マガジンのカバー画像

頭をめぐる、想いなど

30
西澤伊織の今日、考えたこと
運営しているクリエイター

#東京

やがて減りゆく空気なら

私ごとではありますが(と言いつつここに書く全ては基本的にいつも私ごと)、先々週の土曜日に次男が生まれたので、いつもこれを書いていた東京のコンピューターから遠ざかり1週間ほど滋賀県の自分や妻の実家で過ごしていました。 久しぶりに東京に戻り仕事机のデスクトップを起動させると、瞬間的に「考え事に適しているのはやはり東京だ」と思います。少なくない日本の著名な作家たちがあえて東京に住んでいないという事実がありますが、あのメリットを僕自身が理解するにはまだ少し時間がかかるのかもしれませ

お客様がいらっしゃる家

現代の日本の住宅から消えたのは客間だと言われています。スペースが自ずと限られる都会生活では致し方ないという実状もあるかも知れません。 ちなみに「百科事典が最も売れたのは日本に客間があった時代まで」と言われています。読むかどうかは別として、ドカッと立派な本を客間に飾る人たちが昔はいたわけです。どうしていたのか?それは当時の住宅の間取りに関係があると推察してゆくことが出来ます。 これまで近代日本の住宅のデザインは居住スペースである複数の和室に対し、洋室の客間一部屋でした。しか

誤謬について

大晦日に続き2021年の元日も東京は随分と晴れ渡る爽快な空模様だったが、相変わらず日が翳(かげ)り始める頃には随分と冷え込むことに変わりはない。 ちょうど気温が落ち込む夕暮れ時に大学の教員たちが訪ねてきてくれたので、ストーブに火をつけながら「この時期、時刻も夜ほどになると外に出ようとするのはせいぜい喫煙者と野良猫くらいでしょう」と言ったところである別の種類の疑問が頭に浮かんだ: たまに「喫煙者の対義語は何でしょう」と尋ねて「禁煙者」と相手が間違えることを待ち構える人たちが

あぁ、どうかお元気で

冬至を越えて、少し暖かくなるのだろうか。それともそんなことはなく、厳しい寒さはまだまだ続くのかもしれない。でも今日の朝はいつもより太陽の光が暖かかく、紅茶を淹れてベランダで飲めた程だった。 ベランダから陽に照らされた町に目をやる。コートを脱いだ人たちがポツリポツリ通り過ぎてゆく年の瀬の道。ひとりの杖をついて歩いてゆく帽子をかぶった老人の後ろ姿があった。 「あの人は。。いや、違ったか。。」 一瞬の期待に胸を躍らせたが、人違いだったようだ。 仕事場を借りたばかりの頃、よく