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2023年8月前半日経平均相場の振り返り



①    日経平均チャート

8月前半相場を振り返ると、日経平均株価は日銀イベント通過後の1日こそ304円高の33476円と好調なスタートに思えたが、その後2日・3日の二日間で1317円下落した。
32000円~32500円近辺でのもみ合いとなっている。

②    為替と株価

しかし、東京市場では円安・株高の構図に変化が表れてきている。
7月中の日本株の上昇は円安と並行して進んだ。
ところが、7月末ごろからは円安でも株価の上値は重い。
14日にいたっては円相場が対ドルで今年の最安値を付けるなか日経平均株価は413円安となった。
背景には海外投資家の変調がある。
海外勢の手じまい売りが相場の重荷になっている。
日銀の政策修正や米国債の格下げなどをきっかけに海外ヘッジファンドはポジション調整を進めている。
日銀イベントの通過でしばらくは新しい買い材料は来ないとみている点や、ここまで円安が進むとドル建てのパフォーマンス悪化など悪い面が注目されやすくなったのであろう。

③    海外勢の売り越し

このことは株価指数先物の売買に表れている。
大阪取引所によると、海外勢は8月台1週に先物を約4000億円売り越している。
その売りの内訳をみると、東証株価指数(TOPIX)型が約2800億円で日経平均型の2倍超と大きい。
TOPIX型の売り越し額の方が大きいのは2週連続だ。
TOPIX型主導の売りは何をいみするのか。
それは流動性の高い日経平均型はヘッジファンドなど短期勢が主に値幅取りや裁定取引に使う一方、TOPIX型は中長期目線の投資家が使うことが多い。
海外勢の日本株買いが本格化した4月第2週以降、短期的な過熱感から先物が売られる局面では日経平均先物への売りが大きく、TOPIX型は少額の売りか、むしろ逆行して買われてきた。
足元での変化は、中長期の海外マネーが日本株から離れていることを示唆している可能性がある。
個別株でも海外勢好みの銘柄は売られやすくなっているようで、外国人持ち株比率の高いほど下げている。

④    ロボット関連銘柄

代表例が、国際競争力の最も高い分野のひとつとされるロボット分野だ。
ファナック株は6月に付けた年初来高値から23%下落。
ナブテスコはほぼ1年半ぶりの安値に沈んでいる。
今後の株高持続は海外勢の動向にかかっている。

⑤    株式分割とは

もう一つ、株式分割を発表した銘柄の株価の明暗が分かれている現象がある。
株式分割は一般的に、成長性が高く株価が上昇した企業が、新たな株主を呼び込む狙いで実施することが多い。
企業価値は変わらないものの成長期待や買いやすさから個人マネーが入って株高要因になるとの見方が多い。
ただ最近の反応はまちまちだ。

⑥    株式分割銘柄1

マツキヨココカラ&カンパニーは10日に1株を3株に株式分割すると発表し、14日の同社株は一時10%高まで上昇した。
一方、同日に1株を10株に分割すると発表したパーソルHD株は振るわず、株価は6.9%下げ約一カ月半ぶりの安値水準となった。
マツキヨココは24年3月期の年間配当が実質増配となる。
業績も好調で2023年4~6月期の純利益が前年同期比51%増えた。
パーソルHDは分割前後の実質的な配当に変更はなく、23年4~6月期の連結純利益は16%減となっている。
還元姿勢や業績が明暗を分けたといえる。

⑦    株式分割銘柄2

他に株高になったのはコプロHD株が発表翌日17.5%上昇、取引時間中に発表したマブチは5.8%上昇した。
両社とも好決算や自社株買いなどが好感された。 

⑧    株式分割銘柄3

反対に下げてしまったのは、7月28日の取引時間中に発表した帝国ホテル株はその日、前日比1%安で終え、8月1日の発表した寿スピリッツは2日に4%安となった。
分割にすぐ買いで反応するのではなく、業績や株主還元などを見るように変わってきている。
また成長企業による分割ではなく、東証の要請に応じたケースも多くみられ、分割自体が買い材料につながりにくくなっているようだ。
今後の参考にしてほしい。

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