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ASTSpaceMobile 投資家向け資料まとめ その1~企業概要からマーケットについて~

1.企業概要

 ASTSpaceMobile(以下、AST)は世界初かつ唯一のグローバルなブロードバンドモバイルネットワークを構築している会社です。
 ASTの目指す世界は、楽天、ボーダフォングループ、アメリカンタワーなどの世界的な携帯電話事業者と協力して、50億人の携帯電話加入者が直面している接続できないギャップを解消することとモバイルネットワークが開拓されていない世界の人口の約半分にブロードバンドを提供することです。

2.ASTが解決する課題

 下記の4つの課題が資料では述べられています。
・携帯電話の電波が届かない場所でのブロードバンド接続
・農村部や遠隔地でブロードバンドデータ/音声/テキストサービスの手頃な
    価格での提供
・企業や政府のユニバーサル・コネクティビティに関する目標の達成
・自然災害時の緊急サービス
 また、なぜASTなのかという理由が4つ述べられています。
・世界初、唯一の宇宙ベースのセルラー・ブロードバンド・ネットワーク
・高価な地上アンテナや特殊な携帯電話を必要とせず、
 携帯電話に直接ブロード版接続が可能
・従来の衛星を利用したマスマーケットへの拡大
・資金調達リスクの低減

3.世界のモバイルマーケットについて

 下図は世界の移動体通信サービス契約数の推移および予測値となります。
緩やかですが伸びていることが分かります。IoTやクラウドサービスの普及によりワイヤレスネットワークは今後も更に需要が伸びると考えられます。

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引用元:令和2年版 情報通信白書
ASTの資料を参照すると、モバイルワイヤレスサービスのグローバル市場は1兆ドル(約100兆円以上)の規模があり、まだ世界の人口の半分はネットワークに接続できない環境にいるとのことです。
ASTが目指す世界を実現できたときは、時価総額でAppleを超えるかもしれませんね。


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引用元:ASTSpaceMobile投資家向け資料

4.役員について

 CEOは衛星通信の会社を創業した経験を持っているようです。リーダーに経験と実績があると投資する際の安心感が増しますね。また、CTOにはノースロップ・グラマンの子会社で40基以上のGEOサテライトを建設した実績を持つ人を起用しています。ノースロップ・グラマンは宇宙関連銘柄としても注目されている企業です。CTOの持つ技術にも期待ができそうです。
 CFOにはCEOの前の会社でもCFOを務めた人物が起用されています。気心知れた(?)相手だと思いますので、財務面のサポートも期待できるのではないでしょうか。
・会長兼CEO:Abel Avellan
   EMC(Everging Markets Communications)の創業者であり元CEOです。
 同社は衛星と地上のハイブリッド通信を提供するプロバイダーでした。
 彼はリーダー、エンジニア、マネージャーとしてグローバルな衛星通信会 
 社を運営していた実績があります。また、米国特許を18件保有していま
 す。
・COO兼CFO:Tom Severson
・CTO:Dr.Huiwen Yao
・CCO:Chris Ivory
・GM兼イスラエルR&Dセンター兼EVPオペレーション:Avi Braun
・Chief Space Scientist:Dr.Ray Sedwick
・VP兼プログラマー:Dr.Mark Mclaren
・Chief Scientis:Sriram Jayasimha

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引用元:ASTSpaceMobile投資家向け資料

5.パートナー企業

 戦略的パートナー企業と顧客企業について、資料には記載があります。
 ATSに投資している企業にはボーダフォンやアメリカンタワー、サムスンといった大手企業が記載されています。また、楽天も投資をしています。楽天は顧客としても名前がありますが、日本の僻地向けにATSのブロードバンド・ネットワークを使用する思惑がありそうですね。 

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引用元:ASTSpaceMobile投資家向け資料

6.ASTの競合がいない理由

 ASTの競合が参入しづらい理由について、資料では3つ述べられています。
下記の事項が本当であれば、かなりの確率で独占的に利益を得られそうですね。特許および既存企業との独占契約による囲い込みAは強力な堀となります。
・750以上の特許による技術的な障壁
・新技術のソリューションと優れたシステムアーキテクチャによる
 先行者利益
・世界的な大手ワイヤレス企業との拘束力のある相互独占的な商業契約
 また、下記の図は従来の衛星通信マーケットとASTのターゲットとするマーケットが記載されています。特別な携帯電話で衛星通信を使用するマーケットは約15億円程度、高価な機器や複数の機器で電波を受信してネットワークを提供するマーケットは約150億円程度のマーケットサイズですが、衛星ブロードバンド・ネットワークを普通の携帯電話に提供するマーケットは約100兆円以上のマーケットサイズがあります。そして、そのマーケットにはASTのみがプロパイダーとして記載されています。
 現時点では信じがたい内容ですが、ASTの自身が相当表れていると感じます。半分のシェアを取ったとしても既存マーケットより大きい利益を得ることができるため、巨大なマーケットを相手にしていることが解ります。

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 今回のnoteはここで一旦区切りをつけたいと思います。
その2では、技術内容やキーとなる財務データ、今後の計画についてまとめていきます。
 拝読いただきまして、ありがとうございました!

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