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美術館に通うと、今までと違う目をもつことができるか? (21)

『不変/普遍の造形―住友コレクション中国青銅器名品選―』 泉屋博古館東京 2023年2月13月(日)

明治から大正の政財界では同好の士と茶の湯や煎茶を楽しむことが盛んで、当時の住友家当主住友春翠も数奇者の一人と呼ばれていたようです。その住友春翠は、中国文化に造詣が深かったようで、その青銅器コレクションたるや、それはそれは素晴らしいと聞いたことがありました。

その住友春翠がコレクションした中国青銅器の名品選が、泉屋博古館東京で開催されています。

煎茶の床飾りに青銅器を購入したことがきっかけだったようですが、その後床飾りにこだわらない青銅器蒐集にのめり込んでいったようです。(ぶっちゃけ、床飾りとして十分成り立つと思いますが。)

饕餮文方罍 (とうてつもんほうらい)

中国の殷・周時代に祭祀儀礼のために作られた青銅器で、動物や鳥がかたどられています。特に見どころなのは、架空の怪獣である饕餮(とうてつ)をかたどった青銅器。目、鼻、角、口などが紋様化されて、精密に彫りこまれています。他にも、虎やミミズクがかたどられた青銅器もあってバラエティ豊かです。

今日の一枚は、虎卣(こゆう)。その奇妙なフォルムが特徴です。虎のお腹に人間が貼り付いています。トトロのお腹にサツキとメイが貼り付いているのと同じようにも見えますし、人間が今まさに虎に飲み込まれようとしているようにも見えます。

虎卣(こゆう)

2017年に古代アンデス文明展で、死んだ男性と生きている女性を描写した土器や、シカを背負う死者をかたどった土器を見た時に感じた、全く理解できない感が甦ってきます。

そのように、よく見ると奇抜なんですが、基本的にはネコ科のフィギア的な可愛らしさがあって、大きさも手頃で、彫りこみも超絶的で、ひとつ選ぶとしたらヤッパリこれでしょ感があります。



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