田舎から出てきたばかりの娘には、パリの通りは歩けない『衣服のアルケオロジー』(フィリップ・ペロー)
フィリップ・ペロー『衣服のアルケオロジー 服装からみた19世紀フランス社会の差異構造』、大矢タカヤス訳、ちくま学芸文庫、2022年
身づくろいに時間をかけることは、自分をもてなすことだ。だから19世紀フランスの大ブルジョワジー社会に生きる女性の身づくろいには、いつも服独自の、彼女たち自身の時間が流れていたように思う。
「申し分ない」女性たちは、この時代、ひっきりなしに(ときには一日に8回も)脱ぐことと着ることを繰りかえしていた。
自分の年齢、容貌、肌と髪の色と調和するよう