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Sales Q/Q 82% $DFH ドリーム・ファインダーズ・ホームズ:急成長の住宅建設銘柄

現在トウシドリは最近のマーケット状況を踏まえ、高PSR、高成長率の銘柄狙いから、黒字見込み、高成長率の銘柄狙いに切り替えています。その一環で今回はこのDFHという銘柄に興味を持ち分析してみました。住宅建設という業界の中で飛び抜けた成長率を誇る企業となっています。

会社概要

米国の住宅建築業者で低価格・高いエネルギー効率、デジタルを売りにしています。また、保険やローンなどの付随サービスも提供しています。2008年に設立され、IPOは2021年にしています。

フロリダ州のジャクソンビルとオーランド、デンバー、ワシントンD.C.、テキサス州オースティンなどで売上を上げており、買収にも積極的で「最近の買収を含めて、2019年の売上高に基づいて、全米で11番目に大きい民間住宅建設会社」となったようです。

Yahoo financeは以下のようにDFHの概要を説明しています。

ドリーム・ファインダーズ・ホームズは米国の住宅建築業者。品質と手頃な価格の提供を目指しながら、各住宅を顧客のライフスタイルに合わせてカスタマイズし、設計、建設、販売を行う。また、住宅保険や住宅ローンなどの購入に関する付随するサービスを総合的に提供する。本社所在地はフロリダ州ジャクソンビル。
引用:yahoo finance

参考:Motley Fool

各種経営数値:高い成長率と負債比率

DFHは非常に高い成長率が魅力の会社です。売り上げ実績、予測は以下の通りです。

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出所:seeking aplha

Sales Q/Qで住宅建設銘柄と比較するとダントツの成績となっています。ただし、直近で株価が大きく落ちているため注意が必要かと思います。

P/E, Fwd P/E, P/Sがハイグロと比べると非常に低くなっています。同業他社と比べるとそれなりに高い数値となっています。また時価総額的には中堅程度であり、上位陣と比べると非常に大きな差があります。

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出所:finviz

ちなみに負債はかなり多いです。注意が必要かと思います。

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出所:finviz

DFHの成長戦略

DFHが持つ成長戦略から5つをここでは紹介します。

DFHの成長戦略1:買収の活用
DFHの成長戦略2:「アセットライト」なビジネスモデルを採用
DFHの成長戦略3:モダンな家づくり
DFHの成長戦略4:ライフスタイルのデザイン
DFHの成長戦略5:成長マーケットへの参入

DFHの成長戦略1:買収の活用

オーガニックにも成長していますが、買収もうまく活用し成長している企業です。Motlye Foolによれば「2020年にH&H Homes社を買収したことで、成長著しいシャーロットとローリー(ノースカロライナ州)の市場にも大きく進出」しているようです。

2019年にも手頃な価格のエントリーモデルの販売で急成長していた住宅建設企業の買収を行なっています。

DFHの成長戦略2:「アセットライト」なビジネスモデルを採用

オプション契約の活用や土地の販売者、開発者との関係構築により、土地を常に確保するのではなく、「ジャストインタイム」で建設のための土地を購入しています。在庫を多く抱える必要がないために、少ない資産で売上を上げることができ、またリスクも低減することができます。S-1から在庫回転率について以下に引用します。

当社の在庫回転率は、2020年9月30日に終了した9カ月間で2.0倍、2019年12月31日に終了した1年間で2.0倍となっており、同期間の公開企業の住宅メーカーの平均在庫回転率がそれぞれ1.2倍、1.3倍であったことと比較しても、高い在庫回転率となっています。
出所:S-1

DFHの成長戦略3:モダンな家づくり

高エネルギー効率

エネルギー効率の向上とハイテクな家づくりをDFHは志向しています。DFHは自社サイトにてエネルギー効率について以下のように説明しています。

お金を節約するのは誰でも好きです。特に、光熱費の支払いに関してはそうです。Zillowによると、「効率的な断熱材と窓により、古いモデルよりも冷暖房費のかからない快適な家が実現する」ため、新しい家を購入すると、お金を節約できる傾向があります。つまり、お金がエアコンの空気と一緒に逃げていかないので、光熱費が安く済む可能性が高いのです。
出所:DFH

金銭的メリットのみでなく、環境に優しいという点も評価されるかと思い、時代のトレンドにあったものかと思います。他社でも同じような取り組みはあるかと思いますが、落としては行けないポイントかと思います。

以下のようにDFHはUSIという断熱材などを提供する企業と2015年からパートナーシップを結んでいるようです。

モダンテクノロジーの採用

ワイヤレスインターネットや、照明、ドアロック、ガレージへのアクセス、温度調節などをモバイルやスマートスピーカーでコントロールできるような家づくりを行なっています。DFHは「米国環境保護庁によると、スマートホーム技術でサーモスタットを制御した人は、月々の光熱費を10%〜30%節約できたそうです。」と述べています。

引用:DFH

モダンなフロアデザイン

DFHではフロアデザインを比較的に低価格で変更できたり、あるいは現在人気であるとされているオープンフロア(リビングやダイニング、キッチンを一体としたようなスタイル)を推し、モダンなフロアデザインを提唱しています。

参考:DFH
参考:Builder

まとめ

CEOであるザルプスキは以下のように自社の強み、差別化要素を説明しています。

私たちは常に、同じかそれ以下の価格で、競合他社よりも多くの機能を提供しようとしています。More features for less money(より多くの機能をより安く)」は、今でも私たちが使っているスローガンです。御影石のカウンタートップやステンレスの家電製品、エネルギー効率を高める窓や断熱材、建築用の屋根板などを、他のプロダクションビルダーが標準装備する前に、私たちは入れていました。それは、価格と品質の微妙なバランスをとることです。
引用:Builder

DFHの成長戦略4:ライフスタイルのデザイン

DFHはただの建設会社ではなく顧客のライフスタイルまでを視野に入れることで、より高い目線での顧客満足を追求しています。

Dream Finders Homesは、最高水準の医療施設、芸術、文化、娯楽、継続教育、雇用、交通、技術、レクリエーション活動を誇る都市の中心部に近く、休暇や退職後のライフスタイルに非常に適した場所を厳選しています。あなたはそのすべての中心にいるのです。

引用元は以下です。

「最近では、COVID-19の流行により、都市部から当社が住宅を設計・建設・販売している郊外への移住が大幅に増加しています。」とDFHは述べており、これもDFHが重視するライフスタイルが、現在のニーズと合致している一例かと思います。

下図はDFHが自社サイトにて掲載しているものです。シティライフよりも郊外の自然やレクリエーション、コミュニティなどを重視した価値観を持っていることが伝わるかと思います。

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出所:DFH

DFHの成長戦略5:成長マーケットへの参入

DFHのメインターゲットであるエントリーレベルの住宅購入者や初めて住宅を購入する人たちが集まる地域を市場としてフォーカスしています。具体的には、雇用の増加、人口の増加、税制や生活費の改善などが進んでいる地域であるジャクソンビル、オーランド、オースティン、デンバー、ワシントンD.C.広域都市圏、サバンナ、ヒルトンヘッド、マートルビーチ、シャーロット、ローリー・ダーラム、フェイエットビルなどを選定しているようです。

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また、先に述べたようにDFHは住宅の購入者のライフスタイルにも関心があり、魅力的なライフスタイルや天候の特徴なども考慮した市場の選定を行なっているようです。

メインターゲットもここで改めて整理すると、今後層が厚くなるミレニアル世代をターゲットとしており、訴求要素として、コミュニティやライフスタイル、テクノロジーを重視しており、そして価格帯をエントリーレベルとしています。

米国住宅市場環境

S-1の記載によれば米国市場環境は成長はするものの、コロナに関連する経済政策の狩猟などにより成長速度の鈍化が予測されています。以下に詳細を引用します。

新築住宅価格の上昇率は、政府が2020年に経験した経済刺激策や支援策から撤退する可能性が高いことや、猶予期間が解除されて不良住宅販売が増加することから、2021年には3.4%、2022年には1.1%に鈍化すると予想しています。JBRECの主な仮定と結論は以下の通りです。
- 3%を下回る住宅ローン金利は、今後数年間は継続する。
- 失業率の高さは、何年もかけて徐々に解消されていく。
- 政府による支援は、経済への影響を最小限に抑えながら継続される。
出所:S-1

新築1戸建てのセールスの実績と今後の予測は下図の通りです。

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出所:S-1

下図は中古物件です。2021に落ち込みはあるものの上向きの予測となっています。新築物件よりも今後の増加は緩やかとなっています。

人々のライフスタイルの変化や、予測されている経済状況の好転、そして新素材やデジタル技術の導入等による新築物件の質の良さのために、新築物件が好まれるという予測かと思います。新築を扱うDFHにはよい市場環境の予測です。

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直近の住宅市場でいうと2月は寒波のために低迷していましたが、現在は非常に強い需要がある状態となっています。以下にBloombergの市場環境分析を引用します。

記録的低水準の住宅ローン金利と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でリモートワーク用に広めの住宅を希望する動きに後押しされ昨年始まったブームが、ここにきて加速。景気回復への楽観的観測が強まり、借り入れコストの上昇も予想される中、約1年の巣ごもり状態で潤沢な貯金を持つ人たちが参入している。一部の雇用主は長期にわたり働き方に柔軟性を持たせる意向を示唆しており、購入希望者らは対象物件を郊外やより価格の安い地区へと広げることも可能だ。
一方で物件の供給は急速に細っている。春から夏にかけては在庫が増えるのが通常だが、レッドフィンによると今年の3月は売却物件が前年に比べ4割余り落ち込み、過去最低。新築住宅も建設が需要に追い付かない状況で、価格上昇にもつながっている。

引用元は以下のURLです。

留意点としては、「今回のブームは、特にローン金利が過去最低水準から上昇基調を見せていることもあり、住宅価格が潜在的な買い手候補たちの手の届かないレベルに達することで終末を迎える恐れもある。感染が収まってくれば、売却を先送りしていた人たちが決断し、市場で在庫が増えることもあり得る。」と述べられています。

The Wall Street Journalは、米郊外一戸建ての活況の裏には外国ファンドのマネーがあるとしています。外国ファンドの投資が増えている理由としては、リモートワークの普及などによる米郊外一戸建ての需要増加予測に加えて、外国ファンドによる米国住宅への投資環境が改善されていることがあるようです。

これらは、DFHの住宅販売価格の上昇に働くポジティブな側面がある一方で、顧客の購入希望価格を超えて価格が釣り上がってしまう可能性や、急激な価格下落の危険性にもつながりうるものでもあるかと思います。

DFHのコロナ対応

今、企業を見る視点の一つとして重要であるのがコロナ対応かと思います。これは、危機に対して如何に企業が迅速に対応したかを見る分かりやすい例だと考えています。

DFHはバーチャルホームツアーにより、コロナの状況でも顧客への営業活動をテクノロジーの活用により続けています。また、「Stay Home & Buy a Home」というプログラムもコロナ対応として実施しています。オンラインで家の情報を見たり、相談したり、購入のための準備をしたりが可能となります。

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出所:DFH

その結果として、2020年4月以降、過去の実績と比較して、毎月の新規受注件数は増加している、とDFHはS-1にて述べています。インタビューにおいては「4月は36%減でしたが、5月は70%増でしたので、良かったですね。」と語っています。非常に素早い対応で、ピンチをチャンスに変えているようです。

引用:Builder

DFHの創業者と歴史

DFHはリーマンショックの頃、2008年末に創業者であり現CEOであるパトリック・ザルプスキにより設立されました。不況下での設立であったために、非常に苦労したようで、DFHはリーズナブルなエントリーレベルをメインに扱う企業であり、通常この価格帯ではカスタマイズなどの要望には応じないところですが、経営が苦しかったためにいろいろと工夫することでそういった要求にも対応し、売上を伸ばし成長してきたようです。苦境を知りそれに打ち勝ってきた企業として信頼できるように思います。不況はコストカットのよいチャレンジを促すものであり、DFHが不況を経験しているのはやはり好材料かと思います。

ザルプスキはファイナンスの学位を取得しフェデックスで18ヶ月働いたのちに、不動産で働いていた母を手伝うことで、不動産業について学んだようです。家の再生にも携わっており、それらのほぼ全ての作業を学んだとザルプスキは語っています。ちなみにザルプスキはStetson Universityで学位を取得しており、Stetson Universityは「Regional Universities South」で4位にランクされているようです。

コロナ下では先に述べたように迅速な対応で売上を回復させその後は成長路線を維持しています。

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出所:DFH

おまけ

SNSマーケティングにはほとんどやっていないようです。

ツイッターアカウントがありますが、ツイート数もフォロワー数も非常に少ないです。

DFHのTwitterアカウント

まとめ

DFHは負債比率が比較的に高くまた住宅建設という業界柄市場環境に非常に左右されやすいビジネスである、というネガティブな側面はあるものの、オーガニックな成長と買収により非常に高い成長実績を残している企業です。そして、そのプロダクトは以下のような特徴を持ち、モダンな価値観に適すルものではないかと思います。

・エネルギー効率が良く環境負荷を抑えられる。
・モダンなテクノロジーを活用している。
・ライフスタイルを重視したデザイン、立地である。
・リーズナブルなエントリーモデルがメインプロダクトである。

最後に

長編となりましたが最後までお読みいただき誠にありがとうございます。もし本記事がお役に立っていましたら、いいねやリツイートなどしていただけると大変ありがたいです。

ありがとどり




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