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2024年5月前半日経平均相場の振り返り

 


①    日経平均チャート

5月前半相場を振り返ると、日経平均株価は高値38949円、安値37958円となり上下値幅991円と直近では比較的小幅な動きであった。
まずは1日の日経平均株価は131円安であったが、半導体関連株は賑わった。
日経半導体株指数は前日比1.3%高だった。

②    レーザーテック

理由はレーザーテックの決算である。
レーザーテックは4月30日に発表した2023年7月~24年3月期の連結純利益が前年同期比2倍の415億円と市場を上回った。
これを好感して買われ、売買代金は6469億円と前日の3.6倍の大商いとなった。
売買代金は過去最高だった1月23日の6712億円に次ぐ過去2番目の大きさとなった。
レーザーテック株は一時前日比6180円高い40780円まで上昇した。
これは3月22日に付けた上場来高値の43880円から、4月23日に付けた年初来安値32930円の半値戻しの水準(38405円)を回復した。
その後も順調に推移し16日には43490円まで値を戻している。

③    上場企業決算

15日には3月期の上場企業の決算がほぼ出そろった。
東証プライム上場企業のうち、比較可能な約1070社を集計すると、24年3月期の純利益合計は前期比18%増の45兆3000億と3年連続で過去最高となった。
しかし上場企業が業績の先行きに慎重姿勢を強めているのである。
2025年3月期の純利益は前期比4%減と5年ぶり減益を予想している。
 
企業が減益を見込む要因は3つある。

④    海外の景気減速

1つは中国や欧州を中心とした海外の景気減速だ。
日本製鉄は純利益が45%減ると予想している。
不動産不況で余った中国産鋼材が低価格でアジアに流出し、利益率が低下するなどである。株価はその後下げている。
コマツは油圧シャベルなど主要建機の欧州向けの需要が前期に比べ5~10%減る見通しで、12%の減益を見込む、ただ株価は高値圏でもみ合っている。

⑤    円安効果の剥落

2つめの要因は円安効果の剥落だ。
今期は1ドル=140~145円を想定する企業が多い。
政府・日銀の市場介入への警戒感などもあり、一段の円安を前提にした事業計画は立てにくい。
ホンダは前提を1ドル=140円と想定している。
電気自動車(EV)との価格競争で中国の持分法適用会社の業績も悪化し、10%減益を想定する。
株価は右肩下がりで推移している。
ソニーは来期5%減益の予想だったが、併せて発表した中期経営計画の成長戦略と株主還元策が評価され株価は急伸し終値は8%高となった。

⑥    事業コストの増加

3つめは人手不足への対応や、人口知能(AI)関連といった収益源の深堀、人件費や研究開発の費用を上積みするといった成長持続へ、先行してコストを増す企業も増えている。
トヨタ自動車は28%の減益を見込む、仕入先の賃上げ分の一部肩代わりを含めた人件費の増加が営業利益を3800億円押し下げ、EVやソフトウェアの開発費も減益要因となっている。
費用が増えやすく、増収を見込みにくい現状では競争力の差が鮮明になりそうだ。
賃上げをした分、値上げもできるといった個社の競争力や戦略がより問われる局面になりそうである。

⑦    株主提案

最後に話題として一つ記述しておきたい。
日経平均株価が不安定な値動きをするなか、個別株の材料となっているものがある。
それは6月に株主総会を控える企業に対する株主提案だ。
振り返るとアクティビスト(物言う株主)らの言動に反発しつつも、株主還元や資本効率の改善に取り組む契機となった企業もある。

⑧    株主提案銘柄

京阪神ビルディング、東洋水産、コメリ、大阪製鉄。
4月下旬に上昇が目立ったこれら銘柄にはアクティビストによる株主提案を受けている。
京阪神ビルにストラテジックキャピタルは4月25日公表の株主提案で2年以内に修正PBRが1倍以上となる経営計画の策定を求めた。
京阪神ビルの株価は提案公表日から5月1日まで3営業日続伸した。
日本グローバル・グロース・パートナーズ・マネジメントは25日、東洋水産に配当の増配や自社株買い、即席めん事業への集中などを提案。
東洋水産株も1日に上場来高値を更新した。
ひと昔前のアクティビストは長期の視点なしに自分の利益を追求するとされ、他の株主の賛同を得られないこともあったが、実情は変わりつつある。
短期的な利益を追求する側面は残るが、提案は(他の株主も納得できる)理屈の通った内容が多くなってきた。
株主提案は原則、株主総会の8週間前までにする。
6月に総会を開く企業なら4月中下旬が提案のメドだ。
その6か月前から株式を保有しなければならない、これは前年の10月にあたる。
2023年6月の総会で株主提案があった企業のうち、個人の提案などを除く43社の株価推移を調べると、22年10月と24年4月の株価を比べると、単純平均で48%の上昇だった。
43社のうち25社で株価上昇率が日経平均株価(39%)を上回った。
このことから企業価値の向上策を投資家は冷静に評価してきているといえる。


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