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資本主義における株式取引と企業評価指標の変化

はじめに

トウシドリは特別に経済というものを学んだことはありませんが、トウシドリなりに資本主義とは何かを考察し、その資本主義の上に成り立つ投資と企業評価というものを考えてみました。

飛躍も少なからずあるとは思いますが、ご了承ください。

資本主義とは資源配分の決め方の仕組みである

株取引は資本主義の上に成り立つもので、資本主義は、限りある資源をどう配分するかを決める仕組みである。
人であったり、ものであったり、土地であったりが全て資源である。
株取引は、取引を通し企業の価値を決める行為。投資家は取引を行うことで企業の価値を決める。高い価格をつけられた企業は、その高い価格を得た株式を元により多くの資源を利用できるようになる。
よって、投資というものは、この世界にある資源を誰が、どの企業が使うのかを決める行為といえる。

資本主義における投資活動と投資家の淘汰

株取引は多数のプレイヤーによって行われる企業の値付け行為である。多数のプレーヤーにより多面的な検証が行われ、より適切な価格決定が行われる。
このとき適正価格以上の価格での購入は、誤った行為となる。それは実際の企業価値以上の価格を企業につけ、非効率な資源活用をその企業に許すことであり資本主義の目的に合致しない。
そのため誤った値付けを行なった投資家は株価の減少による投資資金減少という罰を受ける。これの繰り返しにより投資家は淘汰され、正しい値付けを行う投資家のみが原則生き残る。

しかし例外的存在がいる。それは適正価格以上の値付けを早期に行い、それ以上の価格で売りぬけるプレーヤーである。
これは企業の適切な価格決定に貢献しない。しかしながら、誤った価格決定を行うプレーヤーの早期退場を促す機能を果たしているとも見ることができる。
以上が株式市場の資本主義における役割であり、淘汰の仕組み、各プレーヤーの役割の一部であると考える。

資本主義の目的とは資本を増やすことである

ここで一度戻って私が考えたい事柄、それはそもそも資本主義の目的とは何かである。そして資本主義の目的は、資本を増やすこと以外にあり得ないと思う。
繰り返しになるが資本主義とは資本所有/使用量に基づき資源配分を実行する仕組みであり、資本を増やす方向へ資源配分を行う活動はより多くの資本を獲得し、それをもとにより多くの資源配分を行うことができるという好循環に入ることができる。これはつまり、資本主義の目的は資本を獲得することであるという、共通認識と思われる自明の結論に至る。

よって資本主義において、企業は資本を増やすことを求められ、それを実行しない/できない企業は淘汰される。
これを踏まえると企業評価はより多くの資本を獲得するか否かが焦点となる。

企業は創出する利益と、その推移で評価される

では、より多くの資本を獲得するか否か、とはどういうことかというと、それは企業が所有する資本が上昇しているか否かであり、そしてその速度がどの程度か、である。

資本の獲得とは、利益の創出である。今までの考察をもとに考えると、資本主義においては、利益が多いほどよく、そしてその創出する利益が増える速度が加速するほどよい。
よってPERで株価を評価し、また利益の推移をもとに株価を評価する。これが本来の企業評価である。

社会の変化により企業評価の指標は売上へと変わった

しかし近年は、グローバル化、各種技術の発達によりWinner-take-allが進み、利益の創出は先送りされ、売上成長に比重が移った。これがPSRが重要視される一因である。

もう少し詳しく見ていく。
企業は自社内で利益を再投資に回す方が社会全体において効率的である場合において、積極的にそれを行うべきであり、資本主義で生き残る企業はそれを実行する。再投資を行うべきかは市場における成長余地の大小に依る。成長余地がない場合には、利益は自社内での再投資に使うべきではなく、配当金などにより社会に還元されるべきである。以上が前提である。

近年、各種の理由からグローバル化が一層進展し、これにより市場は国内から国外へ拡大された。また、継続的な技術の発達により、より多くのニーズに対応できるようになり恒常的に市場が拡大していくようになった。
結果、市場は拡大の一途を辿り、一層に規模の経済性は強化された。これがWinner-take-allの世界へと繋がる。ちなみにITの発展により、規模の経済の前提となる巨大企業のコントロールが容易になったということもまた、この変化の背景にあると思う。

Winner-take-allの世界においては、売上で劣る企業は仮に利益創出能力が高かろうと、原則淘汰される(ニッチ市場への活路などはここでは扱わない)。そして、Winnerは市場を独占し利益創出を開始することができる。

以上をまとめると、売上成長が将来的な利益創出および利益創出能力の増大に繋がる、と言える。よって、売上成長は利益成長よりも重視されるべき企業評価の指標であると言える

売上自体が目的であり利益は考慮不要である

前述の現象/原理はより進展し、売上成長それ自体が資本主義における目的となった。言い換えると、将来的利益の創出を前提としなくなった。

まず、そもそもとして売上がある状態とは、資源を活用している状態であり、資源配分と関わっている。つまり、将来的利益がなくとも売上のみで資源配分に関与できるのである。そして売上が成長すれば、資源配分への関与の強化可能なのである。
さらに、Winner-take-allの世界においては、売上成長を追求し最終的に他社を排除することが可能である。例えその他社が高い利益率であっても、である。結果、Winnerは市場を独占し、その市場における資源配分をコントロールすることとなる。

以上のように、利益創出を前提としない売上成長であっても資本主義の目的を達成することができるのである。このとき、売上成長は資本主義における企業の目的であると言える。

売上こそが、現代の資本主義において利益よりも重要な、最重要指標なのである。

売上成長の追求こそが社会的善である

ここで私たち人類が資本主義を導入する目的に立ち返る。人類が資本主義を導入する目的、その目的とは、人々のニーズを満たすことである。

人々(消費者)にとって重要であるのは、ニーズを満たすか否かであり、そのためにいくら支払う必要があるのかである。サービス提供者が得る利益は消費者には関係しない。利益率は付加価値を示すものであってニーズを満たしているかとは無関係なのである。売上こそが人々のニーズを満たしているかの尺度である。そして売上成長とはより多くのニーズが満たされることを意味する。

よって、利益が上がるか否かは資本主義の目的とは関連がなく、売上こそが人類の資本主義導入の目的であり、売上成長の追求は人類の目的に沿った社会的善であると考える。

まとめと違う立場の意見の紹介

あくまで以上はトウシドリの意見・考えであって、正しいものではないです。トウシドリ自身も、上記の意見・考察は立場次第で正しくもあり、間違ったものでもあると考えています。大きいテーマですし。

ただし、一定のロジックに基づいた考察なので、一定の前提・条件下で役立つものであると思いますし、なぜPSRが今重要であるか、そして今後の流れを予測するに良い情報・考えであると思っています。

こんな意見もあるよという具体例ということでDCFさんの見方も紹介させていただきます。立場・前提次第でやはりこのDCFさんの見方もとても正しいですし、参考になると思います。

少し私の意見も述べておきます。

1:上で散々売上が最重要指標としていますが、実際投資を行う際は利益または将来利益はだいたい念入りに見ます。なぜならWinner-take-allには相応の時間がかかるからです。短期・中期投資では利益がでてるか、今後出るかは要注意だと思います。

2:私自身はIT出身になるのでITプラットフォーマーを強く意識した意見となっていると思います。

議論紹介

このNoteははもともとトウシドリがツイートしたものを清書・加筆しNoteにまとめたものです。元ツイートはこちらです。

ツイート版ではDCFさん、NEKOさん、ゴダイバさん、みちまるさんの様々な意見を見ることができます。ツイートが枝分かれして議論が進んでいるので見辛い点は難点ですが、勉強になるツイートが多いので是非参考に。

最後に

私はこういう議論やみなさんから意見もらえるのがとても好きで嬉しいのでお気軽にコメントください。双方向のツールとして良いかなと思い最近質問箱もはじめてみました。

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