5. アメリカ西海岸のリトリート―Ojai オーハイ
前回、軽井沢の「リトリート」について書いていて、LAに住んでいたころのお気に入りのリトリート、Ojai オーハイを思い出した。
OjaiはLAから北へ2時間ほど行った山間の小さな町で、Native American, Chumash Tribe(チュマッシュ族)の言葉で「月」という意味。高級別荘地という顔もあるけれど、あまり何もない自然に囲まれた静かな環境を楽しむ町であり、パワースポットでもある。アーティストやリタイアした人、エコロジー、オーガニック、スピリチャルのような事を求める人が集まってくるところ。チェーン店は法律で禁止されていて小さな個人のお店ばかりでいわゆる「ニューエイジ」系の店も多い。
Ojaiには、Ojai Vally Inn & Spaという、有名な高級リゾートホテルがあって、ゴルフ場も擁する広大な敷地を散歩したり食事に行くだけでもすごく素敵、でも、泊まるのは、もっと小さな静かなリトリート。私は、スピリチャルではなく、俗な人間だけれど、お気に入りの宿がふたつあって、命をじゃぶじゃぶ洗濯しに、年に一度はでかけていた。
一つ目が「Pepper Tree Retreat」
Ojaiは、インド出身の Philosopher、宗教的哲人などと言われる Krishnamurti (クリシュナムルティ)が1922年から亡くなる1986年まで住んだ場所。Truth is pathless land・・・既存の宗教や哲学、権威や組織によらず、独力で真理を探究することの重要性を説き、講話や対話を行いながら世界各地を巡った哲人の終焉の地。
Ojaiのダウンタウンから4 mileの彼自身の家に併設された世界中からの訪問者のためのGust HouseだったところがPepper Tree Retreatで、今は宿泊施設(B&B)になっている。11エーカーに及ぶオレンジの果樹園やハーブ園などの庭園の中の1910年に建てられたFarmhouseと新しく建てられたコテージから成る10室は、このRetreatのゲストだった有名人にちなんで名づけられている。私のお気に入りだったLENNON ROOMは、一時、ここから道をくだった所に家を借りてKurishnamurtiをたびたび訪れたという、ジョン・レノンにちなんで名付けられている。
2階にあるLENNON ROOM は3面に窓、樹々に囲まれた広々とした専用のBalconyと独立したキッチンのある、リトリートにはぴったりの部屋。 ただし、ここは、No drugs, alcohol, or smoking はもちろんのことVegetarian Retreatなので施設内での肉禁止・・・調理も食べるのも。朝は、ヨガクラスもあったりする。
二つ目は、Ojai Retreat and Inn
5エーカーの敷地にMain House と4つのコテージがあって、リヴィング/カンファレンスルーム、 “Quiet Room”といった部屋もある。オーハイのリトリートに、クリシュナムルティの足跡は大きく、ここの敷地も、かつて1940年代に彼が毎年オーハイで開催していたStar Campの一部だったらしい。
“a hilltop getaway with panoramic view” と謳うだけあって、本当に景色が素晴らしくて、部屋の窓いっぱいに、山並みとOjai Valleyが広がり、テラス、、、というか、本当にプライベートな「庭」がついている。景色だけで癒されるところ。
敷地内に10台設置されたAirstreamに宿泊する Caravan Outpostも、Shopに行くだけで泊まる勇気?はなかったけれど、アメリカらしくもあり、オーハイらしくもあり面白かった。
食事は、Vegan系、オーガニック系が多くて、オーガニックのグローサリーストア併設のカフェとか、こじんまりしたCozyなところが多かったけれど、宿のせっかくの素敵なテラスでも食べられるし、Most Romantic Restaurant in Americaにも選ばれたことのある、本格的なレストランRanch Houseも素敵だった。
Ojaiといえば、The Pink Momentという、サンセットの時にOjaiに訪れるという特別な時間がある。東西に連なる山並みに囲まれた谷という環境が生み出す、世界でもそれほどはない、ちょっと特殊な現象らしく、夕陽が東側のTopa Topa Mountainsに反射して数分間、谷全体がピンクに染まるとか。イギリスのJames Hiltonの1933年の小説「Lost Horizon」を1937年にFrank Capraが映画化した際、その中に登場する架空のユートピア、Shanri-La (シャングリラ)を撮影した地の一つがOjai・・・ここは、まさに「桃源郷」なのだ。
ダウンタウンから5マイルほど東、Pepper Tree Retreatから車で5分強の高台に、無料の瞑想センター「Meditation Mount」があって、そこの敷地内は瞑想スポットなのだけど、ピンクモーメントを見るスポットにもなっている。そこでも、みんな普通に西に沈むサンセットをみていて、とても美しいサンセットと夕陽に染まるOjai Valleyを観ることはできたけれど、「Pink Moment」を実感できるような光景は体験できなかった・・・
11月-2月がベストシーズンとのこと、いったいどんな感じなんだろう。ちょっと期待しすぎなのかもしれない。
(写真)Meditation Mountから見た西の夕焼けとダウンタウンで見たちょっとピンクになった東側の空with Super Moon
ピンクモーメントといえば、懐かしのビバリーヒルズ青春白書のシーズン10「名付け親」というエピソードで、オーハイにいったディーンが、ケリーに一緒にPink Momentを観ないかっていうシーンがあるらしいと聞いたので、チェック。ビバヒルは、昔もあんまり観なかったのだけど。ディランが「夕陽が雲に反射して起こる。約2分間、すべてがピンク色に染まる」とケリーに話して、一緒に見ようとするのだけど、結局、二人は一緒に見ることはできず、ピンクモーメントの映像はなかった。
可憐なHummingbird ハチドリを初めて見たのも、Ojaiだった。米国南西部からアルゼンチン北部にかけてカリブ諸島も含むアメリカに生息するとのことで、日本では見たことがない。
Ojaiは、小さな、観光名所などというものはさほどないけれど、のんびり一日を過ごせる場所がたくさんある。
Bart's Books
Ohai名物の一つ、世界最大級の常設屋外書店。1964年開業と歴史は古く、タイトルが目にとまるよう歩道沿いに本棚を置いたのがきっかけとか。35セントの古本から数千ドルのアート本まで。
Open 7 Days a Week 9:30-Sunset…閉店後はお代はドアのスロットに入れて置いてね、といういわゆる"honor system"を今でも取っている。あちこちにテーブルが置いてあって、本好きが日がな一日のんびりできる場所。
Ojai Olive Oil Company
150年前にスペインから持ち込まれたオリーブオイルの木が始まりで、今は仏プロバンス、伊トスカーナ、スペイン アンダルシアから運ばれた2000本以上の木から取れるオリーブオイルを作っている。自然の中で丁寧に作られるOlive Oil、小さな家族経営、Organic、、、オーハイってこういうのがよく似合う。
土曜は、無料のツアーでシャチョーさんが歴史から何から色々説明してくれる。Olive の木に囲まれてハンモックでボーっとするのも癒される。
Tasting可能なオリーブオイルもバルサミコもいろんなフレーバーがあって全部美味しくて、つい、買い込む。
Rose Valley Fall
オーハイの街から北へしばらく車を走らせると、連邦国有林Palos Padres National Forestが広がっていて、パワースポットといわれるRose Valley Fallという滝へのトレイルをたどることもできる。そして、その途中に道の脇には「米国で最も小さい郵便局」。ちゃんとUSA's Smallest Post Officeという看板がでている。
そして、クリシュナムルティだけではなく、ジョン・レノンもこの町に縁のある人として重要らしく、そこここに名前を残している。。。お店だけど。
Retreatとは・・・避難、退去、隠居、静修などを意味して「普段の環境、日常生活から離れて静かな場所で自分をみつめなおすこと」や「そういうことをする静かな場所」・・・もっと簡単にいうと静かなリラックスした時間と空間で心身共にリフレッシュすること。
私にとっては、RetreatというとOjai なのだった。
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