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休暇についての笑えないアメリカン(風)ジョーク

ゴールデンウィークを控えたジョン次郎は同僚のキャサ子に言った。

「僕はこの休み中、月曜から一週間をまるまる仕事に当てようと考えているんだ。(伏線)もちろん、自己投資のためにね。(伏線)」

キャサリンは、「そう、じゃあ頑張ってね、それじゃあまた、休み明けに」と
いつもの優しい笑顔で見送った。

そして計画初日の月曜日。
ジョン次郎がパソコンを立ち上げると、部屋に異音が鳴り響いた。
どうやら、持ち帰るときにパソコンのファンが壊れてしまったようだ。近所のモールに修理ができる店があったので、その日は、家族でデパートにでかけることになった。モールを家族でぶらついている間も、「いつ直るか」、「いくらかかるかと」、預けたパソコンのことばかり考えていた。

次の火曜日、パソコンなしでできる仕事はないかと、スマホでググったり、アマゾンでネットショッピングをしたり、連休に終わらせる予定のタスクを書き出し、TODOリストを作成したりした。午後は、思いの外早く、修理から帰ってきたパソコンのセットアップ作業に費やした。

水曜日、家族でお弁当をもって公園に行ったときも、どこかで仕事ができるかもしれないという一縷の望みをかけ、思いノートパソコンと予備のバッテリー、充電一式をリュックに忍ばせてた。虎視眈々と狙っていたその機会は、ついに訪れず、重いリュックを背負い帰宅した。

木曜日には、「たまには子供たちを連れて、どこかに出掛けてよ」と妻にせかされたので、息子たちと、バードウォッチングにでかけることにした。
「おとうさん、そんな低いところに鳥はいないよ」
そう息子たちに冷やかされた理由は、ジョン次郎が双眼鏡で必死に探していたのは、USBポートとフリーWifiだったからだ。

金曜は昨日の疲れからか、子供が熱を出し、病院に連れて行ったり、他のこの世話をしたりで、一日pcに向かえなかった。

土日はぐったりで、結局、出来たのはメールチェックくらいだった。

さて、休み明け、オフィスでキャサ子はお土産を手渡していった。
「どう?仕事は捗った?」
ジョン次郎は首を振って答えた。

「いや、少しも取り掛かれなかったよ」

「少しも?」
少し怪訝な顔を見せつつも、キャサ子はいつもの満面の笑みを取り戻してこう言った、

「良かった!じゃあ、連休を満喫できたということね。ちなみに私は、動物園やデパート、バーベキューに行ったわ。ジョン次郎は家族でどこかにでかけた?」

「そのことなんだが…」

ジョン次郎は不思議そうな顔つきでつぶやいた。

「僕はこの連休、どこかに行った記憶がないんだ…」

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