解説します

         弁理士法人シアラシア 代表の嵐田です。  「ゆっくり茶番劇」炎上騒動は収束しつつありますが、炎上当時は世間の関心が高く、私宛にも何件か商標に関する質問がありました。一般の方の質問に接して感じたことは、多くの人は商標法を誤解していのではないかということです。 「ゆっくり茶番劇」商標がとられたら他の人は使えなくなるのか? 「ゆっくり茶番劇」という言葉を口にすることもいけないのか? いや、そもそも「ゆっくり茶番劇」という言葉はみんなのものだから一個人が独占してはいけない!特許庁も

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           令和4年度弁理士試験短答式筆記試験において、商標法の問題の中で特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示(GI: Geographical Indication)法、以下「GI法」)に関連した問題が出題されました。「地理的表示」は令和4年4月1日の弁理士法改正において、「植物の新品種」及び「地理的表示」に関する業務が弁理士法第4条第3項に追加され、弁理士の名をもって行うことができる業務(いわゆる「標榜業務」)として明確に規定されることになりました。 1. GI法

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          9か月で19kg減量した食事法

           3年前の話になりますが、私は2018年の11月から2019年の8月までの9か月間で約19kgの減量をしました。2019年にボディビル系の大会に出ることを目標として、もともと75kg前後だった体重を、筋トレと食事で一旦87kgまで増量し、そこから68kgまで落としました。その時のノウハウを、主に食事管理の観点でまとめてみました。 1. 「消費カロリー」>「摂取カロリー」が原則 当たり前ですが、一日の消費カロリーが摂取カロリーを上回っていれば体重は減ります。消費カロリーは「基

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          スタートアップ・中小企業が共同研究契約書を締結する際に注意すべきポイント

           こんにちは。弁理士の嵐田です。  スタートアップ・中小企業が他の企業と共同研究をする際に締結する共同研究契約書で注意すべき点をまとめてみました。 1. なるべく自社の雛形を使う  共同研究契約に限らず全ての契約に当てはまりますが、なるべく自社雛形をベースに契約交渉するのが理想です。雛形は基本的に自社有利なように作られています。相手先雛形をベースにした場合、自社に不利な条項を中立以上に戻す作業が必要になります。相手先によっては不利な条件が巧妙に散りばめられた雛形を送ってく

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