旧朝香宮邸の大食堂 #46
開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z
東京都庭園美術館
2024年3月30日(土)
今日の一枚は、旧朝香宮邸 大食堂。
銀色の壁、丸く張り出した窓、パイナップルとザクロのシャンデリア。一つひとつが強烈な存在感を放っている。
特に、イワン・レオン・ブランショによる金属的な壁は、この部屋に、冷たい重厚感をもたらしている。他の部屋と全く異なる雰囲気である。
大食堂のラジエーターレジスター(暖房の出口)には魚や貝があしらわれている。旧朝香宮邸には、この魚のようなカワイイモチーフがたくさんあって、楽しげな雰囲気である。
この邸宅の中心と思われる大客室。木の壁と、白い天井。燦々と射し込む光。
とても手のこんだデザインに溢れている。アンリ・ラパンが描いた緑の壁紙。マックス・アングランのガラス扉。奥に見えるのはフランス国立セーブル製陶所による香水塔。
ルネ・ラリックのシャンデリアは、植物的な感じと、ギザギザの工業的な感じが混ざりあっている。これぞアールデコか。
この大客室は、アンリ・ラパンが全体を設計し、自分を含め、4人の作家の作品で構成されている。それぞれ、うるさくない程度におさまっていて、調和がとれている。
正面玄関の4体の女性像。亜空間に誘うような気配を漂わせる。
朝香宮鳩彦(やすひこ)殿下ご自身の居間。噴水の壁紙。同じデザインのカーテン。ラジエーターレジスターのデザインも噴水。殿下のお好みがうかがわれる。
大広間と庭をつなぐ次室には、大きな香水塔。存在自体に、強い違和感があるが、室内用の噴水なんだそう。上部に香水を注いでいた。
2階は家族のプライベートスペース。モダンな白黒の床、白い壁、三角の照明も可愛らしい。鳩彦殿下と妃殿下のためのベランダであったことだろう。
旧朝香宮邸は、どの照明も、とても凝っていて、個性豊かである。
この邸宅の設計に深くかかわった妃殿下ご自身の部屋。この照明も、とてもおしゃれである。お気に入りだったことだろう。
生活のなかにアートが溢れていた。桜にはまだ早かったが、天気もよく清々しい一日であった。
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